52話
定食屋 ひがわり 開店初日です。
さて、お客さんは?というと・・・。
ご近所さんが初日ということで来店してくれて、あとは掲示板で見て、新店ということで興味を持って来店してくれた冒険者の方と、商業ギルドの方。
合わせて52食が出ました。
ご近所さんが来てくれたあとはまばらだったため、アルとエルには7時ごろに賄いに唐揚げ定食を食べさせたあと、8時ごろには今日のお店の手伝いは終了とした。
ちなみにその賄いを食べているときにイシュタル様もいらっしゃったので3人で仲良く食べているのは見ていて和みました。
まだ、明日もあるからね。お風呂に入って、早めに寝るんだよ?と子供達には伝えてある。
ただ、二人だけでお風呂は何かあってはいけないのでその間、子供達をシャドウに見てもらって、自分一人でお客さんの対応をしたのだが、その間に来たお客さんは2組ほど。
その間は妖精さんがいてくれたらしいのと、このお店自体がイシュタル様の加護を得ているのでなにしらのトラブルになることもなく。
唐揚げ定食をお客さんは初めて食べる味だ!とか、この食感がいいな!とか。
定食自体は高評価をいただきました。
ただ、今回の定食を出して大事なことに一つ気づきました。
そう、日本人だと当たり前だが箸の扱いが難しかったみたいで、慌てて用意したフォークとスプーンで、ことなきを得ました。
で、今は閉店まであと30分という所の夜の9時半。
お客さんは誰もいない。
「残ったのはどうしようかなぁ・・・」
廃棄するのはもったいないが、だからといって残ったものを使い回すというのはダメだ。
「シャドウ、どうしたらいいと思う?」
猫の姿で定位置に座っているシャドウに話しかける。
「そうだな、それならば残ったものをまとめて作り、店のテーブルの上に前の試食会の時のように並べて、妖精たちに食べてもらうというのはどうだ?」
「妖精さんたちに?」
「ああ、以前からミツルたちが作る異世界の料理に興味を持っていてな、クッキーを焼いて置いておいて食べれるようにはしているだろう?」
「うん、お礼の意味を込めて置いてます。」
いつの間にか少なくなっているので焼いて補充している。
自分たちが見ていないうち、又は姿を消してクッキーを食べてくれているとのことです。
「いつも私たちが食べているのを見て、彼らも食べてみたいと言われていてな。
今日のように料理が余る場合、彼らに振る舞うということにすれば食材は無駄にはならないぞ」
「それは、食材が無駄にならないからありがたいけど、売れ残り・・・なのに大丈夫かな?」
「売れ残りといっても味は変わらないからな、妖精たちは喜ぶぞ」
「そっか・・・なら、せっかくだから食べてもらおうかな」
大皿に盛って、置いて置けば翌日、片付けまでしてくれているとのことなので、食材を無駄にするくらいなら食べてもらうことにしよう。
そうこう話をしていると、お店の扉の向こうに知っている顔がひょこひょこと覗いては隠れを繰り返していることに気づく。
「シャドウ、あれ、インだよね」
「ああ、インだな」
お店が開いていることに気づいて気になって覗きに来たのであろう、だが残念。
子供達はすでに夢の中である。
明日も朝から勉強なので今日はお風呂をすませたあとは寝るように伝えてある。
一度、様子を見に行ったらいい子に寝ていたので朝まで起きてくることはないだろう。
それに1ヶ月、この店に来ることを禁止しているのに早速それを破ろうとするとは、延長して欲しいのだろうか?
そんなことを考えていたらシャドウが客や人がいないことを確認して元の姿に戻り、店の外へ行き、お店の外でインに何か話しかけたあと、インは慌てた風に首を横に振り、トボトボと歩き去っていく。
その背中がちょっとかわいそうに思えたけれど、まぁ、自分がやったことに対しての罰なので我慢して欲しい。
店に戻ってきたシャドウに、どうだったの?と聞くと
やはり灯りが付いていることに気づき、気になって覗きにきてしまったそうだ。
あと、いい匂につられてふらふら〜と、とのこと。
「インは晩御飯食べてないの?」
「いや、食べたそうだ」
だが、竜人だからなと言葉を続ける。
どうやら嗅覚が敏感らしく、揚げ物の匂いに反応して食べたのにお腹が空いてしまったそうだ。 匂いにつられてお腹が空くって・・・竜人ってみんなそうなのだろうか?
それともインが特別そうなんだろうか・・・。
まぁ、余っているしねぇ。
インはお店の正面にある集合住宅の空き部屋を借りて現在は住んでいるそうだ。
食事は料理ができないそうなので外食ばかりで、たまに仲間がそれを見かねて差し入れをしてくれるとのこと。お仲間さん、いい人ですね。
「シャドウ、持って行ってあげてもらっていい?」
「いいのか?」
面倒をかけてきた相手だぞ?と言われるが、腹ペコの知り合いを放っておくのもなんだかなので、と伝える。
カタログからお弁当箱を取り出し、そこにご飯やら唐揚げやらを詰める。あとはスープジャーにスープも注いで、唐揚げ弁当が完成する。
「シャドウ、お願いします。」
「まったく、お人好しだな」
ポンっと頭を撫でてきたあと、お弁当を受け取ってくれて店の外へと行き、しばらくして戻ってくる。
その間、固まってしまったんだけど、だからさ、ナチュラルにそういうことするの心臓に悪いので程々にしていただきたいです。
そうこうしていると閉店時間となったので、お店の外に終了の札をかけて、鍵を閉めて初日はこれで閉店となる。
お店を簡単に掃除して、あとは残りの食材を揚げたりして、大皿に移したあとお店のテーブルやカウンターに置いておく。ついでに、自分たちも遅めの晩御飯を済ませる。
食べた後のお皿の片付けは妖精さんたちがしてくれるとのことなので、気にはなるがお任せすることにする。
明日の料理の仕込みは朝からするとして、今日使った物の片付けをして、油は高温なので冷えるまで処理できないので明日の朝1番に処理しよう。
初日は100食に全く届かなかったけど、まぁ、それでも半分は出たので良しとしよう!
今日の反省点を生かして、明日は焼肉定食を頑張ろう。
シャドウは気になることがあるので少し出てくると言って外出したので、自分はお風呂に入って、その間に洗濯機を回して、洗濯物を片付けた後、自室に戻り、早めに就寝をする。
明日も朝から頑張らなきゃだからね。
寝坊しないように、スマホで目覚まし時計をセットして。さぁ、おやすみなさい。
読んでいただきありがとうございます。(*^^*)
物語的には51話で一部完。
52話から二部開始です。




