神座闘争 18
天へと伸びる坂……その下では、壮絶な戦いが始まっていた。
「ヴァルロット様、コイツらは一体……!?」
魔王残党軍……彼が謎の軍勢と戦っていた。
それはまるで石像のようであった。天使のように背中に鳥のような翼の生えた、石で構成された者たち。しかし、本当に体が石という重い物で構成されているのか?と思うような軽々しい動きをしていた。
「コイツらはゴーレムみたいなものだ!」
ヴァルロットは敵を次々と破壊しながら、進んでいく。
ゴーレムという概念はこの世界にも存在するものの、魔法にもゴーレムを造る技術など存在せず、架空の存在であった。
「今代の代行者が神の座を守るために配置させた軍勢で、とにかく神の座の近くに寄ってくる者全てを殺す兵器だ。無論、パワーはあるが、単純な動きしか出来ん。お前たちでも充分に相手に出来る!」
そう言いながら、ヴァルロットは高く飛び上がり、石像の頭に乗ったかと思えば、石像が反応出来ないスピードでどんどん頭を蹴って軍勢の向こう側……神座がある方へと走っていく。
そして、そのヴァルロットを追いかけるように、一人のローブの男……ジョウキリで魔王の武装を魔力で再現し、スピネルと戦っていた男も同じく石像の頭を蹴って進んでいく。
「ヴァルロット、俺もついていく!そろそろ周囲の奴らが目覚める頃だ。いつ邪魔が入るか分からん。警戒して前へ進むぞ!」
「分かっている、私も馬鹿じゃない。それに……今代の代行者の動きがまだ分からないからな」
今代の代行者こと、神を名乗る謎の人物。
今、何処にいて、何をしているのは不明。あの覇国エルドラを滅亡させた後にその後、消息を絶った。このまま神の座を奪われてしまうのだろうか。
否。それほどの力を持った奴が、この状況をただ見ているだけとは考えにくい。
しかし、まだ奴が出てくる気配が一切ない。
(神か……。一体何故出てこない?まさか……)
ローブの男は何か思いついたようだったが、どれも妄想の範囲内から出ることは出来ず、そのまま自分の考えを放置した。
そうしているうちに、この石像の軍団を超えることに成功する。
「良し、抜けた!!このまま突っ走るぞ!」
ヴァルロットはさらに動きを加速させ、進む。しかし、その直後に何かに気づく。
(ん?あれは……)
上空を飛ぶ何か。
人影が背中に翼のようなものが生やし、飛んでこちらに向かってきているではないか。
ローブの男は数秒後、理解した。
「危ない、ヴァルロット!!」
しかし、遅かった。
ヴァルロットに向かって、突撃し、影は魔法を発動させる。何の魔法なのかは一瞬過ぎて分析できなかった。しかし、その魔法の発動直後、目の前が爆発し、この天へと続く坂を大きく揺らす。
「ここまでよく来れたなぁ!私は驚いたよ。でも……お前らを簡単に天まで行かせるわけないだろう!!」
それは、魔王残党軍であった。妖国の時、参謀と呼ばれていた、あの男だ。
背中には巨大な翼が生えているが、それは鳥のように羽が生えているわけでもなく、蝙蝠のように皮で構成されているものでもなかった。骨だけで構成された、まさに死んでいながらも、その役割を果たしている異形の翼。
そして、彼が翼を背中の中へと収納し、降り立ったと同時に黒い風が吹き、黒い影が現れる。
「ちぃッ!厄介な奴らが来ちまったと思ったが、サリフだけか?ほかのメンバーはどうしたよ?」
「それは言えるわけないだろう……?」
(何処かに待機させているのか、遠くから様子見させているのか、また別の任務を与えているのか……分からんが、厄介だな)
ヴァルロットとローブの男が魔力を身に纏わせ、戦闘態勢に入る。




