空白地帯 3
その後、スピネルが使える簡単な回復魔法で手足を治し、冷えた体を焚火で温めると同時に昨日のように近くの木の枝を折り、それを焼いて食べさせる。
「この木、食べれるんだ。しかも、まるで動物の肉みたい……」
確かに、博士のような前知識が無ければ、こんな寒い場所に生えている魔樹を食うという思考には至らないはずだ。
先ほどまでボロボロの体だった彼女はすぐに健康状態が戻るわけではなかったが、それでもなお、体調は先ほどよりも良さそうだ。
そうしているうちに、博士とナナシも起床する。
「誰だ、その女ァ!!」
「……起きたら彼氏が知らない女と寝ていたみたいな反応するなよ…」
と博士の叫び声に突っ込みを入れながら、ちゃんと何が起きたのか、二人にも説明し、皆朝食を済ませたのちに、彼女が何者なのか、ゆっくり聞くことになった。
どうやら、彼女は元々シン国のジャーナリストであるようだ。名前はベルフィー。
やいちたちはここでNEUの存在を知るのだが、そこで行われている軍事的弾圧、街の惨状、人々の想い……その真実を見てしまった彼女はエルヴァという国で反発運動に参加することになる。
シン国における報道機関は国と癒着しており、国民に反感を買ったり、また不利になるような情報を遮断であったり、都合の良いように書き換えることが多々ある。
そんな報道機関の一つに所属していた彼女だったが、無論ある程度政府との癒着した関係は知っていたが、それもまだ目が瞑れるレベルだろう、そう思っていた。だが、それはまだ彼女が下っ端であったからだろう。
どんどん社内での成績を上げ、立場が上になるごとに、捏造、偽造、改ざん……信じられない情報をどんどん知ってしまう。
それが増える度に、この国と、自分の所属している機関に絶望していった。
そして、とうとう彼女はNEUへと足を踏み込む。
シン国内では、NEUはエルフ族単一国家によって構成されるもので、ジョウキリへと対抗する連合組織であること。そして、一部の国だけ多くの反発を買っており、それが既にジョウキリとの友好国であるためで、すぐにシン寄りの国家へと成るだろう、という認識であった。
だが、実際はどうだろうか。
何がシン寄りの国家に成る、なのか。味方どころか、ほぼすべての国が反発しているではないか。
それに対し、暴力で抑え込むこの状況……。シン国民としてこれは恥ずべき行為ではないのか?本当に自分はこのままで良いのだろうか?
いや、だめだ。
行動しなければ……。
そして、彼女はまず手始めにNEUの加盟国であるエルヴァの運動に参加。シンで育ったベルフィーは学校である程度魔法知識を学んでおり、エルヴァの国民でも使えるような簡単な魔法を教えていった。
しかし、それがバレた彼女はシン国から入国拒否されるようになり、エルヴァで命を狙われるようになった。
まだベルフィーは一緒に戦いたかったが、多くの人が彼女に逃げるようにと言い、半月前、とうとう彼女は暗殺されかけてしまう。
だが、そこである人物に助け貰った彼女はそのままエルヴァを離れ、歩いて空白地帯までやって来たという。




