神座闘争 24
頭、首、胸といった急所は運がいい事に刃が当たらなかった、もしくは、擦れたため、致命傷は無かったが、それでも腕、足などには深く突き刺さった箇所もあり、口を食いしばって、必死に立ち上がる頃には真っ白な大地が赤く染まっていた。
「さて、来ないなら、俺から行くぞ!」
空中に無数の魔力の球が出現。そのままやいちに向かって襲い掛かる。
「マジか、よ……!」
今度はやいちが魔樹林の中に溶け込み、走っていく。だが、さすがに気配を消すことは出来ず、魔樹と魔樹の間を走ることで、せめて上手く狙えないようにすることぐらいしかやいちは出来なかった。
(どうする?このまま負けっぱなしじゃあ、まずいぞ!!)
魔力球を躱しながらも、思考する。が、やいちの腹に衝撃がやってくる。
「ガハッ!?」
いつの間にか、クリシーが目の前にいる。
「魔力球は遠隔操作が可能だ。お前は魔力球に警戒し、対応していた。故に、お前の進む場所へと俺が先回りした。追いつめられているお前の動きは単調になり、より一層予測しやすかったぞ」
「ッ……」
みぞおちに入ったのか、呼吸が出来ない。肺が一切機能していないように感じる。
(だ…‥めだ。思考を…止める、なぁ!!)
口をパクパク開ける。だが、酸素は一切入らない。
「はぁ……。まだ『お遊び』程度だったんだがなぁ。あんなに自信満々に勝利宣言をしたのが馬鹿に感じるほどだ。こんな奴、勝利宣言する必要も無かったな」
そう言って、魔法陣を空中に描く。
「せめて、俺の使える最高の魔法で殺してやろう」
魔力が魔法陣に集まる。
この絶体絶命な状況で、やいちは逆に冷静になっていた。
(何故、ここまで翻弄させられる?場所、時間?相手?いや、確かにこんな雪の積もった場所で戦ったことは無いが、魔力で肉体能力を上昇させているんだ。雪程度は障害にならない。時間?そんなのも、一切関係ないと言える。相手……あいて?人?いや、少し違うな。もしかして……)
「さようならだ。神級魔法〈グロリアス・クラ―」
魔法を唱えているその最中、やいちは放出させている魔力全てを剣先に集め、全力でクリシーに向けて電気に変換し、放出させる。
「おらぁぁぁ!!」
クリシーは驚きながらも、バリアを展開。だが、さすがに防御しきれず、バリン!と割れ、攻撃が直撃してしまう。
バチバチッ!と皮膚が焦げ、肉が焼ける匂いが漂う。
「くッ!テメェ……!」
「はぁ……はぁ……。なんだ、そういうことか…!俺がお前に勝てない理由っていうのは…!」
「……」
「俺はお前より強い。それは断言できる。けど、俺はお前に勝てない。それは経験でも、魔力量でも、才能でもない、技術でもない。『魔法』だ。俺は確かに、魔法を使う相手と戦った事がない」
「……そうだ。それが俺が勝利宣言をした理由だ。だが、俺はまだ習得している魔法全てを出したわけじゃないし、他にも勝機となる要因はある。なんなら敵の攻撃を跳ね返す中級魔法しか使ってない。それに対し、お前はもう満身創痍。死にかけ、魔力もさっきの攻撃で大分消費した。もう勝ち目はほぼないだろ?」
「いや、それさえ分かれば、それで良い。分かっているのと分かってないのじゃあ、全く違うからな。確かに、まだ俺はお前に勝てない。でも、この戦いを通して、俺はお前を超えて見せる!」




