血×懇願
鮮血が迸る。柘榴は唖然とした。どうして……?そう言って我心の体を支える。柘榴の異力は我心のコピーのため我心に害を与えない。柘榴も、隼都が倒れた時のように動けなくなるようなことはもうなかった。もしかしたら、始めからこうなることをどこかで予想していたのかもしれない。我心は何をしようと、どうやって止めようとも自身を始末すると。
傷口を抑える。貫いたといっても、所詮凶器は爪だ。そんな大きな傷ではない。しかし、放っておけば死に至るだろう。
「いい…助けるな」口から滴る血を拭いながら、それでも柘榴を押しのけようとする。その手はあえなく空を掴んだ。その手を柘榴はもう片方の手で握る。
「馬鹿だろ、お前」手にピリッとした違和感がある。柘榴の異力は我心のコピーなため我心に害はなくとも、柘榴には影響を与える。だから触れ続けていれば少しずつ、毒のようにその身を蝕んでいくだろう。我心には振り払う力はない。異力によって守られてきた我心は痛みを知らない。それが今になって跳ね返ってきたのだ。かすり傷を骨折のような痛みに感じとってしまう我心にとって、今の痛みはどれほどのものであるのか。
「はな……せ」かすれた声で懇願する。
「離すかよ。お前が出血多量なんかで死んだら確実に末代まで祟られるわ」そして少し笑ってみせる。祟るなんてこと、我心はしないだろう。されど、今死なれたら俺は一生それを背負い込んでいかないといけない。結局お前は俺を苦しめるんだぜ?でもそのあとの苦しみが嫌で俺はお前を生かそうとしてんじゃない。俺を助けるための死なんて、俺は望んじゃいねぇよ。
「ほぼ……血は止まったな」その時、自分の体内からも熱いものがこみ上げてきた。口を手で覆う。血だ。自分の血。我心から放たれる異力が浸食し始めている。
「や…めろ」我心が起き上がろうとして、また血が流れ始めた。
「やめるのはお前だ!!無茶すんなよ」そのまま手を我心の傷口に被せる。その途端、火花が散った。




