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XRay ~陽に恋う~(クロスレイ はるにこう)  作者: 紙木 一覇
第二章

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125/132

第125話 本体を見つけても倒せねぇ、それがてめえらの敗因だ!

「この程度の傷で!」


 即座に治療に入るウェディン。強がっているが痛みはあったはずだ。動揺もあっただろう。

 それでもウェディンは懸命に立ち上がり剣と盾を構える。


「――おぉ!」


 乱暴に振るわれる『AIbis(アイビス)』の全身と刃のマント。

 ウェディンと燦覇(さんは)から苦悶の声が上がる。

 乱暴ではあるがきちんと刀法にのっとった斬り方だ。刀を知らない人間の振り方とは違う。

 だから二人には浅い傷がつけられ続けて。致命傷はない。けど傷が増えればどうなるか。


「「⁉」」


 二人の体が浮いた。

 重力を操られて、だが燦覇がウェディンの背中を蹴って『AIbis』へと向かう。

 大鎌で『AIbis』の首を刈り取ろうとして、『AIbis』の刀が持ち上がる。燦覇を両断する動きだ。

 大鎌と刀、二つの獲物は同時に振るわれて――刀がウェディンの盾によって受け止められて大鎌が『AIbis』の首に届いた。


「斬れない!」


 どうやら『AIbis』の硬さの方が上らしい。

 しかし。


「そのまま力を入れ続けて!」


 ウェディンの剣が『AIbis』の背後から大鎌と同じ部位に撃ち込まれた。


「「斬れた!」」


 二つの刃が首に喰い込み、三分の一を斬った。だがまだ三分の二が残っている。

 だから二人は手を緩める事なく大鎌と剣を押し続け――


「オォ!」


『AIbis』から拡がる殺意の気迫。圧倒的なまでの殺意に二人は刹那恐怖に襲われたのか動きを止めてしまう。

『AIbis』の左足が動く。蹴打で二人を斬るつもりだ。

 二人は、すぐに正気に戻った二人は。


「「ア―――――――――――――――――――――――――――――――――――ッ!」」


 斬られても構わないと防御を捨てて首を斬りつけ続ける。

 蹴打が撃たれて、それを防がんと真架(まか)・アウサン・教皇ステイ・クラリティー・サアが事実蹴打を止めた。


「ガぁ!」


 重力が、重い重力が全員を潰さんと襲う。


「「いっけ―――――――――――――――――――――――――――――――――え!」」


 それでも二人は刃を押し続けて、大鎌と剣が煌めく。全員の戦意を乗せて。

 煌めく刃は『AIbis』の首を――斬り裂いた。

 轟音。

 暴刃(あばれば)化した事で苗色に輝いていた『AIbis』の全身から刀が剥がれ砕け飛んだ。

 倒れる『AIbis』。

 砕けた破片が集まり刀の形を取り戻す刀刃(とうじん)。再び『AIbis』を取り込まんと刀刃の切っ先が『AIbis』に向き飛来し、しかし皆の手がこれを受け止めた。自らの手が刃で傷ついても。


「もう終わったの。止まって」


 ウェディンの言葉に、刀刃の輝きが消えた。

 今のが最期の力だったからかそれとも敗北を認めたのかは、分からないが。

 いずれにせよ勝敗は着いた。

 一方でオレたちはウェディンたちが戦っている間にもバリエンスと攻防を繰り広げていた。

 オレとザイが同時に雷撃をガラスの都市に向けて放とうとし。


「させるかよ!」


 バリエンスの姿が解かれてブロックになった。

 成程あの人型も小さなブロックの集合体だったようだ。

 雷撃が落ちる。が、ブロックが壁となってガラスの都市を守る。

 その下からビルが伸びてきて、ブロックが分かれてビルを通過させた。勢いよくオレたちに三人に迫るもこちらは飛翔してかわし、ビルはなおも伸び続ける。三人にかわされてそれでも伸びるビルはザイの呼び出した雨雲に到達すると四方八方に伸びて雨雲を散らした。


「しかし雲は雲ですよ」


 散らされた雲がその先々で増殖し、より大きく空を覆う。

 雨雲は放電現象を引き起こし、伸びていたビルに落ちた。


 ――いや。


 細かなブロックがビルの表面を覆っている。守ったのだ。


「一つ言っておくぜ」


 分かれていたブロックが収斂する。再び人型を取る為に。


「本体を見つけても倒せねぇ、それがてめえらの敗因だ!」

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