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理想

秘密基地に到着した俺は裏の畑から薬草を引っこ抜く。

実は育てていたのだ。

まぁ育てたというか……一房植えてみたら増えたというか……って感じだが。


秘密基地に戻ってすり鉢でゴリゴリ。

いつもならここで血を加えるのだが、思いついた事がある。

日頃やっている魔力コネコネだ。


そもそも俺の血をポーションに入れると効果が上がるのは魔力が要因になっていると思われる。

ならばそれを濃くしてやればいいのではなかろうか。


体の中の魔力をコネコネしてあつめる。

そしてそれを右手首に集中させる。


おぉー、右手首がぼんやりと光ってる。


そして優雅にリスカ。

すり鉢にポタポタ血を垂らす。


お!なんか血も光ってるぞ!

こいつは期待できる!


そしてすり鉢に水を加えて、さらにゴリゴリ。

漏斗に濾過紙を引いてポーション瓶にそそぐ。


ふぁー!

いつもと違う透き通った色のポーションだ!

ちなみにいつもは濁った緑。


これは勝ちだな。


俺はまた全力で屋敷に戻り、自室に戻る。


「ごめんなさい……。ごめんなさい……。」


しまった!まだ謝ってる!

もう1時間以上たってると思うんだけど……。


「だっ、大丈夫!大丈夫だから、謝らないで!」


「ごめんなさい……。」


次のを飲めって言いにくい雰囲気だな……。

でもそんなところで空気を読むキンタさんじゃねー。


「悪いけどもう一本試してもらうね。」


有無を言わさずポーションを飲ませる。


「んっ……!?」


驚きながらもコクコクとかわいい音を立ててポーションをのむ彼女。

なんかリスカの血飲ませてると思うと興奮する!


「あっ……あっ、あっ、ううっー!」


また彼女が悶え始める。

しかもなんか光り始めた!


うん?

どこからかビリビリと何かが破れる音が聴こえてくる。


「ああっー!!」


バサァ。

彼女が叫ぶと共に彼女の背中から何かが飛び出る。

それは紫がかったコウモリのような羽だった。


「だっ大丈夫!?」


俺は驚き声をかける。


「だ、いじょ、ぶ……。」


パタリ。

彼女はそのまま気を失い、ベッドに倒れこんだ。


俺は慌てて彼女の呼吸と脈を確認する。

……気絶というよりは寝てるだけみたいだな。

なんか健やかに寝息を立てている。


落ち着いて彼女を観察してみると、変化は羽だけではなかった。

頭には羊のような巻角が生えていて、さらに細長い尻尾みたいなのまで生えている。

……悪魔?

とか考えてみるが、違うだろう。

長細い尻尾の先がハート型になってらっしゃる。


……サキュバスかなーって。



♢ ♦︎ ♢


彼女が寝てしまったので、とりあえず屋敷で夕飯を食べる。


「キンタくん今日何してたのー?」


マリナの質問を躱しながらさっさと飯をかき込んで、部屋に戻る。

ちなみにリリアとくぅは最近マリナに取られているのでマリナの部屋にいる。

くぅだけは夜になるとこっそり俺の布団に潜り込んでくるが。


部屋に入ると彼女が物音で起きたのか、目をくしくしとこすって女の子座りでベッドに座っていた。


あれ!?

角羽根尻尾がない!

俺の気のせいだったのか?


「あっキンタくんだぁ〜。」


「あっおはよう。」


「キンタくんなんで私の側にいなかったの?」


「えっ!?ご飯食べに行ってたんだけど……。」


「はぁ?キンタくんは私の弟なんだからおねぇちゃんにご飯あーんする仕事があるでしょう!」


やべぇ何がなんだかわからん。


「ほら!キンタくん!お腹すいたからパン持ってきて!ジュースもね!あと服!」


「は、はい!」


俺は屋敷を駆けずりながら頼まれたものをあつめる。


「持ってきました!」


「やったー!いただきまぁーす!」


…………?


「キンタくん?なんで食べさせくれないの?」


「あっごめん!」


俺はパンを一口大にちぎる。


「いい子ね。はい、あーん。」


彼女の口にパンを入れる。


「もぐもぐ、キンタくんはいいこねぇ。」


頭をナデナデされる俺。


……どうなってんのこれ。


ちょっと一旦冷静になろう。


「あのさ君、「おねぇちゃんでしょ!!」


「あ、おねぇちゃん。何がどうなってるの?説明して欲しいんだけど……。」


「うーんとね?さっきまで私寝てたでしょ?その時に〜。」


要約すると神のおじいちゃんが彼女……おねぇちゃんの夢に出てきて、色々教えてくれたらしい。

あと羽も出し入れできるようにしてくれたんだと。

で、キンタにお礼がしたいなら理想のおねぇちゃんになってあげなさいと言われたようだ。

サキュバスとして覚醒した本人も、サキュバスらしく振る舞えるため嬉しいみたい。


うーむ。

ご都合展開。

あっもちろん彼女の目と手足は治っていた。


まっ、でもよかったよかった。

神のおじいちゃんの計らいで羽根とか消せるなら人間社会でなじめるだろうし。

とりあえず風呂でも入るか。


「キンタくん?どこいくの?」


部屋を出ようとした俺におねぇちゃんが声をかける。


「うん?お風呂だよ。」


「おねぇちゃんも入る!」


「いいよー、一緒に入ろっか。」


サキュバスと一緒に風呂にはいるとどうなるか。

……俺はまだ反応しない息子をいじられ続ける事になった。


「初めて出す時はおねぇちゃんとね?」


理想のおねぇちゃんゲットだぜ!

一応彼女にも葛藤があります。

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