第110 話 ピンチはピンチ!!
流石に巨大に刃が落ちてくる寸前となれば、マリにも余裕は無い。 必死に助けを呼ぶが、処刑人の手がロープに触れる。
「ぎゃっ?!」
その瞬間、矢が飛来し処刑人の頭を射抜いた。
「ちっ! 敵襲だ! 狙撃されているぞ!!」
処刑人が倒れ込むのをブラックはとっさに回避し、兵士達に警戒を促す。
しかし、今度は見物台が突然爆発する様に崩れた。
「ぎゃぁー!? 誰だ?! 狙いは僕か?! 助けろ! 僕を今すぐに助けろーー!」
赤髪のガッチリとした体格のメイドが見物台を薙ぎ倒しながらアバン皇帝へと向かう。
襲撃の狙いは自分だと勘違いしたアバン皇帝が泣きながら叫ぶ。
皇帝に命令されたとなれば、兵士達のとるべき行動は1つだ。
「皆の者! アバン皇帝陛下をお救いし、お守りするのだ! 急げぇー!」
処刑台の側で近衛師団団長に就任した元副団長のピレンが、周囲を見張っていた近衛師団に命令した事で殆どの兵士が一斉に見物台に殺到した。
帝国民達はこの騒ぎにパニックを起こし、逃げ惑うが人数が多すぎる為に上手く避難も出来ない。
「くっ……馬鹿共め! 狙いがアバン皇帝陛下な理由ないだろうが!」
処刑台の周りに兵士達が少なくなった隙に、パニックの帝国民達の隙間からメリー達が姿勢を低くし猛スピードで駆けてきた。
「メリーさん!! 皆! 信じてたよぉぉぉぉぉ!」
マリは喜びの声を上げるが、まだ危険は去っていない。
ロープを切られるだけで、マリの首は落ちるのだ。
「ファースト! セカンド! このまま陛下をお救いします! 処刑台の上にいる不審な兵士は件の人形だと思い警戒しなさい! 突撃!!」
「「はっ!」」
凄まじい速度でメリー達は接近しているが、処刑台の上には見張りの精霊人形2体とブラック達が居る。
下には近衛師団団長ピレンに30名の兵士達が剣を抜き待ち構える。
まだ油断は出来ない状況だ。
「おいクロモト! 精霊人形に命令しろ! 私はロープを斬る! ……クロモト?! おい、貴様! だから寝ろと言ったであろう!」
ブラックがクロモトに振り返ると、クロモトは立ったまま寝落ちしており完全に熟睡していた。
「くそっ! ピレン団長、襲撃者達を殺せ! 行け!」
「はっ! お前達、敵はただのメイドだ! 斬り殺してしまえ!」
「「「「「「「殺せー!」」」」」」」
30名の兵士達が一斉に斬り掛かる。
更に、後方から不審な動きをする兵士が4名追ってきていた。
「ファースト後ろを! 恐らくアレも精霊人形よ、無理せずに時間を稼ぎなさい。 セカンド、前から来る兵士達を!」
「「はっ!」」
変装を解いて襲ってきた4体の精霊人形の攻撃をファーストが躱し、セカンドが前方の敵兵士達を迎え撃つ。
メリーがすり抜け、処刑台に走るがまだ距離がある。
「あっ! 不味いかも! 不味いかもー! メリーさーん! ロープ切られるーーー!」
ブラックがロープを切りに向かっているのに気付いたマリが叫んだ。 しかし、メリーはまだ到着まで数秒掛かるだろう。
最悪な事に処刑台の上に居た2体の精霊人形がメリーを阻んだ。 後一歩の所で邪魔をされ、処刑台に届かない。
「悪いが、計画の為なんだ。 恨んでくれて構わない!」
ブラックがロープ目掛けて剣を振る。
メリーは瞬時にフィフスに目配せをするが。
狙撃の達人であるフィフスはフォースの援護で手一杯だ。
「サード! お願い!」
メリーが叫んだと同時に裏手に回っていた近衛師団団長ピレンが横入りしブラックの剣を既の所で受け止めた。




