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核ミサイルを撃つ側の悲劇ということ。

大艦隊は空から海からの攻撃に晒された。

 王都にはシキアイが居た。大海洋からのミサイルは全て弾道ミサイルだからシキアイにとっては対処可能だ。再突入して変則軌道するミサイルはまだない。

 ヨオオッパ大陸のネイト―からのミサイルは変則軌道ミサイルだろう。即ちBoost Phaseで迎撃しないと厄介だ。

 宇宙将軍はBoost Phaseを監視する。

 ここで核ミサイルの迎撃問題が発生する。核ミサイルを迎撃したら核爆発するか、だ。迎撃された弾頭が核爆発したら目も当てられない。

 現在は迎撃ミサイルの爆発力は大きくなく核弾頭が爆発することは無いと言われている。だが完全にないとは言えない。

 何らかの偶然により initiator が起動しないと言えなくもないかも知れない。

 だが迎撃すれば爆発しなくとも厄介な弾頭が広く降り注ぐ。処理には多くの時間と金がかかる。

 即ち、核がBoost Phaseで撃墜されるならそれは発射した側の被害だけで味方を撃つことに他ならない。

 宇宙将軍は正確に確実に核ミサイルを迎撃していく。

 暫くしてヨオオッパ大陸の頭上に核弾頭の破片をぶちまけられた国民は憤慨した。

 プルトニュウムの破片が落ちてくる。破片に近づくなと喚き合いながら逃げ場所を探し回った。

 いやそれより早くネイト―どもの核を発射した司令官たちがその事実に気が付いた。

 撃ち方ヤメロ。怒声が響き渡る。

 しかしもう100発近くが発射された。大陸各地の被害は尋常ではないだろう。首が幾つあっても足りない。年金を貰っての隠居生活も夢と消える。

 だが幸運もある。この大事件は将来核廃絶の一つの契機になった。

 ピタッと止まったミサイルに大艦隊もどうしたのかと訝った。宇宙将軍から事態が知らされ、喜んだ。一方大陸の国民を不憫に思った。可哀そうに住む家を追われた。


「シキアイなにやってるのよ。ミサイルが来たわよ」

 大海洋からミサイルが遅れてやってきたようだ。

「申し訳ない」

「申し訳ないじゃ済まないわよ。変則軌道で来るから予測できない。30機掛かりでようやく迎撃できたのよ。ひやひやものよ。肝が潰れたわよ。どうしてくれんのよ」

「申し訳ない」

 変則滑空ミサイルが開発されていたようだ。

「申し訳ないってそれしか言えないの」

「御免なさい」

「みんなに謝りなさいよ」

「御免なさい。代わりに謝ってくれる?」

「なんですって!」

「お願いします。エリン」

「何で名前呼ぶのよ」

 プチ。回線は切れた。ええー??切ったあー!!。逃げちゃう奴だったのかあ、とエリンは憤慨した。


 ステルス潜航艇がイルカのように一生懸命ヒレを動かして大艦隊の周りをおよいでいる。エリンとカガンが原潜を盗むのに使った艇である。その数300有余機。

 その一艇一艇にオペレータが数人が付いている。イージス艦の大部屋に集まる若者たち。数人単位で1隻のステルス潜水艦を監視している。

 それぞれが高性能の指向性音波探知からの信号に目を光らせている。四方八方見逃しは許されない。真剣にモニターに釘付けになる若者たち。目の良さを見込まれたのか。反応の良さを見込まれたのか。ゲームの腕を見込まれたのか。数百人の若者が任務に当たっていた。

「ちょっと来たみたい」

 大きな声が上がった。上官たちが駆け寄って来た。

「どうしよう」

「ばか迎撃しろ」

「間に合わない」

 魚雷が進んで来る。逃せば撃沈される。

「ええい、当たれ」

「どういうこと?」

「体当たりしろ」

「ええー可哀そう」

「バカ無人だ。早く当たれ」

「しょうがないかあ、ごめんね」

 ステルス潜航艇は魚雷の行く手を阻んだ。魚雷が大きくなる。どんどん近づく。モニター一杯に魚雷が映った。そして砂嵐。ステルス潜航艇は死んだようだ。

 遠くの海面に水柱が上がった。

 それが開始の合図だった。無数の魚雷が襲ってくる。全てのモニターに危機を知らせる赤いランプがクルクル回った。

 ゲームではない。死んでスポーンされるなんて無い。失敗は実際の死だ。

 ステルス潜航艇は魚雷に張り付く。その船体を使って深海に向きを変える。ほんの少し深度を変えてやれば魚雷は舟艇の下を通り過ぎる。

 次々向かってくる魚雷の進行を変えていく。失敗すれば自爆して破壊する。格闘すること数時間。さしもの魚雷攻撃も止んだ。

「撃ち尽くしたかな」

「もう無いよねえ」

 若者たちはその名の通り若い。みな10代で中学高校生が主体だ。もちろん小学生もいる。イージス艦には出張教室もあるから勉強から逃れているわけでは無いけど、かなり甘いから皆自由を楽しんできた。

 それは魚雷迎撃シミュレーションゲームだ。反応性のゲームだ。だけどゲームはかなり怖い。キャーキャー叫び声が絶えなかった。

 訓練の賜物か第一波の魚雷攻撃は防いだ。暫し呆然の時だ。

「まだ来るぞ。集中しろ」

 上官の檄が飛ぶ。


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