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ヤシガニ

『その子にくぅと名付けたのね?そうです。私はくぅの母親、マルティです。』


やはりくぅママだった。


『少しくぅとお話がありますので、お借りいただけます?』


「きゅーん!きゅーん!きゅーん!」


くぅが助けて助けてと繰り返している。


『くぅちゃん、あなた進化出来たら一度おうちに顔を出しなさいと言いましたよね……?』


あっ、これあかんやつや!

俺は慈悲もなく、くぅをくぅママに差し出した。

くぅはくぅママの作り出した水球に包まれる。


「きゅーん!きゅーん!」


裏切り者!出せー!とくぅが叫び、暴れる。

あの水球、檻になってるみたいだ。


『ありがとうございます。少しお話があるだけですので、明日の朝ここに迎えに来てあげてくださいね。』


「あっ、はい。わかりました。」


哀れくぅ。

明日まで説教決定。

まぁ実家で飯でも食ってこい。


「きゅーん!きゅーん!」


くぅの悲しい叫びと共にくぅママは海に戻っていった。


「すごいですね。あれが成体のリヴァイアサンですか……。」


ポタラさんも驚いてらっしゃる。


「ポタラさん、魔獣倒しにいきましょ。」


「そうですね。行きましょうか。」


とりあえず服と馬を生活魔法のクリーンとドライで乾かし、先に進む。


少しすすむと、テントの一群が見えてきた。

なんかざわついてんな。


「アリツベルク辺境伯軍、第1魔法騎士隊先発調査部部長ポタラ、ただ今到着いたしました!」


ポタラさんが叫ぶ。

すると奥から強面で右目に眼帯をしている軍服のおじさんが出てきた。


「ポタラ殿、お久しぶりです!」


「おぉ、アラゾフ殿、ご無沙汰しております。」


おじさんはポタラさんの知り合いらしく、話を聞いたところアリューラ駐在部隊の隊長みたいだ。

あ、アリューラってのが村の名前ね。

今知ったよ。


会議用のテントっぽいところで、話を聞く。

騒がしかったのは近くで龍の魔力を探知したかららしい。

ポタラさんが適当にごまかしてくれて、龍はなんとか放置することになった。


さて、本題の魔獣だが、やはり打つ手がないのが現状のようだ。

じゃあ早速いきますか。


「ポタラさん。」


ポタラさんは俺を見て頷き、隊長以外テントの外に出て行くようお願いした。


「隊長さん、俺がサクッと仕留めてきますので。」


隊長さんは何を言っているのかわからない様子だったが、ポタラさんが説明すると不安げながらもなんとか納得してくれた。

どうやら子供を前線に出したくないみたいだ。

この人もいい人だな。


「隊長さん、いってきます。」


まだ心配している隊長さんをよそに、ポタラさんと二人で他の隊員に見つからないよう、こっそりマングローブ林に向かう。


二人でマングローブ林をぴょんぴょん飛びながら移動していると、ポタラさんが魔力探知で魔獣を見つけた。


ポタラさんの指差す方へ、コソコソ近づいてみると確かにいる。


おお、でかいヤシガニだ。

本当にそのままでかくなっただけみたいだな。

うまそう。


「いけますか?」


ポタラさんが聞いてくる。


「大丈夫です。いってみます。」


狩の始まりじゃーい!


俺は全力で走りヤシガニの正面へ。

今回は食べるのが目的なので消しとばすわけにはいかない。

拳ではなく手刀をヤシガニの眉間に突き出した。


ヤシガニはビクン!と反応したのち、完全に静止した。

眉間には何かが貫いたような跡がついている。

うろ覚えでカニの急所を突いたつもりだったけど、合ってたかな?


さらに近づいて甲羅を叩いてみる。

反応はない。


「ポタラさーん!終わりましたよー!」


ポタラさんが木の陰から出てきた。


「はやいですね……。」


「うん!そんなに硬くなかったよ。これどうやって茹でようかなぁ?」


「明日くぅ君の母上に頼んでみては?」


それだ!


そうと決まれば話は早い。

とりあえずヤシガニをアイテムボックスにしまい、隊長さんに報告することにした。


隊長さんはあまりに早い帰還に疑いを見せたが、またしてもポタラさんを信用して話を受け入れた。

ポタラさんの信頼やべぇ。

とりあえず明日の夕方までは現状維持。

ヤシガニ魔獣は日に1回現れていたので、明日1日様子見をして撤退することになった。


ちょうどいいから明日くぅママにヤシガニ茹でてもらったあと、ここで振る舞おうかな。

そしたら魔獣が死んだ証拠にもなるし。


明日はヤシガニ祭りじゃーい!!

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