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キーラとエリアス その後2



「お嬢様は覚えていないと思いますが…」



何度目かのキスの後、エリアスはそっと唇を離し再び語り始めた。



「お嬢様がまだ、小さい頃の話です。

あ、過去に戻る前のお嬢様の小さい頃の話ですよ?」


「わかっているわよ。」


「それは、失礼致しました。

お嬢様が、まだ1人で歩けるようになってすぐの話です…」



(長くなりそうね…。)


エリアスの膝の上で、向かい合うように座っているのだが長く話しを聞く体勢としは向いていない。


エリアスの胸元に頭を預けて、静かに目を閉じる。



「いいわ、続けて。」


「なかなか、続けるのには難しい体勢ですが…頑張ります。」



不安定だった身体が、エリアスの手により動かされてエリアスの身体にすっぽりと収められた。



「あれは…

雨の降る朝でした。

足元が悪いので、今日の散歩はやめましょうとお嬢様に私は伝えた日でした。

ですが、当時のお嬢様も今と変わらず私の話なんて聞かず、森に行くと言って話を聞きません。

こんな雨の日にわざわざ森に行くなんてと、神経を疑った事を今でも覚えています …グッ」


「所々、私を馬鹿にするんじゃないわよ」



聞き捨てならない言葉が続き、我慢できずに私は、エリアスの顎めがけて頭突きをかました。



「ナイスヒットです…お嬢様。

そこで出会ったのが、あのドラゴン。クロなんですよ。」


「え?そこで終わり?もっとないの?」


「ありません。

あなたは眠っているドラゴンを大きな岩と間違えて登りだすわ、動き出したドラゴンに動くなと怒るわ…。

「もういいわ。そのまま契約でも迫ったんでしょう…私は」



エリアスから語られる聞くに耐えなさそうな内容に、私は興味をなくす事にした。


(幼い頃の私何してんの?

ドラゴンよ?怖くないの⁉︎)


自身の過去ではあるものの、行なっていた事が怖すぎる。


唖然とする私の様子に、エリアスはうんうん…お嬢様も大人になられました…と頷いていた。



「恐れながら、私もお嬢様が怖かったんですよ。

なにせ…この私が登っているのよ。動くなんて許さないわ。でしたからね。

さすがのドラゴンも驚いたようで、動きを止めてお嬢様が遊び疲れるのを待っていた程でした。」


「それは…すごいわね。

ドラゴンもよく、私の使い魔になるなんて決めたわね」


「お嬢様が、クロの事を思い出す時が来たら本人に聞いてみたらいいのではないですか?

私も気になりますし…。

なにせあの時お嬢様はドラゴンに向けてただ一言「あなた、私のペットにしてあげるわ。名前は、クロよ‼︎」でしたからね。」


「思い出せたら、聞いてみるわ…」



(出来れば、思い出したくはないけれど…)


なぜ仕えてくれる気になったのが、心から疑問に思うがその答えを聞く事はないと思う。


このままなかった事にしたい。



「クロの事はもういいわ。

とにかく私の使い魔なのね。それだけでいい。」


「ええ。クロはお嬢様の使い魔です。」


「そう。

ところで、試験はどうなったのかしら?」



すっかり忘れていた実技試験の存在を思い出した。


(使い魔の召喚は、孵化なのかしら…?)


私の質問に、笑顔で頷きエリアスは答えた。


その表情をみて、私は合格を悟ったのは言うまでもない。



「後でリアバルさんが、改めて伝えに来てくれるそうですが…合格です。

使い魔の召喚は、孵化にはならないそうですが、卵から生物を生んだ事には間違いがないので合格だそうです。」


「よかったわ。ところでクロは?

後あんた、リアバル先生のことリアバルって呼んでいたわよね?知り合い?」



徐々にエリアスとこうなるまでの記憶が起こされていく。



「忘れてはくれませんか…

彼と私は、いわば同僚のようなものなんです。

昔からの知り合いとでも思ってもらえたはいいですよ」


「ふーん…(少し言い方が引っかかるわね)

まあ、いいわ。

クロはどこなの?」


「クロはリアバルの所にいますよ。

さすがに、この部屋に3人は住めませんからね。

後で少し大きめの部屋に移動できるよう手配をしてくれるそうなので、移動できたら迎えに行きましょう。」


「確かに、この部屋に3人は無理ね。

わかったわ。部屋の移動が出来次第迎えに行きましょう。」



(早く迎えに行きたいわ…そして、早く触れたいッ‼︎)


召喚した時の記憶によると、クロはわたしの好きなゴツゴツした部分とふわふわした部分の両方を持つ存在のはずだ。


(ゴツゴツとした背中に乗って、ふわふわとした頭をの毛でモフモフしたいわ…)


まだ見ぬクロに私は思いを馳せていた。




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