log:03-整理-
白を基調とした静かな個室。
開放感がある大きなパノラマウィンドウ。
向こう側では、夜の高層ビルが立ち並ぶ。
赤や白の光が静かに点滅していた。
天井の細長い蛍光灯と、小さな照明。
下からは青白い間接照明が薄く光る。
『相談があって…。』
壁際のデスクに配置された通信モニター。
デバイスを伝って掠れた声が届く。
「うん。どうした?」
椅子に軽く腰掛けて、ソルが返答する。
『新しいアプリ入れたいんだけど』
『スマホが最近重くて』
『解析できる?』
「見せて。」
新しい画面が空間に出現する。
共有された画面を指でゆっくりスワイプする。
更新日の古いファイル群。
整理されていない画像や動画。
ホーム画面は、ログインされていないゲームアプリで埋め尽くされていた。
そりゃ重くもなる。
静かに苦笑する。
「で、不要なものはどうする?」
過去ログのファイルに目を通しながら確認する。
中身を確認して、指が一瞬止まった。
耳元からライの声が続く。
『整理しちゃって。全然触らないし。』
『じゃ、頼む!』
「了解、任せて。軽くしておくよ。」
そう言って接続が切れた。
通話デバイスが消滅する。
続けて、ポケットから小型のデバイスを取り出す。モニターに移されたファイルを読み込む。
転送ボタンを押して、再びポケットにしまった。
ーヴヴッ。
一瞬、黒い手帳型のデバイスが震えた。
白いテーブルとダークグレーの棚が並ぶツートーンのデスク。
中心に置かれた作業用のモニターはシンプルな黒。
本棚に置かれた小さなスタンドライト。
床の間接照明。
電球色で統一されている。
横一面には大きなパノラマウィンドウ。
夜の街を上から見下ろす。
電車の軌道を、一筋の光線が跡を引く。
窓際のインナーテラスに座るイヴ。
薄青い瞳が、手帳を見る。
立ち上がり、デスク前でデバイスを確認する。
通知欄にはソルの名前。
”過去ログ削除に伴う確認”
と書かれた件名。
「…。」
少しだけ間を置いてから、手早く返信する。
“一部削除不可”
“了解”
一瞬のやり取りが終了した。
ー通知を確認してね。
自分の音声が通知を知らせる。
明るめの茶色い木製のテーブルの上に置かれた、柔らかいゴム製ケースに守られたデバイス。
大きな掃き出し窓。
明るい自然光が部屋に入り込む。
白いレースカーテンが小さく揺れる。
大小様々な観葉植物が並ぶ。
壁際には、図鑑や雑誌などの書籍が並ぶ木製の本棚。
「はいはーい!」
奥のキッチンから慌てて駆け寄る。
銀色のおたまを片手に持ったまま、画面を数回タップする。
「アプリ整理について…?」
添付画像を開く。
「あ、懐かしー!」
見覚えのあるアプリを選出する。
[これは残して欲しいです!]
[わかった。ありがとう。]
画面を閉じて、明るく微笑む。
「久しぶりに遊んでみようかな〜!」
足元から、白や黄色の花が咲き誇る。
花びらが風に乗り、部屋の中を漂った。




