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イーシスの胚  作者: ozoo39
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第一章 奪われた朝

その朝、村はいつも通りに始まった。


 鶏が鳴き、井戸の滑車が軋み、どこかの家から薄い粥の匂いが流れていた。春先の土はまだ少し冷たく、踏むと湿った感触が靴裏へ残る。畑の畝には朝露が光り、父さんは腰をかがめて土を返していた。


「ダイン、水を汲んできてくれ」


 父さんは振り向きもせずに言った。


「昨日より多めにいる。今日は向こうの畝までやるぞ」


「分かった」


 俺は桶を二つ持ち上げた。


 十歳の腕には、まだ少し大きい。空の桶なら平気だが、水を入れて戻る頃には、いつも指が痛くなる。それでも文句は言わなかった。言えば父さんに笑われるし、母さんには「大きくなった証拠ね」と言われるだけだ。


 畑を継ぐ。


 たぶん、それが俺の未来なのだと思っていた。


 父さんの畑を手伝い、母さんの繕った服を着て、村の誰かにからかわれながら大人になる。冬になれば薪を割り、春になれば種をまき、夏には汗をかき、秋には収穫を手伝う。


 嫌ではなかった。


 村は貧しかったが、俺は村が好きだった。


 百人いるかいないかの小さな村だ。家は多くない。畑も広くない。冬には皆で寒い寒いと文句を言いながら、足りない薪を分け合った。


 けれど、誰かの家で鍋に肉が入れば、その匂いは通りの向こうまで届く。隣の婆さんは口が悪く、向かいの鍛冶屋のバルトさんは酔うと同じ話を三回する。王都の学校へ行く予定のシハル兄さんは、会うたび俺に「お前も勉強しろ」と偉そうに言う。花壇の手入れが好きなメリアさんは、俺が通るたび花の名前を聞かせたがった。


 みんな、他人のはずだった。


 でも、他人という感じはしなかった。


「おう、ダイン。朝から働き者だな」


 道の途中で、バルトさんが鍛冶場の戸を開けていた。太い腕で大きく伸びをしている。


「父さんに言われただけ」


「言われて動くなら十分だ。俺なんか、お前くらいの頃は言われても動かなかった」


「それ、自慢になるの?」


「ならんな」


 バルトさんは、がははと笑った。


 その笑い声を背に、俺は井戸のほうへ向かった。


 村外れの井戸は、少し開けた場所にある。周りには低い柵と、古い木のベンチが一つ。昔はもう少し立派だったらしいが、今は誰かが座るたびにぎしぎし鳴る。


 そこに、先客がいた。


 リノだった。


 同い年のくせに、俺より少し背が高い。短く結んだ栗色の髪が、朝の光で跳ねている。桶を井戸の縁に置いたまま、リノは俺を見るなり、何かに勝ったような顔をした。


「遅い」


「まだ朝だろ」


「朝の中でも遅い朝」


「何だそれ」


「私が先に来てるってこと」


「そっちが早すぎるだけだ」


「違う。私は偉くなる人だから、朝も偉いの」


 意味が分からない。


 けれどリノは、そういうことを真顔で言う。


 俺は井戸の横に桶を置いた。


「また王都の話?」


「またって言い方、失礼じゃない?」


「毎日してるだろ」


「大事な夢は毎日言っておかないと、神様が聞き逃すでしょ」


「神様も大変だな」


「ダインよりは聞き分けがいいと思う」


 リノは縄を引き、桶を井戸の底へ落とした。水音がして、滑車がきい、と鳴る。


「私、王都へ行くから」


「知ってる」


「騎士団に入るから」


「はい、はい それで?」


「それで、弱い人を助けるの」


 その時だけ、リノの声が少し変わった。


 からかう調子が消える。


 俺は桶を見ていた手を止めた。


「弱い人って、誰」


「分かんない」


「分かんないのに助けるのか」


「会った時に分かるでしょ」


 リノは当然のように言った。


「泣いてる人とか、逃げられない人とか、誰にも聞いてもらえない人とか。そういう人を助けるの」


「騎士団って、そういうものなのか」


「そういうものにするの」


「自分で?」


「私が騎士団長になったらね」


 大きく出たな、と思った。


 でも、笑えなかった。


 リノがそう言う時、本気なのを知っていたからだ。


「騎士団長になったら忙しいぞ」


「だから、ダインを家来にしてあげる」


「家来?」


「うん。剣持ち」


「俺が?」


「そう。私の後ろで、こう、立ってるの」


 リノは背筋を伸ばして、片手を腰に当てた。もう片方の手で、俺を指差す。


「剣持ちダイン。早く剣を持ってきなさい」


「嫌だ」


「じゃあ馬の世話役」


「もっと嫌だ」


「贅沢」


「何で俺が怒られるんだよ」


「私が誘ってあげてるのに」


 その最後だけ、少し小さかった。


 俺は返事に迷った。


 リノは桶を引き上げながら、そっぽを向く。


「ダインも来ればいいのに」


「王都に?」


「うん」


「俺は畑がある」


「畑は逃げないでしょ」


「でも、父さんと母さんがいる」


「それは……そうだけど」


 リノは唇を尖らせた。


「でも、ダインだって外の話、好きじゃん」


「別に」


「嘘。シハル兄さんが王都の話をすると、いつも黙って聞いてる」


「聞こえるから聞いてるだけ」


「騎士の話になると、もっと聞いてる」


「……そんなことない」


「ある」


 リノは俺の顔を覗き込んできた。


「本当は行きたいんでしょ」


 言い返せなかった。


 行きたい。


 その言葉を認めると、村を裏切るみたいな気がした。父さんの畑も、母さんの家も、毎朝見るこの道も、全部置いていくと言ってしまうような気がした。


 だから俺は黙った。


 リノは、それを見て少しだけ眉を寄せた。


「ダインって、そういうとこ、いくじなし」


「何だよ」


「行きたいなら行きたいって言えばいいのに」


「決めつけるな」


「じゃあ言ってよ。村から出たくない。王都なんか興味ない。騎士なんかどうでもいいって」


 俺は言えなかった。


 リノは勝ち誇るでもなく、少し困ったように笑った。


「ほら」


「……うるさい」


「うるさいって言う時は、だいたい負けてる時」


「勝ち負けじゃない」


「じゃあ何?」


 俺は桶の縄を引いた。


 水が重い。


 井戸の底から上がってくる水の音だけが、しばらく二人の間にあった。


「リノは」


「うん」


「怖くないのか」


「何が」


「王都とか、騎士団とか。村の外とか」


 リノは少し考えた。


「怖いよ」


「怖いのか」


「当たり前でしょ。私を何だと思ってるの」


「怖くないやつ」


「そんなわけないじゃん」


 リノは引き上げた桶を縁へ置き、手についた水を払った。


「でも、怖いから行かないって言ったら、ずっとここにいることになる」


「ここが嫌なのか」


「嫌じゃないよ」


 リノはすぐに言った。


「この村は好き。バルトさんもうるさいけど好きだし、メリアさんの花も好きだし、ダインのお母さんが焼く固いパンも好き」


「固いって言うな」


「固いけど好きなの」


 そう言って笑う。


 それから、少しだけ真面目な顔になった。


「でも、好きな場所にいるだけじゃ、好きなものを守れるわけじゃないでしょ」


 俺はリノを見た。


「誰かが強くならなきゃいけないなら、私がなる」


「リノが?」


「何、その顔」


「いや」


「今、無理って思った?」


「思ってない」


「思った!」


「少しだけ」


「正直でよろしい」


 リノはなぜか偉そうに頷いた。


「じゃあ、ダインは私の剣持ちね」


「だから嫌だって」


「じゃあ隣」


 不意に、声が軽くなくなった。


「家来じゃなくていいから、隣」


 風が吹いた。


 井戸の水面が少し揺れた。


 俺は何か言おうとした。でも、何を言えばいいのか分からなかった。リノはすぐに照れたように顔を背ける。


「まあ、ダインが畑を継ぎたいって言うなら、別にいいけど」


「怒ってる?」


「怒ってない」


「怒ってるだろ」


「怒ってない。呆れてる」


「もっと悪い」


「そうだよ」


 リノは自分の桶を持ち上げた。


「でも、覚えてて」


「何を」


「私が騎士団長になったら、ダインを迎えに来るから」


「勝手に決めるな」


「勝手に決めるのが偉い人の仕事でしょ」


「そんな騎士団長、嫌だな」


「慣れて」


 リノは笑った。


 俺も、少しだけ笑った。


 それが、俺が見たリノの最後の普通の笑顔だった。


     *


 井戸から戻る途中、村の音が変わった。


 最初は、何が変わったのか分からなかった。


 朝の村には、いつも何かしら音がある。鶏の声。人の声。鍛冶場の金槌。戸を開ける音。子どもが叱られる声。


 それが、途切れていた。


 まったくの静けさではない。


 遠くで木が割れる音がした。

 誰かが叫ぶ声。

 短く切れた悲鳴。


 リノが先に足を止めた。


「……何?」


 俺も桶を下ろした。


 道の先に、バルトさんがいた。


 さっきまで伸びをして、俺に笑いかけていた男だ。


 今は鍛冶場の前に倒れていた。

 片腕を変な角度に伸ばしたまま、動かない。


「バルトさん?」


 俺は呼んだ。


 返事はなかった。


 リノの顔から、色が引いた。


「家のほう……」


 見れば、リノの家の方角から煙が上がっていた。


 細い煙ではない。


 屋根を割るような、黒い煙だった。


「お父さん……お母さん!」


 リノが桶を放り出して走り出した。


「リノ!」


 俺も追った。


 途中で、いくつものものが目に入った。


 シハル兄さんが、門の近くで倒れていた。いつもみたいに偉そうな顔ではなかった。目を開けたまま、空を見ていた。


 メリアさんの花壇は踏み荒らされていた。赤い花が土に混じって潰れている。その横で、メリアさんは膝を折った姿勢のまま動かなかった。


 誰かの戸が開いたまま揺れていた。

 犬が吠えていた。

 泣き声がして、すぐに消えた。


 村が壊れていく。


 そう思った。


 でも、その言葉の意味を考える暇はなかった。


 リノの家は燃えていた。


 屋根の端から火が出て、煙が戸口を黒く塗っている。リノはその前で足を止め、一瞬だけ動けなくなった。


「お父さん!」


 叫ぶ。


「お母さん!」


 返事はない。


 リノが家へ飛び込もうとした。


 俺は後ろからその腕を掴んだ。


「だめだ!」


「離して!」


「燃えてる!」


「中にいる!」


「だめだ、リノ!」


 リノは暴れた。


 こんなに力が強かったのかと思うくらい、必死に俺の手を振りほどこうとした。


「離してよ! まだ――」


 その言葉は最後まで続かなかった。


 家の奥で柱が崩れる音がした。

 火が大きく吹いた。

 熱が顔へ押しつけられる。


 リノの身体から力が抜けた。


 俺はその手を引いた。


「行くぞ」


「でも」


「行くんだ!」


 どこへ。


 分からなかった。


 でも、ここにいたら駄目だと思った。


 俺はリノの手を握ったまま、自分の家のほうへ走った。


 村の真ん中に、人間ではないものがいた。


 人に似ていた。


 腕があり、足があり、服のようなものを着て、刃物を持っていた。けれど人間と同じではなかった。肌の色。目の形。角のようなもの。牙。立っているだけで、こちら側のものではないと分かる何か。


 魔族。


 その言葉は、後になって知った。


 その時の俺には、ただ、人間ではない人間に見えた。


 五人いた。


 一人が家に火を放っていた。

 一人が逃げる村人を斬っていた。

 一人は荷を漁っていた。

 残りは笑っていた。


 戦いではなかった。


 狩りでもなかった。


 ただ、壊していた。


 理由なんてないみたいに。


 そこにあるから斬る。

 そこにあるから燃やす。

 そこにあるから奪う。


 それだけに見えた。


 俺の家も燃えていた。


「……父さん」


 声が出た。


 畑のほうに父さんはいなかった。

 家の戸は開いていて、煙が出ていた。母さんの声もしない。


 リノが俺の手を握り返した。


 震えていた。


 いつも俺を引っ張る手が、今は俺の手にしがみついていた。


「ダイン」


 小さな声だった。


 俺は何も言えなかった。


 近くの納屋が目に入った。


 半分壊れかけていたが、まだ燃えていない。


「こっち」


 俺はリノを引っ張った。


 二人で納屋へ飛び込み、干し草の陰へ身を縮める。


 中は暗かった。

 外の光が板の隙間から細く入っている。煙の臭いと、乾いた草の臭いが混じっていた。


 リノの息が荒い。


 俺も同じだった。


 外で足音がした。

 笑い声。

 何かを蹴る音。

 誰かが短く叫ぶ声。


 リノは両手で口を押さえていた。


 俺は、その手を掴んだ。


 冷たかった。


「大丈夫」


 言った。


 嘘だった。


 大丈夫なものなんて、何一つなかった。


 でも、他に言葉がなかった。


 リノは俺を見た。


 目が濡れていた。


 井戸のそばで「騎士団長になる」と言ったリノと、同じ顔なのに違う顔だった。


「ダイン」


 かすれた声。


「私、さっき……」


「喋るな」


「さっき、迎えに行くって」


「喋るなって」


 俺は唇を噛んだ。


 何か言えば、泣きそうだった。


 外の足音が近づく。


 板の隙間から、影が見えた。


 息を止める。


 影は通り過ぎる。


 そう思った。


 次の瞬間、納屋の戸が蹴り開けられた。


 光が入った。


 魔族が立っていた。


 背は大人より少し高いくらいだった。片方の頬に古い傷があり、手には曲がった刃を持っている。鼻を鳴らすようにして、中を見回した。


 俺はリノの前へ出た。


 何をするつもりだったのか分からない。


 武器なんてない。

 力もない。

 逃げ場もない。


 それでも、前へ出た。


 魔族の目が俺を見た。


 面白いものでも見つけたように、口元が歪む。


 俺は近くに落ちていた農具を掴んだ。

 柄の折れた熊手だった。


 叫びながら振った。


 魔族は避けもしなかった。


 腕で弾かれ、熊手が飛ぶ。

 次に腹を蹴られた。


 息が消えた。


 身体が後ろへ転がる。

 背中を柱へ打ちつけた。

 動こうとしても、身体が言うことをきかない。


 リノが叫んだ。


「ダイン!」


 魔族がリノの腕を掴んだ。


 リノは暴れた。

 蹴った。引っ掻いた。噛みつこうとした。


 でも、子どもの力だった。


 魔族は苛立ったようにリノを引き寄せた。


 俺は手を伸ばした。


 届かなかった。


「やめろ」


 声にならなかった。


 喉が潰れたみたいで、かすれた音しか出ない。


 リノと目が合った。


 さっきの井戸の前とは違う。

 笑っていない。

 怒ってもいない。


 怖がっていた。


 それでも、俺から目を逸らさなかった。


 助けて、と言われた気がした。


 あるいは、逃げて、と言われた気もした。


 どちらだったのか、今でも分からない。


 魔族の刃が上がった。


 俺は動けなかった。


 助けることもできなかった。

 逃げることもできなかった。

 叫ぶことさえ、まともにできなかった。


 刃が落ちた。


 リノの手から、力が抜けた。


 俺の指を掴んでいたはずの手が、するりと離れる。


 まだ名前を呼ぼうとしていた。

 口は動いていた。


 けれど、声は途中で消えた。


 リノは膝から崩れた。


 俺は、それが倒れたのだとすぐには分からなかった。


     *


 どこか遠くで、馬の蹄が鳴った。


 鎧の音。

 怒声。

 金属がぶつかる音。


 魔族が振り向いた。


 納屋の外で誰かが叫ぶ。


「騎士団だ!」


 その声を聞いた瞬間、魔族は俺にとどめを刺さなかった。


 外へ駆け出した。

 別の魔族の声がした。

 それから、戦う音がした。


 俺はリノのほうへ這おうとした。


 腕に力が入らなかった。

 足も動かなかった。

 それでも、少しずつ進んだ。


 リノの手に触れた。


 さっきまで冷たく震えていた手が、今は何も返さなかった。


「リノ」


 呼んだ。


 返事はなかった。


「リノ」


 もう一度呼んだ。


 返事はなかった。


 納屋の入口に、人影が立った。


 騎士だった。


 朝の光を背負っていた。鎧が光って見えた。手には剣を持っていた。


 リノ。


 騎士団に入れたんだな。


 そんな、ありえないことを思った。


     *


 目が覚めた時、天井は石だった。


 白っぽい石に細いひびが走っていて、その隙間に朝の光が少しだけ落ちていた。体を起こそうとすると、背中に鈍い痛みが走った。


「無理をしてはいけません」


 すぐ横から声がした。


 黒い修道服を着た女が椅子に座っていた。


 若いのか年寄りなのか、すぐには分からなかった。修道女というものは、みな少し同じ顔に見える。


「水、飲めますか」


 俺は黙って頷いた。


 差し出された木の杯を両手で受け取る。


 ぬるい水だった。


 けれど喉が焼けるように乾いていたから、それだけで十分だった。


「ここは」


「聖アルディア修道院です」


 修道女は静かに言った。


「あなたは、巡回の騎士団が見つけ、ここへ運んだのです」


 俺は杯を握ったまま、しばらく動かなかった。


「リノは」


 最初に出たのは、その名前だった。


 修道女は、すぐには答えなかった。


「父さんは。母さんは」


 沈黙が、答えだった。


 俺は毛布を握った。


 泣くと思った。


 叫ぶと思った。


 けれど、何も出てこなかった。


 胸の奥に、火種のようなものだけが残っていた。


 村は、なくなった。


 その言葉を聞いたのは、少し後だった気がする。


 誰が言ったのかは覚えていない。


 ただ、その日から、俺の中で朝の匂いが変わった。


 焼けた木の匂い。


 濡れた土の匂い。


 リノの手の温度。


 それらが、何度も何度も戻ってくる中で、俺の中に感じたことのないものが生まれていた。


 憎悪だった。


   ◆


 聖アルディア修道院は、孤児を育てる場所ではなかった。


 少なくとも、後になって思い返すならそうだ。


 あそこは、失った子どもを拾う場所だった。

 けれど拾ったままにはしない。

 名前を記録し、年齢を測り、身体を調べ、声を聞き、利き手を確かめる。


 泣き方まで見られていたのだと、今なら分かる。


 到着して三日目、俺たちは祈祷堂の奥へ並ばされた。


 俺の前にも後ろにも、村を失った子、親に捨てられた子、飢えて倒れていた子がいた。

 まだ夜になると泣く子もいた。

 何も話さない子もいた。


 けれど、その日だけは全員が同じ白い服を着せられていた。


 それまで着ていた服は、戻ってこなかった。


 母さんが繕ってくれた袖も。

 父さんの古い帯も。

 村の土がついた靴も。


 全部、洗うためだと言われた。


 けれど戻らなかった。


 代わりに渡されたのは、白い下衣と、粗い黒の上着と、木札だった。

 木札には名前と年齢が刻まれている。


 ダイン。

 十歳。

 西辺境村落出身。

 適性、剣術基礎候補。


 それを読んだ時、胸の奥が少しだけ冷えた。


 俺は父さんの子でも、母さんの子でも、あの村の子でもなくなったみたいだった。

 ただ、修道院の台帳に収められた一人になった。


 エルノー神父は言った。


「今日から、あなたたちは王国の子です」


 優しい声だった。


「失ったものは戻りません」

「けれど、あなたたちは捨てられたのではありません」

「王国が拾い、神が見届け、騎士団が鍛えます」


 その言葉に、泣いた子がいた。


 安心したのかもしれない。

 俺も少しだけ、そうだった。


 父さんも母さんもいない。

 村もない。

 リノもいない。


 それでも、ここでは俺に食べるものがあり、寝る場所があり、剣を握る理由があった。


 だから疑わなかった。


 疑う余裕もなかった。


 聖アルディア修道院では、朝の鐘が鳴ると全員が同じ時刻に起きた。

 寝台の毛布は同じ形に畳まれる。

 靴の向きも揃える。

 祈祷堂へ入る時は、年齢順ではなく背丈と適性で並ぶ。


 神の前で祈る時でさえ、俺たちは隊列を覚えさせられていた。


 祈祷堂の床には、膝をつく位置を示す細い線が刻まれている。

 ずれれば、修道騎士が杖で床を叩く。

 音は一度だけ。

 それで全員が姿勢を直す。


 祈りの言葉は、毎朝同じだった。


 泉は人の恵み。

 王国は泉の守り手。

 魔は泉を穢すもの。

 剣は祈りの形。


 最初は意味など分からなかった。


 けれど、毎朝唱えるうちに、言葉は少しずつ身体へ入ってくる。

 剣を振る時も、食事の前も、眠る前も、同じ言葉を繰り返す。


 そうしているうちに、いつの間にか、自分の怒りにも名前がついた。


 魔族。


 俺の村を焼いたもの。

 リノを奪ったもの。

 父さんと母さんを動かなくしたもの。

 そして、永遠の泉を奪ったもの。


 修道院では、その全部がひとつの線でつながっていた。


 村の喪失。

 家族の死。

 聖地シェルカエン。

 永遠の泉。

 魔族。


 どれも別々のものだったはずなのに、教義の中では同じ場所へ流れ込んでいく。


 俺はそれを疑わなかった。


 むしろ、ありがたかった。


 ばらばらだった痛みが、ひとつの形になる。

 誰を憎めばいいのか。

 何へ向かえばいいのか。


 その答えを、修道院は毎朝、鐘と一緒に俺たちへ渡してくれた。


 昼には文字を覚えた。

 覚えた文字で、王国史を読まされた。

 聖泉奪還の物語を暗唱し、歴代の聖騎士の名を覚えた。


 俺たちは、読むことを教わりながら、何を正しいと思うべきかも一緒に覚えていった。


 教本には、こう書かれていた。


 かつて永遠の泉は人類の聖地であった。

 だが魔族がそれを奪い、シェルカエンを黒き都へ変えた。

 ゆえに王国は、何度敗れても聖泉軍を送る。

 泉を取り戻すことは、失われた正しさを取り戻すことなのだ、と。


 俺はその文章を何度も読んだ。


 読むたびに、リノの顔が浮かんだ。


 井戸のそばで笑っていたリノ。

 騎士になると言っていたリノ。

 俺を家来にすると勝手に決めていたリノ。


 リノが守りたかったものを、俺は守れなかった。


 だから、今度は俺が剣を取る。


 そう思うと、教本の言葉は俺の中で妙に正しく響いた。


 午後は訓練だった。


 木剣。

 槍。

 走り込み。

 組み伏せ。

 盾の構え。

 倒れた仲間を引きずる練習。

 命令が聞こえない時でも、前の者に合わせて動く練習。


 子どもの遊びではなかった。


 泣いても止まらない。

 転んでも、骨が折れていなければ立たされる。

 血が出れば布で巻かれる。

 熱が出れば医務室へ運ばれ、下がれば列へ戻される。


 冷酷だったのかと聞かれれば、たぶん違う。


 修道女たちは優しかった。

 裂けた手を洗ってくれた。

 眠れない夜には、黙ってそばに座ってくれた。

 小さい子が泣けば、厨房から甘い湯が出ることもあった。


 エルノー神父も、俺たちを道具のようには扱わなかった。


 少なくとも、そう見えた。


 けれど、その優しさもまた、俺たちを列へ戻すためにあった。


 腹を満たす。

 傷を塞ぐ。

 泣き止ませる。

 祈らせる。

 そしてまた、木剣を握らせる。


 寝台の枕元には祈祷書が置かれていた。

 寝台の下には木剣が置かれていた。


 神の言葉と、人を打つ道具が、同じ距離にあった。


 それが聖アルディア修道院だった。


 子どもを救う場所。

 救った子どもを、王国の剣に作り替える場所。


 俺はそれを、おかしいとは思わなかった。


 むしろ、ちょうどよかった。


 俺にはもう、戻る村がなかった。

 父さんも母さんもいなかった。

 リノと交わしかけた未来も、どこにも残っていなかった。


 だから、王国の子になれと言われた時、拒む理由がなかった。


 剣を握れと言われた時、迷う理由がなかった。


 祈れと言われた時、俺は祈った。


 ただし、神へではない。


 あの朝を奪ったものへ、いつか刃が届くように。


 そのために、祈った。


   ◆


 ある日の夕方。


 訓練場の隅で、俺は一人で木剣を振っていた。


 手の皮は破れていた。

 血が柄に滲んでいる。


 それでも、止める気にはならなかった。


 止めると、思い出す。


 井戸のそばで笑っていたリノ。

 燃える家。

 動かなくなった父さんと母さん。

 最後にこちらを見た目。


 だから振った。


 木剣が空を裂く。

 何度も。

 何度も。


 修道院の訓練場は、祈祷堂の裏にあった。


 神の言葉を唱える場所のすぐ隣で、俺たちは人の倒し方を覚えた。

 朝には膝をつき、昼には木剣を振る。


 その順番に、誰も疑問を持たなかった。


 俺も同じだった。


 むしろ、その近さがありがたかった。


 祈りで足りないものを、剣が埋める。

 剣で届かないものを、祈りが正しいと言ってくれる。


 だから振った。


 強く。

 速く。

 息が乱れても。

 手が裂けても。


「おい、新入り」


 声がした。


 俺は振り向かなかった。


「聞こえてるだろ。ダイン」


 名前を呼ばれて、ようやく手を止めた。


 赤茶けた髪の少年が、訓練場の端に立っていた。

 俺より少し背が高い。

 木剣を肩に担ぎ、面倒くさそうな顔をしている。


俺の班のまとめ役 ガレット


 年上だ。

 たぶん、二つか三つ。


 目つきは悪くない。

 でも、態度が悪かった。


「お前、誰かを思い浮かべて振ってるだろ」


 手が止まった。


 リノの顔が浮かぶ。


 井戸のそばで笑っていた顔。

 最後に、こちらを見た目。


 胸の奥に沈めていたものを、勝手に引き上げられた気がした。


「……分かったようなことを言うな」


「分かってないよ」


 ガレットは、あっさり認めた。


「お前の村で何があったのかも、誰を失ったのかも、俺は知らない」

「知ったふりをする気もない」


 その言い方が、少し意外だった。


慰められると思った。

 かわいそうだと言われると思った。

 だから、先に腹を立てる準備をしていた。


 けれど、ガレットはそんな顔をしていなかった。


「でもな、そういう振り方をする奴は見たことがある」


 彼は木剣の先を、俺の手元へ向けた。


「飯も食わずに振る。手が裂けても振る。誰かの名前を呼ぶみたいに、ずっと同じ振り方をする」

「そいつは強くなったよ。たぶん、俺よりずっと」


「なら、いいだろ」


「よくない」


 ガレットの声が、少しだけ低くなった。


「強くなる前に、笑わなくなった」

「笑わなくなってから、誰の声も聞かなくなった」

「そのあと、騎士団に入って、帰ってこなかった」

風が、訓練場の土を薄く撫でた。


 俺は何も言えなかった。


 帰ってこなかった。


 その言葉が、妙に重かった。


 死んだ、とは言わなかった。

 けれど、同じことだった。


「だから何だ」


 ようやく出た声は、自分でも驚くほど硬かった。


「俺もそうなるって言いたいのか」


「そうなるかどうかは知らない」


 ガレットは肩をすくめた。


「でも、今のお前はそっちへ歩いてる」

「しかも、自分では真っ直ぐ歩いてるつもりでな」


 腹が立った。


 けれど、すぐに言い返せなかった。


 真っ直ぐ。


 俺はそう思っていた。

 強くなること。

 魔族を斬れるようになること。

 リノを奪ったものへ、いつか届くこと。


 それだけが、残された道だと思っていた。


 でも、目の前のこいつは、その道の先に何があるかを少しだけ知っているような顔をしていた。


「俺は止めないぞ」


 ガレットは言った。


「憎むなとも言わない」

「たぶん、そんなこと言われても無理だろ」


 その言葉に、胸の奥が少しだけ揺れた。


 無理だ。


 憎まないなんて、できない。

 許すなんて、もっとできない。


 ガレットは、それを否定しなかった。


「でも、今日ここで倒れるのは違う」

「明日も振りたいなら、今日飯を食え」

「明後日も立ちたいなら、今日は手を残せ」

「それもできない奴は、魔族の前に立つ前に、自分で自分を潰す」


 俺は、血の滲んだ手を見た。


 痛みはあった。

 けれど、それを痛みとして扱うことが、どこか裏切りのように思えていた。


 だが、ガレットは違うことを言っているのだと分かった。


 止めろ、と言っているのではない。


 続けろと言っている。


 明日も。

 その次も。

 生きて、振り続けろと言っている。


 それが妙に腹立たしくて、同時に、少しだけ息がしやすかった。


「……お前、説教くさいな」


「エルノー神父様に似てきたか?」


「そこまでは言ってない」


「なら安心した」


 ガレットは木剣を構えた。


「まだ振りたいなら、木じゃなくて俺にしろ」

「木は避けないし、止めてもくれない」

「俺なら、まあ、多少は受ける」


「怪我しても知らないぞ」


「こっちの台詞だ、新入り」


 俺は踏み込んだ。


 木剣がぶつかる。


 乾いた音が響いた。


 一撃目。

 二撃目。

 三撃目。


 力任せだった。

 型も、間合いもなかった。


 ただ、目の前のものを壊したかった。


 けれど、ガレットは逃げなかった。


 受ける。

 流す。

 下がる。


 それでも、完全には離れない。


 俺の怒りが空を切りそうになるたび、そこに木剣を置いてくる。


 まるで、行き場のないものを少しずつ受け止めているみたいだった。


 そのことが、また腹立たしかった。


 けれど同時に、俺は気づいていた。


 さっきまで一人で木を殴っていた時より、息ができる。


 俺の木剣が大きく外れた。


 次の瞬間、手首に痛みが走った。


 木剣が落ちる。


 拾おうとした俺より先に、ガレットがその上へ足を乗せた。


「終わり」

「返せ」

「返したら、また振るだろ」

「当たり前だ」


 俺は睨んだ。


 ガレットは息を切らしていた。

 肩が上下している。

 ふざけた口を叩いていたくせに、額には汗が浮いていた。


 でも、足はどかなかった。


「勝ったつもりか」


「まさか。勝った奴はこんなに息切れしない」


「なら、どけ」


「嫌だ」


「しつこい」


「俺の数少ない長所だ」


 ガレットは俺の手を顎で示した。


「血、増えてる」


「だから何だ」


「明日、木剣握れなくなる」


「握る」


「根性で?」


「そうだ」


「根性は便利だけど、手の皮は戻らないぞ」


 ガレットは木剣を拾い上げた。


「飯の時間だ」


「関係ない」


「ある」

「明日も振るなら、今日食え」


「……木剣」

「食堂まで預かる」

「盗むな」

「預かりは班長業務だ」

 ガレットは少しだけ笑い歩き出した。


俺は遅れて、その後を追った。


   ◆


 第三期聖泉軍の撤退が伝えられたのは、冬の終わりだった。


 その朝も、鐘は同じ時刻に鳴った。


 毛布を畳み、祈祷堂へ並び、膝をつく。

 いつもと同じはずなのに、祈りの声だけが重かった。


 エルノー神父は、祭壇の前で静かに言った。


「第三期聖泉軍が、撤退しました」


 祈祷堂の空気が止まった。


「多くの者が、戻りませんでした」


 戻らない。


 その言葉を聞いた時、俺の胸に浮かんだのは悲しみではなかった。


 またか、と思った。


 また、奪われた。


 俺の村を焼いたもの。

 リノを奪ったもの。

 父さんと母さんを動かなくしたもの。


 それと同じ側にいるものが、今度は聖泉軍の人たちを奪った。


 神父は、死者の名を読み上げた。


 知らない名が多かった。

 けれど、いくつかは聞き覚えがあった。


 食堂で笑っていた従士。

 訓練場で木剣の握りを直してくれた青年。

 ガレットが時々、兄貴分のように話していた先輩。


 同じ鐘で起きた人たちだった。

 同じ祈りを唱えた人たちだった。

 同じ食堂で、薄い粥を食べていた人たちだった。


 その人たちは、魔族のいる土地へ向かい、名だけになって帰ってきた。


 俺は膝の上で拳を握った。


 悲しむより先に、指先へ力がこもった。


 なぜ、あいつらばかりが奪う。


 なぜ、こちらばかりが失う。


 なぜ、リノも、父さんも、母さんも、聖泉軍の人たちも、動かなくならなければならなかった。


「彼らは敗れたのではありません」


 エルノー神父は言った。


「列を、次の者へ渡したのです」


 列。


 その言葉が、胸の奥へ刺さった。


 前の者が倒れたら、次の者が立つ。


 それなら、俺が立つ。


 その時、初めてそう思った。


   ◆


 昼の食堂は静かだった。


 誰も粥の薄さに文句を言わなかった。

 ガレットも、珍しく喋らなかった。


 俺の向かいで、匙を持ったまま器を見ている。


「知ってる人、いたのか」


 俺が聞くと、ガレットは短く答えた。


「いた」


 それだけだった。


 いつものガレットなら、余計なことを三つくらい足す。

 今日はなかった。


 俺はそれ以上聞かなかった。


 代わりに、隣の席で年長の少年たちが話している声が聞こえた。


「マルコム卿は戻ったらしい」


 その名に、食堂の空気が少しだけ動いた。


「本当か」


「ああ。崩れた隊をまとめて、敵の包囲を抜けたって」

「負傷者も連れて帰ったらしい」


「さすがだな」


「第三期が全滅しなかったのは、あの人がいたからだって」


 マルコム。


 その名は知っていた。


 王国の英雄。

 何度も前線へ出て、生きて戻る騎士。

 魔族を前にしても退かず、兵を鼓舞し、折れた隊を立て直す男。


 俺は、その名を聞きながら、匙を握りしめていた。


 帰らなかった人たちがいる。

 でも、帰った人もいる。


 魔族に奪われるだけで終わらなかった人がいる。


 殺される側ではなく、斬り返す側に立った人がいる。


 マルコム卿は、そういう人なのだと思った。


 胸の奥に残っていた火種が、少しずつ形を持ち始める。


 俺も、ああなりたい。


 優しい人になりたいと思ったわけじゃない。

 立派な騎士になりたいと思ったわけでもない。


 魔族を前にしても退かず、剣を振り返せる人間になりたかった。


 ガレットがぼそっと言った。


「英雄ってのは、便利だな」


 俺は顔を上げた。


「何が」


「みんな、ちょっと息ができる顔になる」


 そう言われて、食堂を見た。


 確かに、さっきまで沈んでいた年長者たちの顔に、少しだけ血が戻っていた。


 誰も笑ってはいない。

 けれど、ただ奪われただけではないと思いたがっている。


 俺も同じだった。


「それでいいだろ」


 俺は言った。


「魔族に奪われて、それで終わりじゃない」

「戻ってきた人がいるなら、次はもっとやれる」


 ガレットは俺を見た。


「お前、次って言う時だけ顔が変わるな」


「悪いか」


「悪いとは言ってない」


「なら何だ」


「……飯がまずくなる顔だなって思っただけ」


 俺は何も返さなかった。


 ガレットは匙を口へ運んだ。


「でも、食えよ」


「食ってる」


「足りない」

「魔族を憎むのはいいけど、粥にまで喧嘩売るな」


「売ってない」


「その顔は売ってる」


 くだらない言い方だった。


 けれど、俺は器を置かなかった。


 最後まで食べた。


   ◆


 その日の夕方、王都から使者が来た。


 騎士団の紋章が入った外套。

 泥のついた馬。

 疲れた顔。


 だが、その背筋だけは真っ直ぐだった。


 使者は神父たちと短く話し、祈祷堂へ入った。

 俺たちは外で待たされた。


 扉の向こうから、低い声が漏れる。


 内容は聞こえない。


 けれど、何の話かは分かった気がした。


 第三期が帰らなかった。

 なら、次の列を作る。


 第四期聖泉軍。


 その言葉はまだ誰も口にしていない。

 それでも、俺の中ではもう形になっていた。


 行きたい。


 そう思った。


 怖いより先に、行きたいと思った。


 魔族に近づける。

 剣が届く場所へ行ける。

 リノを奪ったものと同じ側にいる連中を、自分の手で斬れるかもしれない。


 その考えだけで、喉の奥が熱くなった。


 奪われた朝の続きを、


 いつか、その朝を奪ったものへ届くために。


 

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