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#33 あの頃の匂い

風に揺れる木々のざわめき

耳に突き刺さる蝉の声

小刻みに響くチョークの音

?「...ば!…つきば!…皐月葉(さつきば)!」

皐月葉と呼ばれた青年「は、はい!」

ガタン!

黒板の前で先生と思わしき人が怒鳴り

飛び起きた青年に対しクラス中から笑いが起きる

クラスメイト「はは!なにしてんだよ。千隼(ちはや)。」

サツキ「す、すみません。」


キーンコーンカーンコーン


青年「さっきは派手にやらかしてたな。千隼。」

千隼「それ以上、言うなよ。晴也(はれや)!」

晴也「いやぁすまんすまん。てか、千隼!聞けよ。俺、タイム1秒!縮んじまったもんねぇ。」

千隼「はぁ、たった一秒かよ。」

晴也「なんだよ、たったって。」

千隼「そんなんじゃ俺のタイムは抜けねぇな。」

晴也「てめぇ!」

千隼「悪かったって!どうする?今日は。」

晴也「決まってんだろ。部室までどっちが先につけるか勝負だ!」

千隼「望むところだ!よーい、ドン!」


放課後陸上部の活動中

顧問「おまえら!弱音を吐かずに走れ!」

生徒A「まじで、時代遅れすぎるだろあの顧問!」

生徒B「あの化け物2人のせいだろ。」

晴也「おい、いつでもくたばっていいぞ!」

千隼「お前こそもうきついだろ!」

生徒A「どうなってんだよあいつら。」

急に晴也が止まる

千隼「あ?どうしたんだよ。ギブか?」

晴也「おい、千隼。あれ、やばくね?」

千隼「あ?」

千隼は晴也の方を向くとボールを追いかけ道路に出る子供の姿と走ってくるトラックの姿だった。

千隼「止まる気配がねぇ。」

顧問「おいおまえら!何サボってんだ!」

晴也「先生!あれ!」

千隼はそんなやり取り関係なしに学校から飛び出した

顧問「皐月葉!どこ行く!」

晴也「千隼!無茶だ!」

子供「待ってぇ!」

運転手「あぁ、寝みぃ。あ?ああああああ!」

キーーーー!バン!

トラックに吹き飛ばされたのは千隼だった

晴也「嘘だろ!千隼!お前がいねぇと俺は!俺は!」

千隼は救急搬送されたが助かることはなかった

その日、病院から一人の遺体が消えた


事故から時が経ち

陸上部の活動が再開した

顧問「晴也!タイムがめちゃくちゃ伸びてるじゃねぇか!」

1人の青年がその活動を遠くで見ていた

その青年はあの日に死んだはずの千隼だった

千隼「あいつ、俺のことを悩まずにタイム伸ばしんでんだな。なんか安心した。」

晴也「当たり前じゃないすか、先生。千隼(あいつ)がいねぇから本気で走れんすよ。」

千隼「!?」

晴也「あんなクソ遅せぇ凡人に合わせてたんすよ。俺みたいな天才があんな”凡人”と!」

千隼「そうか、あいつはああいうやつだったのか。知れるなんて死んでよかったかもな。」


晴也は部活が終わり家に帰っていた

晴也「あぁ、もう推薦貰ったし。この脚なら俺は輝けるなぁ。千隼(あいつ)が死んで足のリミッターを外せる喜び!最高!」

千隼「良かったな。」

晴也「な、なんで!生きてんだよ!」

千隼「詳しいことはわかんねぇよ。」

晴也「良かった。お前がいねぇと俺は。」

千隼「もう猫被んなよ。天才気取り。」

晴也「あっそ。聞いてたのか。」

千隼「死ぬ前にお前の本性知れて良かったよ。」

晴也「死ぬ前にってお前もう死んでんだろ!」

千隼「死ぬのはお前だよ。」

千隼は電車に轢かれ姿を変える

そして晴也を殺した

サツキ「これが、俺の初めての変身(じさつ)。そして初めて人を殺した瞬間だった。あの日から俺は皐月葉 千隼からサツキになったんだ。でも変だなぁ。なんでこんな昔の記憶、思い出しちまったんだろう。あぁそうかこれが...」

現代に戻りサツキはシンクの拳を食らっていた

サツキ「走馬灯か。」


読んでいただきありがとうございました

今回も少し短いですがご了承ください

誤字等がございましたらよろしくお願いします

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