夢×不吉の前兆
「血圧低下!!」
「緊急手術だ!!準備しろ!!」
「はい!!」話からしても、ここは病院らしい。白い壁、長い廊下、そこへ立つ。感覚はない。そうかこれは…
ちちち…ちちち…目覚まし時計の音で飛び起きる。
「夢か…」久々に夢を見た。昨日病院に行ったせいかもしれない。柘榴は伸びをして、関節が鳴る音を聞いた。そのまま起きると、窓を開けっ放しにして寝ていたことに気づき、欠伸をしながら閉めようとする。
「桐生!」下から呼ぶ声が聞こえた。ぼける目を擦る。すると、家の前の通りに我心がいることに気づいた。
「こんな朝早くに何だよ?」
「それより早く降りてきなよ」手を寒そうにポケットに入れる。時計は5時を指していた。面倒くさがりなアイツがわざわざ早起きまでして来たのである。それなりの理由があるのだろう。
外に出る。いつもより肌寒い。
「俺、いつもギリギリで学校行くんだよね。学校近いし、2分あれば間に合うから、15分前に起きるようにしてるわけ。朝ご飯より10分の寝る時間の方が大切…」そう言いながら欠伸をする。
「猫みたいだな」
「正解。それ俺のあだ名。担任が命名したんだけど。いつも寝てるのに、いざとなったら猫のように素速いとか、誰が教えたわけでもないのに、餌にありつく方法を知ってるとか」
「餌にありつく方法?」
「つまり、授業中話を聞いてない癖に、問題を解く方法を知ってるって意味。頭良ければ良い職につける。そしたら餌…じゃない生活に不自由はないってのが担任の考えなわけ。精一杯の嫌みなんじゃないの?」
「そりゃあいい。俺も今度そう呼ばせてもらおう」
「冗談言いに来たんじゃないんだけど。そもそもこんなことしてていいわけ?」
「どういう意味だよ」
「隼都がヤバい状態だってこと」
「ヤバいって…元々がヤバいだろ」
「それが悪化したっぽい。今、生死をさ迷ってるところじゃない?」
「は…?」