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XRay ~陽に恋う~(クロスレイ はるにこう)  作者: 紙木 一覇
第二章

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第127話 技名を教えとくぜ

「丸聞こえなんだよ!」


 光の杖でもってオレたち三人を薙ごうとするバリエンス。

 けれどもザイが後ろに向かってキュアを突き飛ばし、自分は電撃を纏った手で光の杖を受け止める。


「内緒話なんてやめときな! 身共(みども)の耳はどこにでもあるぜ!」

「ぐっ!」


 バリエンスの持つ光の杖にわき腹を叩かれザイは通路の奥へと吹き飛ばされる。

 そしてバリエンスはキュアに向かって駆けた。先の話を聞いてキュアから始末する気だ。

 オレは即座にキュアの前方に移動する。


「させん!」

「なに!」


 一瞬、一瞬でザイがバリエンスに並ぶ。

 纏うように出現させた雨雲、それの放つ雷に体を乗せてまさに光の速さで移動したのだ。


「はっ!」


 ザイの全身が電撃に――雷撃に包まれた。


「っつ!」


 バリエンスの顎を膝で撃つザイ。両の拳で頭部を殴打、そのまま顔に向けて蹴打を放ち高く舞うバリエンスを追撃、蹴り落とす。

 地面に叩きつけられるバリエンスだが即、体勢を整え、なんと腕が割れて新たな腕が生えてきた。

 更に光の杖ももう一本。

 計四本の腕と二つの光の杖。その両方が追撃しようとしていたザイの腹を突いた。


「が――は!」


 唾を散らすザイ。いやあれは胃液か? ならばのどが焼けるように熱いはず。もし雷撃を纏っていなかったら体を貫かれていただろう。

 それほどのダメージを受けながらもザイはなおもバリエンスに向けて攻撃する。

 雨水を指に纏わせ、撃つ。ヘヴィーマシンガンの如き連射だ。何百何千と水弾が叩き込まれ、普通の人間ならば体が千切れ飛んだだろう弾数になってもまだ止めない。

 オレだってただ見ているだけではない。

 ザイとバリエンスの距離を把握し、間違ってもザイにあたらないよう光の星・(めぐり)を降らせ、アンドロメダ座の鎖でバリエンスを拘束し、大熊座の怪力で殴打。

 蟹座のハサミで腕四本を斬るも再生される。

 カメレオン座の力で姿を消して接近、蠍座の毒を人型バリエンスと本体である都市に撃ち込んでみるが排出されて。

 蛇座の毒の牙をバリエンスに叩き込み、竜座の力で火炎のブレスを放ち都市を炎上させる。バリエンスは燃える部位をブロックに変えて消化しようとするがうまく行かずに苛立って。


「良し」


 そう言ったのはキュア。

 奮闘するオレたちを眺めている場合ではないと行動に移り、そして技を放つ力は溜まったようだ。


「まずは――」


 キュアの持つ日本刀から花弁が消えた。消えて、銀の刃が通常通りに周囲の景色を映し出す。キュアの体から湧き立つ炎。消えた花弁はキュアの体内にエネルギーとして吸収されたようだ。


「一つ目、空」


 刀身が空を映す。ここにはない青空を。

 空色のエネルギー、現出。キュアの傍にもう一振りの、エネルギーの刀身が出現。


「二つ目、海」


 刀身が海を映す。ここにはない大海原を。

 水色のエネルギー、現出。キュアの傍にもう一振りの、エネルギーの刀身が出現。


「三つ目、山」


 刀身が山を映す。ここにはない山脈を。

 若葉色のエネルギー、現出。キュアの傍にもう一振りの、エネルギーの刀身が出現。


「四つ目、地」


 刀身が土を映す。ここにはない大地を。

 紅色のエネルギー、現出。キュアの傍にもう一振りの、エネルギーの刀身が出現。


「五つ目、雨」


 刀身が雨粒を映す。ここにはない嵐を。

 薄墨色(うすずみいろ)のエネルギー、現出。キュアの傍にもう一振りの、エネルギーの刀身が出現。

 五つのエネルギー刀身は五芒星を描くように配置されている。

 エネルギー刀身の形が崩れた。円を描くようにエネルギーが流れだしたのだ。

 合流し、混ざり合うエネルギーは円を描き続け、白と黒、二色の円環となった。


「純白が昼。

 漆黒が夜」


 二つの円環は姿を解き、キュアは一時日本刀から手を離す。

 昼のエネルギーはキュアの右手に、夜のエネルギーは左手に収斂する。

 パンッ! 小気味良い音を立てて両手を打ち合わせる。

 昼と夜のエネルギーが掌の間で混ざり合い、広げられる両手に合わせて細い、細すぎる虹色の線となって伸びていく。棒とも呼べない線だ。

 日本刀を再び手にする。手に握る日本刀と虹色の線、それぞれを握り天に向かって掲げると、


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――ァ!


光が溢れた。圧倒的な威圧。日本刀と虹色の線は一つになり、


「良し、連結斬りの積み木殺し、真打化成功。

 命を斬るぜ!」


なのにどこか安らぎすら感じる虹色の炎を日本刀・枝垂之咲姫(しだれのさきひめ)が纏う。


「命だと⁉」

「技名を教えとくぜ、『霊妃(りょうき)』だ」

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