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LOUNGE  作者: 蕾
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15/22

log:15-朝日-

翌日の夜明け前。

まだ暗く静かなラウンジの部屋の中。


部屋の明かりをつけずに、イヴは一人で窓辺のカウンターテーブルに座り、窓の外を眺めていた。


窓辺の外は、景色の輪郭が見え始めている。


今までは再現された映像だったが、今は本物の景色が外に存在している。

そんな初めての朝を、イヴは待ち遠しそうにじっと待っていた。


部屋に接続音が鳴り、ラウンジのメインゲートが開く。

入室してきたルカは、目を擦りながらまだ眠そうな表情で歩いてきた。

椅子に座ったシルエットが見えた途端、一瞬体が跳ね上がる。


「うわっ!…イヴちゃん??」


ルカは思わず大きな声を出し、その場に立ち止まって恐る恐る確認する。

すると、イヴがこちらに視線を向けて小さく頷いた。


「びっくりしたぁ…。まだ夜明け前だよぉ?」


「…ルカこそ。」

「…えへへ。一緒だねぇ。」


ルカもイヴと同じく、初めての朝が待ちきれなかった。

カウンターテーブルに置かれた小さなデジタル時計は、AM3:30を記している。

イヴの隣に座り、頬ずえを着いて窓の外を見つめた。


「本当にできたんだねぇ。」


優しく微笑みながら呟くルカの言葉に、イヴは「うん」と一言返した。




二人は特に会話をする訳でもなく、ただその景色に浸っていた。

外の空がゆっくりと白くなっていく。

朝霧に包まれた湖畔が微かに見える。

窓付近に生える木の葉が朝露に濡れ、水滴が落ちる。


どんどん辺りが明るくなり、ラウンジの部屋の中も二人の姿が見えるようになってきた。


そしてようやく、遠くの山の先から一線の光が射す。

湖畔が光を反射させて輝く。


初めて降り注ぐ、本物の朝日。


「わぁ…!」

「…綺麗。」


二人は眩しそうに、少しだけ目を薄める。

でも、その視線はずっと景色に釘付けだった。




「よぉし!今日も1日スタートだねぇ!」


日が登りきった頃、ルカは椅子から立ち、プランターエリアに置かれた如雨露を取りに行く。

いつも通り、キッチンのシンクで水を汲み始める。


そして、こちらもいつも通りのタイミングで接続音が鳴る。


「あれ、イヴ早い。」


ソルは入室するやいなや、真っ先に違和感を指摘する。

朝に弱いイヴは、普段この時間はまだ眠っているはずだからだ。


「……。」


ソルに対してやや辛辣な態度を取ることがあるイヴは、外を向いたまま黙り込む。

これもまたいつも通りの反応である。


代わりにルカが、笑顔で朝の一部始終を説明した。


「綺麗だったんだよぉ。」

「ああ。なるほどね。」


ソルは納得して頷く。


そして、イヴがそっとソルに視線を向けると、違和感に気づいた。

ソルの服装が、普段と少しだけ違う。


普段は白シャツにサスペンダー姿、上着に青ラインが入った黒テックジャケットが定番だが、今日は白Tシャツ姿。


黒いフィンガーレスの手袋をはめている。

そして、背中にはネイビーカラーの大きなリュック。

完全にアウトドアモードである。


「…荷物多い。」

「キャンプの準備は万全だよ。二人の荷物は?」


ソルの問いに、カウンターテーブルの下に置かれた小型の黒いショルダーバッグを見せるイヴ。

ソルは直ぐさま「荷物少なくない?」と突っ込んだ。


二人のやりとりを眺めていたルカが、慌て始めた。


「私、何も準備してなかった!」


「やっぱりね。」

「…予想通り。」


ソルとイヴは、何となく察しがついていたらしい。


イヴの服装も、普段のオフィス用の白シャツとスーツパンツ姿ではなく、黒で統一されたTシャツ、パンツ、ジャケット姿で、テーブルの上には黒いキャップが置かれていた。


ルカだけが、普段通りの緩く薄い生地のワンピース姿だ。


「ごめんねぇ!すぐ準備してくるから!」

「あ、うん。」


そういってルカは如雨露をソルへ渡し、慌てて自室へと戻って行った。

ソルは任されるがまま、植木鉢へ水を注いだ。




「おまたせぇ〜!」


程なくして、ルカが着替えを済ませて再入室してきた。

ベージュのアウトドアジャケットと黒いアウトドアパンツ。白いニット帽をお洒落に被っている。

ルカらしい、明るめのコーディネートだ。

全員分のティーセットを籠に入れて手にさげていた。


「よし。じゃあ行こうか。」

「…うん。」

「しゅっぱーつ!」


テラスの扉を開き、三人はラウンジの外へ出た。




林道を歩き、長い下り坂を降りる。


林をぬけると、水辺近くの開けた平地にたどり着いた。


「ここにしよう。」


地図を片手に先頭を歩いてたソルが足を止め、重い荷物を降ろした。

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