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58話





本日はパスタの日である。

メインのパスタはキノコとほうれん草とベーコンの和風だし醤油クリームスープパスタ。

副菜はエリンギを豚肉で巻いて生姜とだし醤油で味付けしたものを、

汁物は白菜と豚肉を顆粒出汁で煮て、醤油で味付け。アクセントに粗挽き黒胡椒を少々。


そしてパスタの日に必ず来る常連さんはいつもフードを深くかぶっていて、顔を見たことがない。名前はルーさん。名前だけは通って来ているうちに子供達が名前を呼びかねていたところ、ルーと呼んでくれとのことである。

まぁ、フードで顔は見えないし、ルーっていう名前が本名かわからないが、毎週パスタの日に欠かさず来るということはこの街の住人なのであろうことは伺える。

たまに別の日にも出現することもあるけどね。


そうそう、この街にもパスタのような麺料理がある。

自分が店で出すのはスーパーにも売っているスパゲッティーニの乾麺で、早茹でタイプを使っているのだが、この街にあるパスタは生パスタに近いと思う。

ただ、卵が高いのでパスタ料理自体が少なく、どちらかというとパンが多いみたいだけどね。


秋が過ぎたら冬になるので、寒くなったらパスタの日にはグラタンを出す予定である。

そう、マカロニもパスタの一つなので、ね。

現在お客さんの足は落ち着いていて、ルーさん1人なので、2人に晩御飯を食べさせているのだが、その間はお店の方に立っている。

すると、


「これは、キノコかい?」


ルーさんがフォークにキノコを乗せて聞いてくる。


「ええ、しめじという名前のキノコです。

お肉で巻いているのがエリンギという名前のキノコですね。

キノコ嫌いでした?」


「いや、キノコはうまいから好きなのだが、初めて見るキノコだったものでね。」


「そうなんですね。伝手で自分の故郷ではよく食べられているキノコなので、仕入れてもらったんです」


ふぅむ、と言いいながら、良い食感だなといいながら食べ進めるルーさん。

顔には出さないように答えたが、そりゃそうだ、自分の世界のキノコなのだからこの世界で似たようなキノコはあれど、同じものは存在しないだろう。


「ところで、ルーさんって、スープパスタ好きですよね」


「そうだな、この店で色々なパスタを食したが、一番はこの乳を使ったスープパスタが一番だな」


「冬にはグラタンっていう別のパスタ料理を出しますからね。

クリーム系ですけど、もったりとしててアッツアツで美味しいですよ」


「ぐらたん、それは食べに来ないといけないな」


「ええ、食べに来てくださいね」


「エルもたべたい!」


ルーさんと話しているとご飯を食べ終えたらしいエルがエプロンを引っ張ってグラタンっとキラキラとした目でこちらを見ている。


「もちろんだよ〜、いろんな具材を入れてあげるからね!」


「うん!!」


エルの笑顔に癒されていると


「ミツルさん、ご飯食べました。ごちそうさまでした」


「はい、おそまつさまでした。しっかり食べた?」


「うん、美味しかった!」


アルもにっこりと笑顔で返事をする。

このきょうだいは本当に可愛いが過ぎると思う。


ちなみに子供たちの賄い晩御飯は同じクリームスープパスタだが、具材は子供が好きなウィンナーと野菜にほうれんそう、そしてチーズをたっぷりかけてトースターで焼いたものである。


実はお客さんから今日の定食の味を聞かれることがあるので2人には味見として今日の定食を一通り食べてもらっているので、同じ料理だと飽きてしまうだろうとこうとで手を加えてある。


「やあ、エルにアル。」


「ルーさん、いらっしゃいませ」


「いらさいませ!」


ルーさんがくる前に2人にご飯を食べさせていたので、アルとエルが挨拶をするとルーさんはフードから覗く口元を緩ませてこんにちわという


「ルーさん、今日のお肉巻いたの、オレとエルで手伝ったんだよ」


「そうか!アルとエルは偉いな」


ルーさんのそばに行って、アルが今日のお手伝いを報告するとルーさんは口元を緩めたままアルを褒めて頭を撫でる。

どうやらルーさんは子供好きなようで、いつも何かと2人を褒めてくれる

そんなルーさんにアルとエルはよく懐いている。


フードはともかく雰囲気はやわらかい人なので、懐いているところを見ると、2人の父親がこんな雰囲気の人だったのかも・・・と考える。

とは言っても、どんな人だった?と気軽に聞くのは違う気がするので、2人が話したくなった時に聞かせてもらおうと思っている。


「そういえば、来月は祭りがあると聞いているかい?」


「ええ、皆さん、必ずその話をされますよ」


それを聞くとアルとエルがそわそわするので、連れて行ってあげるよーって言いたくなるが我慢我慢。


「その祭りのことでね、祭りが開催されて4日目なのだが、何か用事があるかい?」


「そうですね、4日目ということであればお店はおやすみなので今のところは予定はないですよ」


「そうかそうか、なら、もしよければこれを渡しておこう」


そう言って、懐から一通の封筒を取り出すルーさん

それをエルが受け取り、渡してくれる


「これは?」


「街の真ん中に領主の館があるのは知っているかい?」


「行ったことがないので、詳しい場所まではわかりませんが・・・」


「そうか、ならば今度地図でも持ってこよう。

それでね、祭りの4日目に領主の館の庭を街の人に解放するのだがね

その際に、その封筒を持っている者は館に入れることになっていてね」


「領主様のお屋敷に入れるんですか?」


「ああ、そうだよ。

その日はその封筒を持っている者たちだけが入れるんだよ。

そして、領主主催のお茶会に参加ができるのだが、よかったら君たち3人でどうかね?」


えっと、それって、この封筒。それなりに価値がある物ってことだよねぇ

この街を仕切っている領主の館。そこに封筒があれば1日のみ無条件で入れるっていう。


「そんな大層なもの、いただくわけには」


シャドウに言えばいけるだろうけれど、どうなんだろう?いいのかどうか判断がつかないんですが!!


「いやいや、いつも美味しい料理を格安でいただいているからね。

せっかくだ、子供達にも珍しい体験をさせてやっておくれ、当日は専用の使用人が案内をしてくれるから何も心配することはないからね」


そう言って、返そうとする封筒をやんわりと返却拒否される。

2人を見ると目をキラキラさせながら行ってみたいという顔をしている。


「・・・・と、とりあえず、いけるかはわかりませんが。ありがたくいただいておきますね。」


まぁ確かに、2人も自分も体験できない世界だろう。

領主ということは貴族ということで、貴族ということは想像する範囲だと漫画や小説のような世界なわけで・・・。


これも社会勉強の一つとして、受け取っておきます。


「ルーさんって、領主様とお知り合いなんですか?」


ふと、思ったことを聞けば


「いや、領主様に仕えている人と少しね。この時期に街の住人の中から選んで招待するようになっていてね。その手伝いを知り合いに頼まれたのさ。」


「そうなんですか・・・」


そのあとは食事を終えて帰るルーさんを3人で見送り、いただいた封筒は無くさないように片付ける。


ルーさんが帰ったあとしばらくしてべつにお客さんが来店し、そのあとはほどほどに忙しく、1日を終える。

子供達は領主様のお屋敷ってどんなんだろう?ってワクワクしているので、行かないという選択肢はないですね。


夜、シャドウと話し合い、問題ないだろうということで、行く予定とすることにする。


しかし、ルーさん。一体何者なんでしょうねぇ?

領主に仕えている人が知り合いに居るということはそれなりの身分の人ってことなんだろうか・・・?


とりあえず、お祭りの予定が一つ決定したので、服装なんかを考えないと行けないと思います。

失礼にならないほどで、でも豪華過ぎない服。

うーん・・・服のセンスないからな、今度ムーネさんに相談してみよう。





読んでいただきありがとうございます。(*^^*)

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