カニ祭り
翌日、一度村に戻った俺たちは一応村長に今日で片がつくと報告。
その後、くぅを迎えに昨日くぅママと出会った辺りに向かった。
『あら、きたのね。』
着いてすぐに首だけ海から出したくぅママが声をかけてくる。
「お、おはようございます。」
『はい、おはようございます。うふふ、礼儀正しいのね。うちの子にも見習ってほしいわ。ほらっ、くぅちゃん!お迎えに来てくれたわよ!』
くぅは海からすーっと出てくると、砂浜に着地。
しょげているようで、顔はうつむいたまま、ペタペタ歩いて俺の方に向かってきた。
俺は馬から降りると膝立ちになりくぅを迎える。
くぅはそのままトボトボ歩いて俺の近くまで来ると、無言で俺にぎゅーっと抱きついた。
そんなに怖かったのかよ……。
「あ、あの、くぅのお母様!お願いがあるんですけどいいですか?」
アイテムボックスからヤシガニを取り出し、勇気を出して茹でて欲しいと頼む。
『あらあら、美味しそうなカニねぇ。いいわよ、すぐに茹でてあげるわ。』
くぅママがヤシガニを水球で包むと、ヤシガニはみるみる赤くなっていく。
すげぇな……。
熱湯の上に圧力までかかってそうだ。
魔法の圧力鍋か。
あっという間にヤシガニは茹で上がった。
『できたわよぉ。』
「あ、ありがとうございます!お礼と言ってはなんですが、片方の爪は持って帰ってください。」
『あら、ありがとう。それじゃあ遠慮なくいただくわ。』
くぅママは魔法でバキッっと右爪を折ると、水球に包んで自分の横に浮かべる。
『それじゃあ、失礼するわね。キンタさん、くぅちゃんをよろしくね。くぅちゃん!たまには帰ってくるのよ!』
「はい!ありがとうございました!」
くぅママはにっこりすると海へ帰っていった。
貫禄半端ねぇ。
ちなみにくぅはまだ俺にしがみついてプルプルしている。
とりあえずヤシガニをアイテムボックスにしまう。
ヤシガニはしっかり冷水で粗熱を取られてるみたいで、ひえていた。
くぅをなだめながらテントに向かうと隊長さんが出てきた。
隊長さんがくぅをみて、ドラゴン!?みたいな下りを一通りやったあと、ヤシガニを振る舞うことになった。
事前に決めた、くぅが魔獣を倒したという体の話を隊長さんが舞台に立ち、集めた隊員達の前で話す。
おれは隊長さんのとなりに立って、未だにしょげているくぅをぶらーんと掲げる。
すると隊員達から歓声が上がった。
皆口々にくぅを褒めている。
しょげていたくぅはなんのことかわかっていなかったが、とりあえず褒められている事に気がつき機嫌が戻った。
「きゅきゅー!」
単純な奴だ。
俺は舞台の後ろに茹で上がったヤシガニをドンと置いた。
「これがくぅが退治した魔獣でーす!茹でたのでみんなで食べましょー!!」
祭りじゃーい!!
実はポタラさんと村で酒を買い込んできたのだ。
それも次々とアイテムボックスから取り出し並べる。
部隊の人達はヤシガニに群がりどんどん解体していく。
俺はカレーの炊き出しも始め、いよいよ宴会が始まった。
ヤシガニの身や味噌が並んだ皿がテーブルに次々と並べられ、カレーもどんどんよそう。
みんな酒を呷り、楽しそうに笑っている。
くぅはあちこちに褒められに回っている。
ポタラさんと隊長さんも笑顔だ。
これにてヤシガニ編無事解決!
♢ ♦︎ ♢
ヤシガニとカレーをたらふく食い、思う存分酒を飲んだ俺たちは動く事が出来ず、撤退は明日となった。
ちなみに俺も酒はOKだった。
この世界では飲みすぎなければ子供でも飲んでいいらしい。
大概まずいっていって飲まないらしいが。
あ、ちなみに俺のエビカニアレルギーはやはり大丈夫だった。
翌朝。
「おぅええっー、オロオロオロ。」
俺は飲み過ぎにより盛大に吐いていた。
あー。
死ぬ。
「もう飲みません、許してください!助けて…っ、オロオロオロ。」
とまらねー。
とりあえずポーションを取り出し飲んでみる。
……ん?
スッキリ爽快!
ポーションは万能やでぇ。
落ち着いてあたりを見回してみると、吐いている人が多数。
地獄の様相を呈している。
可愛そうなのでポーション配ろう。
俺がポーションを配って回ると、二日酔いから復活した人から順に撤退の準備を始めた。
凱旋である。
みんな意気揚々と準備し、村へ向かった。
数時間後、村に着くとそこには盛大な歓迎が待ち構えていた。
酒、飯、歌。
……祭りじゃーい!!
一日中飲み食いはしゃぐ。
翌朝、俺がポーションのお世話になったのは言うまでもない。




