家族
クリシーとやいちの戦っていた場所よりもさらに上空に浮いていた島では。
「なん、で……我々を…裏切っ、た?」
シリウスが裏切り者であるベリウスへと近づいていた。肌身離さず、常に持っている二丁のリボルバー式拳銃に弾を込めながら。
ベリウスは自分の右足を抑えながら、答える。
「栄華の時も、それを真っ先に訊ねてたな……。言っただろ?私はお前を越えるために、裏切った。そして、ワールド・ルーラーよりも、奴ら魔王残党軍の方が一枚上手だと思ったからだ」
「……本当に、それ、だけ…か?」
「何?」
「話、聞いてて……嘘を言っている、とは…思わなかった。が、全部…は言っていない、と思った。いや、もしかして…お前…自分に……嘘を…」
「うるせぇ!」
ベリウスは自分の何かに触れようとしたシリウスのセリフを遮り、周囲の空間を圧縮させ、ぐにゃり、とシリウスの視界を歪ませる。
「お前に私の何が分かる!?理解したような気でいるんじゃねぇ!!」
「確かに、分からない…。でも、感じる」
「感じる?ははっ、確かに子供の頃からの付き合いだ。お前は誰よりも私の理解者に成れる可能性があるのかもしれない。だが!!」
右手を前へかざし、ベリウスとシリウスの間に在る空間を圧縮させる。
シリウスは強制的にベリウスの目の前まで引っ張られる。
「ッ!」
さすがのシリウスでもすぐに対応が出来ず、そのままベリウスに一発、顔面にパンチを喰らってしまい、勢いよく鼻血が飛び出る。
「おらッ、もう一発!」
鼻血で赤く染まった拳にもっと、力を込め、シリウスの顔へと襲い掛かるが、さすがに二発目を喰らうことは無く、それを躱す。そして、まるで西部劇の早撃ちのように、素早くバンッ!とベリウスの眉間へと目掛けて弾丸が放たれる。
「痛ッ!」
弾丸の威力を殺すことが出来ず、頭がものすごく反れるが、足に力を入れ、踏ん張ることで、倒れることは無かった。
ポタリ、と頭から血が垂れる。が、その弾丸は止まっていた。彼女の皮膚を突き破っているだけで、その奥にある肉、頭蓋骨には到達していなかった。しかも、その弾丸はぐちゃぐちゃに、小さくもなっていた。
「さすがだ、『元』最強……」
「まだ、『今』も…最強の……つもりだ…!」
今度はシリウスが魔力の込めた拳で、ベリウスの腹へと一撃与える。
それを予測していたのか、空間を圧縮させ、後方へと素早く逃げる。そして、高く飛び上がると、懐にどうやって入れていたのか、分からないほどの大きさのマチェットを取り出し、空中に三つの魔法陣を展開させる。
「燃え果てろッ!」
それぞれの魔法陣から火球が飛び出し、シリウスに襲い掛かる。
シリウスは冷静に、銃を構え、相手を見つめる。
「命令は絶対、任務は遂行、敵は排除、問題は……無い!」
魔力を込めた弾丸を放ったシリウス。その弾丸は火球に接近すると、爆発し、火球は威力を無くし、そのまま空中に霧散する。
「魔具…か。しかも、栄華の時の、ヤツを、修復して…使っている、のだな…。だが……その程度、効かないことく、らい……分かっている、だろ?」
「ははッ、だが、牽制程度なら、出来るだろう!」
さらに剣を連続で素早く振り下ろし、炎を纏った衝撃波を何個も生み出す。
シリウスは飛び上がり、それを華麗に躱しながらも、ベリウスに近づき、射撃する。




