サイドストーリー シャドウの日々 後編
結果、異様なわがままを言っていた客人はこちらの世界に出入り禁止となった。
詳しくは省くが、自業自得とだけ言っておこう。
そんなおり、問題が起きた。
私の眷属の妖精と竜人との間にできた子供がミツルにスリを働こうとしたところを捕獲することとなった。
しかも妖精も竜人もこの世にはすでに亡く。
どうしたものかと頭を抱えそうになる。
さらにいえば2人。
すでに本来報告が来るはずの年齢をとっくに超えた子供が2人。
ミツルが居てくれて本当に良かった。
子供の相手などしたことが片手の指で足りるほどしかない私では決してここまで穏やかに対応できなかっただろう。
温かい食事と風呂、そして布団を準備してくれていたおかげで子供達は早々に警戒心を解き、どんなことがあったのかを説明してくれたのだが、だが、ミツルの泣き顔を見るとは夢にも思わなかった。
主神様と私の本体に相談をしたところミツルが受け入れてくれるのであれば店で保護をするのが一番であろうということに結論が出て、彼女に伝えると。
ミツルは穏やかな顔でそれを了承してくれた。
店には主神様が直接守りの結界を張られている、さらにいえばミツルを守るための数々の魔法をかけているのだが、そういう意味でもこの店はまず他者の害悪に触れることのない安全地帯である。
子供達を保護する上でなによりも安全な場所。
ミツルもそれを理解してくれていたのだろう、それ以前にミツルの性格上、子供達を放り出すという選択肢はなかったようで、彼女のそういったところがとても好ましい。
それから子供達に関わることを妖精たちに調べさせ、出た結論としてはなんとも面倒な環境に子供達が置かれていると事だ。
竜族の中でももっとも閉鎖的な一族。
妖精たちの間でも悪い意味で有名で、さてどうしたものかと長いため息を吐いたのは仕方がないことだろう。
主神様と神々の了承を得ればその一族を滅ぼすことなど簡単だが、それをするのは最終手段として横に置いておく。
どうにかならないものかと、悩んでいる間に子供達が店の手伝いをすることとなり、さらに子供達が手伝うことにより店の開店の目処が立ち、ミツルも子供達もやる気に満ちていたのだが、ここでさらに問題が起こる。
私の気が抜けていたのだろう、ミツルにとって恐ろしい目に合わせてしまい、どうしようもなく情けなくなる。
彼女に傷の一つでもついていたらと考えるだけで背筋が凍る思いをしてしまい、八つ当たり当然に子供達の親族である者を殴りつけてしまったのだが、謝る気はさらさらない。
とりあえず処置としては出入り禁止としたが、常識を身につけて問題ないと判断できるまではそのままだな。
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インのことがあったがその後は穏やかに日々は過ぎ、店も無事に開店した。
最初こそ客足がそこまで無かったが人づて・・・いや、妖精づてで広まり今では100食と限定している定食が完売するまでになった。
そしてさらに常連まででき、ミツルも子供達も楽しそうに仕事をしている。
ただ、常連の中で気になる人物が数人。
パスタ好きのフードをかぶった人物、ルーと名乗った者の身辺を調査してみるとこの街の領主であると分かる。
彼女に伝えるべきか悩んだが今のところ何かちょっかいをかけてくる、などの行為がないのでそのまま様子見をする。
あとは焼肉定食好きの親子。
この街でも有数の豪商人の親子で顧客には貴族までいる。
この親子は商売気が強く、焼肉定食に使われているタレをどうにか再現できないかと躍起になっているようだが、店に客としてくるときには結局、料理の味に夢中になり無害となる。
これも様子見でいいだろう。
そして最後はチキン南蛮の日にくるスキンヘッドの冒険者 ツェルツ
見た目とは反して紳士的な対応でミツルたちに威圧感を与えないので無害な人物かと思うが彼はこの街にある冒険者ギルドの総元締め、つまりはギルドマスターである。
一癖も二癖もある冒険者供をまとめているだけあってギルドに戻ればここで見せている姿とは違った厳しくも恐ろしい男となる。
彼も今のところはミツルたちに何かしら害を与えるという危険性はないので様子見としている。
とはいえ、三者にはそれぞれ妖精たちに定期的に様子を伺わせて報告を受けるようにしてある。
インによる襲撃のようなことの二の舞などあってはならないからな。
そんな折、この街で豊穣祭という祭りが行われるという話題が客の口からよく出るようになり、ミツルと子供達がその話に興味を持っているのが分かるくらいソワソワし始める。
この世界の祭りは初めてだろうミツルと、そして色々我慢をしている子供達にとっていい気分転換になるだろう祭りを楽しませてやりたいと思い、妖精たちと共に計画を練る。
その際に領主から封筒をもらうという予定外のことが起きるがそれを含めていい体験ができるだろうと計画を練り直し、祭り当日、3人が楽しむ姿に満足をする。
一緒に歩いて、楽しむ。
妖精から家族というものみたいですねと言われた時は、なんとも満ち足りた気持ちになったものだ。
共に過ごすうちにミツルはもちろんアルとエルは私にとってなによりも優先して護るべき存在となっている。
それは変えようのない真実であり、事実だ。
まだ完全に安全であるとは言えないが、3人に降りかかる火の粉はどんなに小さなものでも一つとして触れさせないようにしなければ。
ミツルの作る料理はとても美味しい。
美味しいだけではなく、料理に込める気持ちがそのまま彼女の人となりを表しているようで、私は彼女に間違いなく餌付けされているだろう。
今更、この世界の料理だけでは満足できなくなってしまったので、そのうちミツルにはその責任をとってもらおうと思う。
そのためにはまず、アルとエルに関する問題を解決しなければいけない。
それが解決したならば・・・。
ご飯できたよと笑顔で声をかけてくるミツルにまだこの想いを悟らせる訳ないはいかない。
ああ、本当にミツルを庇護するものが私でよかった。
そして今後も誰にも譲るつもりはない。
彼女の笑顔が曇らないように、そして私を一番に見てくれるように。
主神様からはほどほどにしないとダメですよととお言葉を頂いているので、この想いが暴走しないように気をつけねばならないな。
穏やかなこの空間を守るために、さぁ、まずは問題を解決しなければ・・・。
読んでいただきありがとうございます。
これからもどうぞよろしくお願いします。
本編再開までにもうすこしサイドストーリーがあります。
そして、シャドウさん。
ミツルさんに餌付けされてさらにそこからいつの間にか惚れられてました。( *´艸`)
ええ、なんとなくわかる人にはわかるでしょうが彼は独占欲がね‥‥(  ̄▽ ̄)
本編ではまだ詳しく触れられていないツェルツと商人親子に触れました。
わざとです。
だって、シャドウさんが身辺調査してないわけないですからね。
悪い虫なら駆除ぐらい考えてるのです。( ´∀`)
そんなわけで、シャドウ視点でした。
もっと細かくしてしまうと10話は越えそうだったので簡潔にしてどうにか三話でまとめてみました。
本編再開して、どのようになっていくのかどうぞ楽しんでいただけたら幸いです。
これからもどうぞよろしくお願いいたします(*^^*)




