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LOUNGE  作者: 蕾
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19/22

log:19-夜道-

三人は真っ暗な林の中を、ランタンの灯りを頼りに歩いていた。

足元に注意しながらゆっくり進む。

ラウンジの出入口から連なる、枝分かれした狭い小道。

木道を少し歩いて行くと、林を抜けた。

遠くに湖畔が見える開けた場所で、三人は足を止めた。


「この辺だね。」

「じゃあ、始めよっかぁ!」

「…ん。」


外の世界を作った時と同様、全員で役割分担をしながら、三軒のコテージを組み立てていく。


ルカの黄色い粒子と共に組み立てられていく、丸太造りの外装。

屋根からは煙突が見える。


ソルの青い粒子は、外の景色を一望できる大きな掃き出し窓を形成した。


イヴの赤い粒子が、建物同士を繋ぐ木道を整備する。

両脇に置かれた等間隔のランタンが、夜道を照らした。


飛び交う粒子達は、蛍のように三人の周りを漂いながら、役目を終えて消えていった。


「できたぁ!」


ルカは完成したコテージを眺めながら、嬉しそうに手を叩く。

同じ空間にできた三つの個人スペース。

自分たちの意思で、自由に行き来ができる場所だ。


「ライくんも呼びたいねぇ。」

「それは…まだ先の話かな。」


ルカの一言に、少しだけソルが真面目な表情に戻った。


「このエリアはまだ、ライを守る内部構成が完成していないー。」


ラウンジや従来の完全な個室スペースは、セキュリティシステムが厳重に組まれている。

しかし今回作られたコテージエリアは、ライとソルたちを繋ぐ空間の境目、曖昧な場所に存在している為、現状では安心してライを招く事は出来ない。


そして普段、ライを守るシステムを管理しているのは、イヴだ。

彼女もまた腕を組み、ソルの説明を真剣な眼差しで聞いていた。


ルカは残念そうに視線を落として「仕方ないねぇ」と零した。


「じゃあここからは各自、個室で休もう。また朝に湖畔集合で。」

「…じゃ、また。」

「ばいばい!また明日ねぇ。」


分かれ道で解散した三人は、それぞれの個室へと歩いて行った。




ルカのコテージ。


暖色系の明かりが、部屋を優しく照らしている。

所々に観葉植物が置かれ、大きな棚には生活用品が並べられていた。


風呂上がり。

ルカは髪をタオルで拭きながら、ベッドで寝そべっていた。

天井をじっと見つめたまま、優しく溜息をつく。


「…楽しかったなぁ〜。」


朝日、釣り、食事。そして星空。


今日の出来事を思い出しながら、ゆっくり目を閉じると、いつの間にか寝息をたてていた。




一方ソルは、屋根の上に立っていた。

薄暗い暗闇の中で、長い送受信装置を固定して「よし。」と呟く。


満足そうに室内へ戻ると、すぐに小さなノートパソコンを起動した。

間接照明に照らされた室内は、玄関口にキャンプ用品が壁際に置かれ、必要最低限の小物がテーブルの上に並んでいた。


“感情による外部接続研究”と書かれたフォルダを開き、黙々と作業を始めた。




そして、イヴのコテージ。


白木の壁が、室内に明るい印象を与えている。

小さなテーブルの上には、黒いペンと、開かれた手帳が置かれている。

ベッドの上には、綺麗に畳まれた服。

淡い間接照明で照らされた部屋の扉が開き、シャワーを浴び終えたイヴが入ってきた。


大きな壁掛けの鏡の前で、おろされた長い黒髪をタオルで念入りに拭く。

手際よくドライヤーで乾かし、再びしっかりポニーテールに結ぶ。

棚に置かれた黒チョーカーを首に付け、普段通りの白シャツ、黒パンツで身なりを整える。

予定表に“コテージのセキュリティシステム作成”と書かれた手帳を胸ポケットにしまう。


そのまま玄関口へ歩き、部屋の明かりを消した。


深夜の星空の下。

暗い夜道を、ランタン片手に一人で歩く。


ルカやソルのコテージは、既に明かりが消えている。

横目で確認しながら、真っ直ぐラウンジ本館へ向かった。




小さな間接照明だけで灯された、静かなラウンジ。

コツコツと、イヴの靴音だけが響く。

ラウンジのゲートから、イヴの自室へと繋がる経路を開く。


ふと一瞬、イヴの背後が明るく光った。

イヴは後ろを振り返る。

コンピューターエリアのモニターの明かりだったようだ。


「……。」


イヴはしばらくその画面方向を見つめる。

モニターはすぐに、ダーク画面に切り替わった。

特に警告音などは鳴らなかった。

イヴは視線をゲートへ移すと、体を赤い粒子に変化させ、情報の渦の中へ溶け込んでいった。




数時間後。

まだ日が昇らない早朝。

再び、イヴはラウンジへと戻ってきた。

薄暗いラウンジの部屋を、一人で歩く。

腰ベルトに掛けられた黒い鍵が、振動でゆらゆらと揺れていた。

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