囁き声と部外者
今回はそれっぽい題をつけることができました。
「キミ・・・椿だっけ?キミ妖狐《同類》だよね」
「いやぁ、それにしてもすごいのぅ。なぜ分かったのじゃ?」
椿が感嘆の声をあげ、にんまりと笑った。
「御主のように、狐の姿をしている者なら兎も角、妾のように人形やその他のものに化けている妖狐を見分ける術はないはずじゃぞ?」
椿の言う通り、化けていては妖狐かどうか判別をつけることができない。妖力で見分けよう何て思うかもしれないが、種族ごとに違いがあるわけでもなく、個々それぞれだ。なので見分ける術は一切無いといっていい。
(無いけど・・・)
「そうだね。そんな方法はない。勘だよ」
そこですかさず暗が入り込んでくる。
「本当ですか?九炎サン、教えて下さいよ」
実のところ、本当の本当に勘だった。勘以外で何かあったとすれば
________“声”が聞こえてきたことぐらいだ。
声なんてもの、本当はしなかったのかもしれない。
(けど、聞こえたんだ。ボクが聞いたんだから)
椿がいなり寿司を頬張ったあの時、頬を風が優しく撫でるように声がした。誰も気付かなかった、九炎にしか聞こえない、囁き声にも満たない、小さな小さな声が・・・。
『椿は化ケテル・・・・』
不思議な感じがした。誰にも聞こえない声がした時点で、十分不思議だが、もう一つ・・・
声だ。なんというか・・・。
(こう・・・不思議な・・・・)
「どうしました、九炎サン。・・・・・・・お休みは御仕舞いにしますか?」
しばらく無言だった九炎を不審に思ったのか、暗が訪ねてきた。頭を切り換えるため、九炎は首をぐるりと回した。
「じゃあ、そうしようカ」
途端、九炎は真剣な顔つきになった。
「ふ、ならば妾は御主の見方になろうぞ」
椿は一歩、九炎に近づいた。
「何?」
「あら椿。いきなり何を言い出すのです?私達は部外者ですよ」
ネステトラが椿の肩にそっと手を置き、椿を戒めた。
「ならば・・・・」
「?何ですか?」
「ならば、そもそもその部外者は、こやつらに声などかけなければ良かったのじゃ」
「・・・?」
ネステトラは理解できない。というような困惑した視線を椿に投げ掛けた。椿は気にせず弁論を続ける。
「しかし、声をかけたじゃろう?妾達は、こやつらの邪魔を十分にしたのだから、部外者とは到底思えぬぞ?」
「それがなんだと言うのです。これ以上私達がこの方達に干渉してはいけません。そもそも、もとはといえば椿、貴方が声をかけたのでしょう。私と夜烏にその意思はありませんでした。それに今は邪魔だてした御詫びをできる状況ですか?」
「ぐぬ・・・」
どうでしたか?次回も長くなるよう頑張ります。




