53話
お店を開店してから20日近く経った。
今のところ1日あたりの販売数は少ない時で50食前後から多い時で80食ほど。
カレーの日は隣の主婦さんたちがお鍋を持ってきて購入してくれるのだが、そのときに炊きたてのお米も購入してくれる。この街に売っているパンだと味が合わないそうだ。
なので、2回目ではご飯も一緒に購入してくれました。
今のところ冒険者さんがお客さんとしては多いみたいだ。
その中で、妖精さん連れの魔法使いの方が割合としては多い。
どうやら妖精ネットワークでこのお店のことが話に登っているらしく、その関係で妖精が加護を与えている人を誘い、ここへと来ている、という感じだ。
ちなみに、ルナとメアと同じように今までお客さんとしてきた妖精さんたちは皆、身長が高く、美男美女揃いでした・・・。
漫画やアニメで見る様な可愛らしい小さな妖精さんにはまだ出会っておりません。
閉店後の残った料理を食べてくれている妖精さんたちはどうやらその漫画やアニメや物語に出てくる羽根の生えた小さな妖精の姿らしいのだが、だが、姿を見せてはくれません。
見せてくれない理由はいろいろあるらしいのですが、理由の一つとしては小さな姿というのは妖精としてはまだ幼く、人前に出るのが恥ずかしいからとのこと。
しかも幼い妖精を捕まえて悪事に利用しようとしたり、愛玩動物のように飼ったりしようとする悪い奴らもいるとのことで、普通は幼い妖精は妖精の国から出ることは少ないそうだ。つまり、イシュタル様の加護とシャドウの存在があるからこの店だから食べにこれるそうだ。
なので、幼い妖精さんは警戒心が強くてまだ、会ったことがない。
アルとエルは保育園のような空間で幼い妖精ともあったりしているとのことで、ちょっと・・・いや、かなり羨ましい。
そのうち、姿を見せてくれることを期待していよう。
さて、そういうわけで冒険者の中でさらに妖精さんのお気に入りの魔法使いさんの割合がお客さんとしては多いわけだが、初日から欠かさず来てくれているお客さんがいる。
今日はちなみにカレーの日だ。
そして時刻は9時。子供達はすでに部屋に戻っておやすみの時間となっている。
「このカレーという料理は最初こそ見た目がアレだなぁ・・・と思ったものだが、食べると本当に旨い!」
「このサクサクとしたお肉をつけて食べるともっと美味しいよ!」
「うーん、確かに旨い!」
今日はポークカレーでサイドとして豚バラを使ったミルフィーユカツにしてあって、スープはオニオンスープ。
「ねぇ、ミツルさん。ボクこのお肉おかわり!」
「オレもおかわりで!!」
はーいと返事をして、揚げて置いてあるミルフィーユカツを二人分お皿に追加するとすかさずそれをカレーと一緒に頬張る。
「ボク、毎日カレーでもいいなぁ」
「フラム、それは困る。確かにカレーは旨い。だが、ほかの定食も旨い。
カレーのお店になったら他の定食が食べられなくなる。特にチキンナンバンが食べられなくなるのは困る。」
「わかってるよー、リクってばチキンナンバンが本当に好きだよねぇ」
「あの甘酸っぱいソースと白いソースが絡み合うと何杯でもご飯が進むから不思議だ・・・。」
二人以外に現在お客さんはいない、が二人の会話が賑やかでお店の中はとても雰囲気が明るい。
二人が来る時間帯は決まってはいないのだが、それでも毎日来てくれるのでとても嬉しい。
そうそう、フラムさんが妖精でリクさんは獣人で、魔法使い。
フラムさんは真っ赤な髪をツインテールにして、フリフリの服を見事に着こなしている美少女でかつ、炎の妖精だそうだ。
普段は姿を消しているそうなのだが、リクさんと二人だけの時だけやここで食事を取るときは姿は消さず、賑やかに会話をするとのこと。
通い始めて一週間ほど経ったときに妖精なんだーって軽い感じで教えてくれました。
そのときに、チラッと猫の姿のシャドウを見て、リクさんが気づかない様に軽く会釈をしていたので、教えてくれたっぽい。
なので、二人が来る時間帯は二人以外お客さんが来る気配がない。
食事を終えてお店を出た後、しばらくして他のお客さんが来るので、わざと人の少ない時間帯を狙って来ているみたいですね。
リクさんは魔法使いで冒険者。
見た目はガタイのいいどちらかというと大きな剣とかを振り回しそうだが、魔法使いなのだそうだ。とは言っても杖の代わりに剣を使うとのことなので魔法剣士っぽいですね。
獣人とのことだが、何の獣人なのかと気になっていたら、ゴリラとのことだ。
正しくは少し違うらしいのだが、自分の世界で言うとゴリラが一番イメージ的に近いそうだ。だが、見た目は先程も言った通りガタイがいい。
どちらかというとプロレスラーのようなガタイの良さで、髪の毛や顎ヒゲなのが濃くて、パッっと見ゴリラという感じではない。
まぁ、そんな二人が毎日来てくれている常連さんである。
今のところは遠征がないそうなので毎日来てくれているが来週は泊りがけでの依頼が入っているそうなので来れる日に来るからね!と来店すぐにフラムさんがしょんぼりして教えてくれました。
「そういえば、最近、街の中でフェルミの国の奴らを最近よく見るんだけど、あいつらいろいろ問題起こしててさ、ミツルさんも気をつけてね?」
「フェルミ?」
「そう、竜人ばかりが集まってできた国でね、めんどくさい奴らなんだぁ。
あ、もちろん竜人みんながそういうわけではないんだよ?フェルミの国の奴らだけがめんどくさいだけだからね?」
「うん、ありがとう。気をつけるね」
本当に気をつけてね!と言ってくれた後、ミルフィーユカツとスープのおかわり!と元気よく言うフラムに、大盛りで追加をしてあげるとニッコニコの笑顔で口いっぱいに頬張る。
カレーは多めに作ってあるので、ルーを追加してあげる。
もちろんリクさんにもだ。二人が満足するまで食べ終えて、お店を後にする。
それからお客さんが2組ほど来て、今日は閉店となる。
お店を片付けたあと、晩御飯をシャドウと一緒に食べながらフラムさんが言っていたフェルミという国のことを聞いてみる。
「例の国の名前ってフェルミ?」
「ああ、そういえば言ってなかったな」
「うん、気にしてなかった」
とりあえず閉鎖的な国があるという認識だったので、国の名前までは聞かなかったなぁ。
「フラムさんが言う通り、増えてるの?」
「そうだな、表立って行動する者が増えてきた、といったほうがいいな。
インがいつまでもこの街に留まっているからこの街に二人がいるのだろう、と考えたみたいだ」
「そうなんだ、でも、この店にいれば大丈夫でしょ?」
「まず見つけられないので大丈夫だ。
それと、ミツルが出してくれた例の案を実行中でな、今のところは順調だぞ」
あ、あれ実行中なんだ。
しかも順調なんだ。
「もしかして、それも表立って行動している原因の一つだったり?」
「いや、まだそれは早いだろう。」
どちらかというとインが居るからの方が要因としては高いそうだ。
ちなみにインは大分、仲間に教育されたおかげで常識が身についてきたそうだ。
お店に近づくの禁止が解けるのも近いかもしれないねぇ。
食事を終えて、お皿などを洗って片付けた後。
残ったカレーやカツやスープをいつもと同じようにテーブルの上に準備をして、本日の業務は終了となる。
ところで、翌日には妖精さんたちは片付けを完璧にしてくれるので残り物で本当に申し訳ないので、最近ではデザートをプラスして置いておくようにしている。
シャドウにおやすみと挨拶をしたあと、風呂などを済ませ、自室に戻る。
目覚ましなどは毎日同じ時間になるようにセットしてあるので、布団に入って目を閉じると疲れからかすぐに眠たくなる。
明日はチキン南蛮定食。頑張って作るぞー。
しかし、アルとエルの身の安全を考えると、外出はまだまだできないなぁ。
冒険者通りとか、商店通りとかいつか一緒に行けたらいいな・・・。
読んでいただきありがとうございます。(*^^*)




