表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
XRay ~陽に恋う~(クロスレイ はるにこう)  作者: 紙木 一覇
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

128/132

第128話 眠れ!

 完成されたキュアの攻撃性の塊『霊妃(りょうき)』に気づいたバリエンス。だが奴に焦りはない。

 どれだけ強化しようが日本刀に自分が、ガラスの都市が砕かれるとは思っていないからだろう。

 しかし。


「おお」


 ザイの方は感嘆にも似た声を。あるいは恐れか。

 オレは頬に、背筋に冷や汗を流した。正しく『霊妃』を理解したから。


「だが!」


 思わず動きを止めてしまったオレとザイの脇腹を蹴り飛ばすバリエンス。

 バリエンスはそのままキュアに向けて地を蹴った。


「日本刀で! 身共(みども)を倒そうなど!」


 二本の光の杖が合流し一つの光の杖に。それを四本の腕で、手で握りしめて突貫する。

 キュアは冷静に、バリエンスを見ていた。

 申しわけなさの欠片も感じさせない目だ。

 ただ冷酷に、己の信念を貫き通す為にこの刃を振るうのだ――と、決意している目だ。


「バリエンス」

「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」


 バリエンスの全身が力強き輝きに満ちる。

 そんな彼に向かって、


「眠れ!」


『霊妃』が、


一刀(いっとう)!」


振り下ろされた。


「――――――――――――――――――――――――――――――――――っっっっ!」


 両断されるバリエンス、ガラスの都市。

 攻撃性の塊たる『霊妃』の一太刀が全てを斬り裂く。

 斬った対象の命を狩る、絶対の一太刀が。

 例えどれだけ巨大な体躯を持っていようと、例え掠った程度の一撃でも持って逝かれるだろう。

 キュアの攻撃性は深く潜り込み確実に死を与えるのだろう。

 だから。


「……」


 バリエンスが停止している。

 両断された体で空を見上げ、言葉なく停止している。

 やがて彼は。


「……っち」


 小さく、一つだけ舌を打った。

 そして、崩れた。

 まさしくガラスが割れる音を立てて人型もガラスの都市も、崩れ去った。


「……戻った」


 元の世界に。

 元いた場所に。

 勝利したのに気づき小さな歓声がどこからともなく上がる。


「見事な一撃でした」

「ザイ。

 いや、あたし一人では討てなかった」

「確かに。

 けれどそれを理由にご自身の功績を軽くする必要はありますまい。

 バリエンスを討ったのは皆であり、キュアさまです」


 オレに肩を叩かれるキュア。

 お疲れさま、と言う意味で。

 キュアは少し照れながら一つ頷いた。


「だから、プライドよりも勝利を取るべきだと申したのに」

「「「!」」」


 突然の新たな声。

 急ぎ目を向けるとそこには女性が一人。

 バリエンスの残滓、ガラスの一欠片を手に取って佇む女性が一人。

 年の頃は二十前半だろうか。

 深みのある青紫系パンジーの髪をポニーテールに括り、濃い紫系グレープ色の眼を哀しげにふせるバリエンスのそれととても似た白い衣装を白い体に纏う彼女の声には聴き覚えがあった。

 確か名は。


「イリフ!」

「おや、覚えられていましたか。ありがとうございます」


 左目にはグレープ色の“01”と言う数字の『覇紋(はもん)』。その奥にある同色の眼をこちらに向けて優しげに微笑む彼女は。

 頭に花の冠を――パペットを乗せている彼女は。

 腰に花の剣を――アイテムを携える彼女は。


「しかしこうして会うのは初めてですね。

 トゥルーフォルスの子、【世界の患い(ワールドエネミー)】長女、イリフです。

 以後宜しくお願いします」


 全員同時に身構える。

 いやそれどころではない。半数が一斉に攻撃を仕掛けた。

 だが。


「「「――!」」」


 新たな影の出現に阻まれて。

 その影は例えるならばおばけ。

 人がすっぽりと黒い布に包まれているような、浮遊するおばけだ。ただその布にはオーロラに似た光の波が漂っていて不気味と言うよりも神秘と言った方がしっくりくる。

 体の周囲には一本の白いテープのようなものを通す金具が三つ浮いている。金色の金具だ。

 おばけの上――頭のところには凄く細い三重の輪っか。輪っかの色は上から純白、真紅、漆黒で、水に似たなにかが絶えず上から落ち、または下から昇っていた。

 パペットでありながらシンギュラリティを起こし、人の上に立った存在。


 トゥルーフォルス!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ