北海に深く潜り込んで攻撃する。周りは全て敵だ。
ガララギ、エリンに祈る。
イギ国とスカンチナの軍事基地はおおかた破壊した。ドイ国の一部とパルト海沿岸部の基地もおおかた破壊した。
明日はドイ国の残りとヨオオッパ大陸の内陸国が残っている。訳の分からない国と民族と国境と訳の分からない戦争を繰り返してきた地域だ。
対ㇿ国の軍事基地が多い。ㇿ国はもう無いから無用の長物だから破壊してあげよう。財政にも優しい。放っておけばまた訳の分からない戦争を始める。
北海に深く入り込んで攻撃する。破壊できなかった基地もあるだろうから敵の真っただ中だ。
潜水艦のうじゃうじゃいる海域だ。哨戒機の数を増して警戒を強める。
対潜水艦のステルス潜水艇も全艇出撃させた。探査ソナーを盛大に発出し数の優位を知らせる。
現代戦では数的不利に突っ込んでくる軍隊は居ない。潜水艦も近づかないだろう。こちらが押せば敵は引く。諦めて引き返せ。もっとも引き返す基地を破壊するのが目的だから潜水艦も困るだろう。
今日も未明に作戦は始まる。300機を3機構成の100編隊に組んで基地を破壊する。3回の出撃を予定している。パイロットは疲労困憊に自分の足で立って降りることも出来ないだろう。
現代のシステムの戦闘ではなく、アナログの戦闘を強いられるからだ。
ミサイルで攻撃してくるなら回避は容易だ。
だが銃弾の弾幕を張られるのは鬱陶しい。
高高度から爆弾の雨を降らせるのは範囲が広がり過ぎる。狙いは基地だけだ。
接近アンド退避で虫が食うように破壊していく。反撃が収まれば1トン爆弾を振らせて終わりだ。
一波の攻撃を終えた戦闘機の帰艦で甲板作業員は大忙しだ。燃料・弾薬の補給、異常がないかのチェック。F1のピット並みだ。ただ作業量は格段に多いし高度だ。ただトイレに走るパイロットは高速バスの運転手かと思え笑える。
「ウワー」
ガララギが被弾したようだ。きりもみで落ちていく。
監視しているイージス艦の司令部も緊張した。
僚機に、確認せよ、と緊迫した声が届く。
見下ろす先にきりもみで落ちていくガララギの機が見えた。
ダメかな、地面が迫っている。爆発炎上を覚悟した。
南無さん。目をつぶった。
目を開け再び見る。炎は上がっていない。
地面すれすれで飛行する機が見える。すれすれで立て直したようだ。だが帰艦できるのかな。
「大丈夫か、被害はどうだ。帰艦できるか」
司令部は地面すれすれで飛行するガララギ機を確認した。
「わからなーい。助けてエー」
情けない声音に子供かと突っ込むが放っては置けない。機の状態をモニタに表示した。帰艦は難しそうだ。何処で回収するか。敵の真っただ中だ。
「ウワー」
またガララギの声がした。機から放り出されたようだ。即ち脱出装置が働いた。
「ウエーン、どこだよここは、助けてー」
パラシュートからの声のようだ。ガララギはヨオオッパ大陸の黒い大地に不時着した。
「大丈夫か? ○○時に救助に向かう。それまで持ちこたえよ」
「武器無いよー」
「なんとかしろ」
ガララギはパラシュートを畳んで周りを見た。
畑の真ん中みたいだが遠くに民家も見える。
落下したのはバレバレだ。塹壕みたいな隠れる場所がない。
好き放題撃たれちゃうじゃないか。ァメンタム・ソメンタム。訳の分からない呪文を唱えている。
空を見上げた。良く晴れている。ウワーこんな天気のいい日に死ぬのか。
宮中の広い庭が思い出された。お城からの空も綺麗だったなあ。
ピュン。
なんだ?
ピュン・ピュン。
なんだ ??
ピュン。
ウワー銃弾だ。慌てて身を伏せた。
ピュン。
ワー。
ガララギは慌てて地面を掘った。全然掘れない。
慌てまくるガララギ。身を伏せて辛うじて躱している。
頭を上げたら即貫通だな。
ガララギは黒い地面を見て泣いた。
死ぬのかあ。
一発撃たれて直ぐ死ぬかな。
足なんか撃たれて、痛えーって立ち上がってハチの巣にされるのか。
撃たれても立っちゃダメだな。そんなあ、痛すぎるよ。
ピュン・ピュン。
銃弾は近づいて来る。
ウワー、エリン何とかしろー。
思わず叫んだ。
遠くから飛行音が聞こえたような。
聞きなれた爆音が聞こえたような。
気のせいかな。
エリーンー。
絶叫した。
助けてえー。
その時猛烈な機銃音がした。ピュンは即座に聞こえなくなった。ピッと止まった。
ひっくり返って空を見た。
エリンの機が見えた。
笑っている。
えー、笑うかなあ普通。
エリンが追い散らかしてくれた。
助かったのかなあ、
ヘリコプターを待てばいいのかなあ。
ガララギは撃墜され生還した英雄になった。




