講師、ドラゴンと語る
「忘れられた存在…」
「マスター…」
光担当講師の準備室。
その中に2人の男の姿がある。
「ねぇ、クロ。酷いと思いません?
エリアスのヤツ、今頃キーラに手を出しているに違いありませんよ」
「マスター…。
早く俺に乗ってくれないかな。マスターとまた空を飛びたい」
「それに…‼︎
私達に黙って1人主の近くにいましたし。
だいたい…あいつはいつもズルイと思いませんか?」
「後マスターの手料理食べたいな。
真っ黒で、味が苦くて、焦げ臭い。
炎の後のような味がするんだ。食べたいなー。」
「もし、キーラが嫌がっているのに手を出していたら…今日こそ、消し炭にしてやります。」
2人の話は全くと言うほど、噛み合わない。
しかし、どちらもキーラに早く会いたいようだ。
「毎度の事ではありますが、大切な人が近くにいるのは幸せな事で、悲しい事ですよね。
それに、誰よりも主を想っているのに手に入れられた事はない…。
会うたびに、心を揺さぶられてしまうのはなんなんでしょうか。」
「リアバルは、昔からマスターが好きだったよな。
でも一度もマスターに、男として愛された事はないよな。でもまぁ…今回はエリアスに取られちまったのは流石に同情するよ。」
「クロ…あなたはいつも、人の嫌な事を言いますね。
ですが、全くです。
いつもは黙って見ていられたのですが、エリアスは無理ですね。」
クロはキーラを飼い主として好きなようだが、リアバルは違うらしい。
憎き敵を見る目で、リアバルは拳を握って叫んだ。
「今回は!私も参戦しますッ‼︎
王子にだって、エリアスにだって負けません。」
「そんな事言ってもよ、もう負けてるじゃん。
マスター、エリアスが好きだって言ってるぜ。」
「な…。あの2人もう?」
ガクリ…と膝をつくリアバル。
追い討ちをかけるようにクロが答えた。
「ああ…マスター、エリアスとイチャついてるみたいだ。」
「人型になっても、わかるんですね。
キーラの心が。」
「再契約前なら、わからなかったけどな。
卵から呼ばれた事で、絆が深くなったんだ。」
「そうですか…。
でも、今回はまだ諦めませんよ。私は‼︎
あぁ…後エリアスからですが…」
エリアスからと言うのは、非常に気に入りませんが今回だけは賛成です。と、リアバルは何かをクロに耳打ちをした。
「という事です。わかりましたか?」
「なるほど、いいぜ。
俺とマスターは、森で出会った。
俺も離れたくは無いし、問題はないぜ。」
それに、森で出会ったのも嘘じゃねぇしな…と、クロは頷いてリアバルに返していた。
「ええ。本当に。
今回で終わらせられればいいのですが…。」
「それは無理だろう。
なんせマスターが、だめだって言うんだ。
俺達全員でやりゃあ、うまくいくと思うだがな…。」
クロとリアバルは誰もいない、準備室の中で静かにため息をついた。
今にも泣き出しそうな表情をしている2人だが、その瞳には硬い決意を感じる。
今度こそは、キーラ…女王を救いたい。
彼らの視線は鋭く、その願いの険しさ、過酷さが見えるが、彼らはきっと諦めない。




