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お嬢様、伝説をよぶ



「さて、あなたに与えられている試験内容ですが…

キーラさん、あなたは魔法生物を知っていますか?」



(魔法生物…知っているのは知っているけれど。)


唐突に話を振ってきたリアバルに、私は少し困惑した。



「知ってはいますけれど…。」


「そうですか。

それなら、話は早いですね。

あなたには、魔法生物の孵化をお願いします。」



そう言って、手を出してきたリアバルの手の中には1つの卵がのったいる。


(…卵?なんの卵なのかしら?)


私の疑問に答えるように、リアバルは続ける。



「この卵は、魔法生物の卵です。

ですが…生まれてくる生物は、わかりません。

この卵を30分以内に孵化させる事が出来たら試験は終了です。」



なにか質問はありますか?と続けるリアバルに私は質問をする。



「生まれてくるのがわからないと言いましたが、それは何の生物かわからないという事ですか?

それとも、私の力によって変わるという事ですか?」


「…‼︎さすがですね。キーラさん。

この卵から生まれてくる生物は、決まっていません。

あなたの言うとおり、あなたの力によって変わります。」



(…やっぱりそうなのね。

という事は、全ては私次第。)


覚悟を決めて、リアバルより卵を受け取る。



「受け取りましたね。

孵化の仕方は問いません。

生物が何であろうとも、30分以内に孵化をすれば試験は合格です。」



パチリと、リアバルは指を鳴らす。


すると背後に大きな砂時計が現れた。



「この砂時計は、30分で止まります。

砂時計をひっくり返したのが、開始の合図となります。よろしいですか?」



リアバルの問いに、私は無言で頷く。


(あの砂時計から、砂が無くなるまでに付加させないと。)


私の頷きに頷き返してリアバルは、もう一度指を鳴らした。


パチリ…。


砂時計がゆっくりと回転を始める。



「開始‼︎」



砂時計から、砂が落ち始めた。


(卵の孵化…何をしたらいいのかしら?)


間違っている事はなんとなくわかっていながら、卵を温めてみる。


(卵の孵化と言えば、これよね。)


しばらく魔力を使い温めてみたが、やはりなにも起きない。



「やっぱり、違うわよね…。

それならッ‼︎」




卵に直接魔力を注ぎ込む。


(あ…卵が光ったわ。)


光は弱いが確かに卵が光って見える。


卵の反応を見るに、正解だと判断した私は、魔力を一気に注ぎ込む。


……。


(まだ…なの?)


魔力を注ぎ込みだして、しばらくたったが卵は変わらず光っているだけだ。


チラリと砂時計を見ると、残り時間は五分程度しかない。


(おかしいわ…。

かなり魔力を使っているのに、何の反応もない。)


魔力の性質を変えるべきかと、既に7色の魔法全てを注ぎ混んでいる。


しかし、卵は魔力の性質の色に光を変えるだけでそのほかの変化はない。


減り続ける砂時計の砂に、私は焦り始めている。


(どうして?なにがいけないの…ッ⁉︎)


頭の中で色々な事を考えて、試すも結果は変わらない。


このままでは、試験が終わると諦めかけた時だった。


静寂の中、ポツリと声が聞こえる。



「これは、私のただの独り言です。

独り言なので、聞き流してくださいね。

魔法生物は、主人の望む姿で生まれます。

もし、魔法生物を手に入れられるならどんな姿がいいですか?

私は…うさぎが欲しいですね。」



(リアバル…ありがとう‼︎)


リアバルの独り言は、紛れも無いヒント。助言だ。


心の中で礼を言って、私はすぐさま魔法生物の姿を思い浮かべる。


(私の魔法生物…。

鳥?犬?うさぎ?いざって言われると悩むわね…)


困った事に、欲しい生物と言われるとなかなか決まらない。


(時間が無いのに…。)



「欲しい生物…欲しい生物…。

強くて、可愛いものがいいわ。

大きくてふわふわした毛並みを持っていて、小さくもなれる。

ああ…でもふわふわばかりも嫌よね。

硬くてすべすべした部分も欲しいわ…」



真剣になりすぎたせいで、知らず知らずに声が出ていた。


そして、私は1つの結論にたどり着いた。


でもそれは、偶然の事で深く意識したわけでもない。


(ドラゴン…)



「あっ‼︎」



危険な生物を想像してしまい、慌てて思考をずらす。


しかしーー…


ピシッ‼︎


私の手の中から、卵の割れるような音がなる。


そして、卵から光が溢れ出す。


溢れ出す光は大きくなり、やがて空間ごとを白く染め上げた。


(なにも見えない…)



「グァッ‼︎‼︎」



耳をつくような大きな咆哮が、部屋の中に鳴り響いた。


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