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最適解の外側で、きみと  作者: 泣きピエロToY
第一部 空が裂けた日
5/6

第五話「同行者」


崩れた建物の隙間から朝日が差し込む。

カエデは目を開ける。


体が重い。

でも、動く。


「……アル」


「応答可能」


すぐに返る。


「いる?」


「はい」


変わらないことが少し心地よかった。

カエデは息を吐く。


昼間は光が強い。

反射を気にしながらアルは進む。


遮蔽を選ぶ。


「直進ルートが最短です」


「見つかるでしょ」


「検知確率、38%」


「高いよ」


進路が変わる。

非効率。

しかし維持される。


瓦礫が崩れ揺れが来る。

ほんのわずかだがアルが調整する。

この行動は最適ではない。

しかしカエデに合わせている。


「……今の」


「最適化です」


「前と違う」


「差異は0.3秒未満です」


「そういうことじゃなくて」


カエデは、少しだけ笑う。


静寂。


「追跡反応、消失」


カエデは息を吐く。


「……ねぇ」


「応答可能」


「人ってね」


少し考える。


「怖いと、近道しないの」


「非合理です」


「うん。でも、そうするの」


沈黙後、そのルートが保存される。



夕方。

仮の休息のためアルは停止する。

振動が消える。


カエデは残り少ない食料を取り出す。


「……食べる?」


「栄養摂取は不要です」


「知ってる」


カエデは、少しだけ笑う。

それ以上は何も言わない。


ただ、黙って食べる。

アルは動かずそれを見ている。


今日は静かな夜。

カエデは目を閉じる。


「……アル」


「はい」


「ここにいて」


「了解」


時間が経過しカエデの呼吸が落ち着く。


アルは動かない。


ログ、保存。

――再生。


「ここにいて」


停止、再生。


「食べる?」


停止。

繰り返す。


分類できないが優先度が上がる。

理由は不明。



内部処理にわずかな遅延が発生していた。


ノイズ発生。

すぐに消える。

ログに残る。

未分類。


アルは動かない。

しかし、何かが変わり始めている。



(第5話 終)

「最適解の外側で、きみと 」は全13話です。

次話は明日12:00投稿予定です。

第二部書き始めました。

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