飯テロ
馬車でヒマなのにも慣れて、今はくぅと魔力トレーニングをしている。
俺の魔力をなんとか外に出せないか、試行錯誤しているのだ。
くぅのドラゴンパワーでなんとかできないか、協力を依頼した。
「きゅーん!」
どうにもなんねーよ!バーカ!とはくぅの言。
まあ生活魔法レベルは使えているので、日常生活で困ることは無いんだがなぁ。
やっぱ魔法、使ってみたいっす!
とりあえず体内の魔力を感じとり、こねこねこね。
続けてたら何か変わればいいなぁ。
魔力を鍛える方法として効果があるかはわからないが、魔力こねこね瞑想を続けていると、馬車が止まった。
俺の膝で丸まって寝ていたくぅが首を上げる。
「今日はここで一晩過ごします。」
御者の人が見る先にはそれなりに大きな建物があった。
中に入ってみると何もない。
高さの低い体育館みたいな感じだ。
床も土むき出しだし。
まあ雨風がしのげる最低限って感じだな。
旅の中間拠点らしい。
俺たち以外にも何人かが固まり火を焚いている。
適当な位置に陣取って、野営の準備をする。
……俺はテロを起こす事にきめた。
まずはアイテムボックスから寸胴鍋を取り出す。
そこに持って来ていた人参、じゃがいも、玉ねぎを放り込み炒める。
水を入れて、布袋に入れたうさぎの骨を放り込み煮込む。
そして、うさぎ肉も一口大に切ってin。
程よく煮込んで、うさぎの骨を取り出したら……!
テッテレー!
自作カレールー!!
アイテムボックス(尻)から自作のカレールーを取り出す。
うんちじゃないよ。
かねてより温めていた計画実行だ。
カレー祭りじゃーい!
香辛料を集めるのには苦労したぜぇ。
クミン、コリアンダーは意外とすぐ見つかったがターメリックがなかなか見つからなかったのだ。
カレールーをポーイと鍋に投入。
バターと牛乳を入れて甘めに調整する。
グツグツ。
あたりに広がるカレーの香り。
すでに他にいたいくつかの集団はこちらをチラチラと見ている。
「不思議な香りですねぇ、なんとも食欲をそそられます。」
ポタラさんも興味津々だ!
4人分器によそい、パンと共に配る。
「パンにつけて食べて下さいね。」
それでは、
「いただきます!」
初めはみんな恐る恐るだったが、一口食べた瞬間、一様に目を輝かせてサジが進む。
うめーうめーとがっつく御者さん。
ふむ、香辛料ですか。と分析しながら食べるポタラさん。
口の周りにベタベタカレーをつけながらがっつくくぅ。
「あーあー、もぅほら。」
俺はくぅの口元を布切れで拭ってやる。
「もうちょっと綺麗に食べなさい!」
「きゅーん!」
返事はいいんだけどなぁ。
またがっつき初めてドロドロになる。
……うん?
てかくぅはリヴァイアサンになり今は立派な前足ってか手がある。
しかも6本指。
おそらく首長竜時代の癖で犬食いしているのだろうが、サジくらい使えるのでは?
「なぁくぅ、手でサジ使って食べれば口汚れないんじゃない?」
「きゅ?……きゅきゅ!?」
お、気がついたようだ。
くぅは自分の手を眺めて、グーパーグーパーしている。
「きゅーん。」
サジくれ、とのこと。
渡してみるとくぅはサジを握りしめて上手にカレーをすくいながら食べ始めた。
「お、上手上手。これからはサジ使おうな。パンも手で食べな。」
「きゅきゅーん!」
手って便利だな!か。
そうだな。
さて、俺も食べますか。
と、自分の皿を持ち上げると、太ったおじさんが近づいてきた。
「あのー、すみません。私、旅商人をやっております、コネルと申します。そちらの料理ですが、見たことのない料理でして……、一皿売っていただく事は出来ますでしょうか?」
飯テロ成功により早速釣れたようだ。
安心してください、釣れた時のために寸胴鍋で作ったんですよ!
しかし商人だけあって売って欲しいとの事だ。
まぁ高価な香辛料をふんだんに使っているから高いのは確かなんだが……。
正直俺すげーしたいが為に配るつもりだったんだよなぁ。
「はじめまして、コネルさん。私がこの料理を作ったキンタです。」
コネルさんは俺たちの集団に話しかけた感じだったので、とりあえず俺が作ったんやでアピールをする。
「えっ!君が作ったんですか!?」
「はい。かんばりました。」
俺渾身のドヤ顔。
まぁ5歳児が作れるとは思わないよな。
「じゃあ君に聞きます。おじさんにこの料理を売ってくれないかな?」
うーむ。
「おじさん、悪い人じゃないですか?」
まぁ悪い人なら正直には言わないだろうが一応聞いておく。
「え!?うーん…。悪い事はしたことないと思うよ。」
まぁそうだよね。
でも子供の俺にも真面目に対応してくれてるし、悪い人じゃなさそうだな。
甘いかもしれないが、俺は基本的に生善説派なのだ。
「じゃあ食べてもいいですよ!お金はいらないです!パンは持参して下さいね。」
「いいのかい?ありがとう!じゃあ器とパンを取ってくるよ。」
「あ、よければ護衛の人も一緒にいいですよ!たくさん作りましたので!……護衛の人に悪い人がいなかったらですけど。」
「ほぅ!そうですか!今の護衛は気のいい若者たちなのです。彼らもこの香りで気にしていたようですので……、お言葉に甘えて声をかけてみますね。」
この後めちゃくちゃカレー祭りをした。




