神座闘争 23
さぁ、今度は何処から来る!
再び四方八方を見渡しながら、気配を感じようとする。
すると、バシュン!と勢いよく刃の如き三つの衝撃波が木々の間からやいち目掛けて襲い掛かってくる。
それをすぐさまやいちは、はじき返す。
ザクッ。
雪の踏む音。
(また後ろか!?いや、違うな!!)
何かを察知したやいちはすぐさま後ろを振り向くのを止め、途中でものすごく高く飛び上がる。すると、いつの間にかやいちの右にクリシーが居り、もう少し遅ければ、頭に杖が思いっきり叩きつけられていた。
「あぶねッ……!」
やいちは空中で腰をひねり、態勢を変え、そのままクリシーの頭目掛けて蹴りかかる。のだが、それを杖で受け止められる。
諦めず、受け止められたまま足の力を入れていき、防御を崩そうと試みる。
「くッ!さすがに純粋なパワー勝負じゃあ押し負けるな……」
大人しくクリシーは下がり、またまた気配を消そうとする所を、やいちは電撃を放ち、邪魔をする。さすがに電気の速さには対応が出来ず、そのまま体をしびれさせられる。
「さすがに何度も逃げさせるかよ!!」
剣に魔力を込め、何度も突く。
これはクリシーがピンチである。
のはずなのだ。
だが、嗤っている。
(何か、来る…?)
警戒しないわけにはいかない。だが、これがハッタリでやいちの動きを止めるためのものかもしれない。それに、ここを逃せばまた気配を消される。
ここで素早く決着をつける!
「馬鹿が」
クリシーがそう呟いた直後、奴の前に大きな魔法陣が展開される。そして、一瞬で魔法陣が消えたかと思うと、代わりにコンクリートの壁のようなものが出現する。
(一体どんな魔法か分からんが、破壊してやる!)
そう思いながら、さらに剣に魔力を上乗せし、壁を破壊しようとする。が……
グサグサグサ!
「な……に…?」
俺が……剣で刺されている?
目の前の出来事に頭が整理できなかった。
まず、壁に剣は直撃した。そして、すんなりと貫通した。いや、あれはすんなりどころではなかった。まるで、壁が自分から来ているかのような、壁が液体で構成されているのような…そんな錯覚を覚えるほどの違和感があった。
しかし、その違和感を無視したまま壁を何度も突き刺した。
その数秒後、壁からやいちの持っている剣と同じ刃が壁から出現したのだ。しかも、向かってくる刃の魔力量は、自分が剣に纏わせていた魔力量とほぼ同じ量だった。
「ぐゥ…がッはァ……!」
口からも血が出てくる。
体中が痛い。呼吸も上手く出来ない。状況は…分からない。
「何が、ゴホォッ!起きた…!?」
「防御魔法だ。しかも、相手の攻撃を跳ね返すというね。おまけに無詠唱で発動させたから、より一層魔法の内容の予測が出来なかっただろ?」
「はぁ、はぁ」
やいちはクリシーを睨みながら、彼の言葉に耳を傾ける。
「その状態でもまだ戦意があるのか。それに、さっき頭を殴ろうとした時、お前は音に騙されずに上手く避けた。そこから考えるに、同じ手を喰らう馬鹿では無さそうだ」
そう言って、やいちとの距離を取る。
「今度は…気配を消さないのか……?」
「だから言ったろ?同じ手を喰らう馬鹿じゃなさそうだって……。お前はもうあんな簡単に音には騙されないだろうからな」
やはり、背後に聞こえてきた雪を踏む音というのは、奴の魔法だったのだろう。




