お嬢様、暗闇を嫌う
エリアスと別れ、試験会場に戻る。
試験時間にはまだ早いが、既に多くの生徒が並んでいた。
(?入場待ちをしているの?)
座学の試験の時は、入り口に生徒が並んでいなかった。
不思議に思いつつも、列に並ぶ。
列は緩やかにではあるが、止まることなく進み続けている。
(もうすぐ、会場が見えそうね…)
入り口から遠かった列も、少しずつ入り口が見えるほどまで進んでいる。
やがて、会場の入り口が見えた。
(…真っ暗な会場?)
会場へ繋がる扉は大きく開かれていて、通常であれば奥まで見る事が出来る。
しかし、会場の中は暗く、一寸先すら見えない。
(今は、お昼。
電気をつけていなくてもある程度の明るさはあるはずだわ。)
暗いというよりは、闇とも言えるほどの暗さを考えると意図的に暗くしていると考える事が正しい。
まだ見えてこない会場に、私は肩に力が入るのを感じた。
「名前を言って下さい。」
「キーラ=ロベラティです。」
入り口までたどり着いた私に、講師が名前を聞いてくる。
言われた通りに名前を答える。
名前を聞き講師は、手に持っているタブレットに何かを入力している。
(なにかしら…?)
講師の指がとまり、私を見て口を開く。
「準備が出来ました。中へ。」
中へ入るよう促される。
講師に軽くお礼を言って、私は入り口に足を入れる。
(中が見えない所に入るのって、こんなに気持ち悪いのね…)
暗闇に吸い込まれるような感じに、私は思わず目をつぶった。
「キーラさん、目を開けて下さい。」
よく知る声が、私をよぶ。
(この声…知ってるわ。)
「先生、だったのね。」
試験期間中によく聞いた声に、私は肩の力を抜いた。
「ええ。
あなたの試験を担当する、リアバルです。
よろしくお願いします、キーラさん。」
「会場が真っ暗なので、びっくりし…ましたわ。
なにか理由があるのですか?」
口調を崩しかけて、慌てて戻す。
(いけない…今は試験中。
先生も口調を崩していないもの。
気をつけないといけないわ。)
慌てて口調を戻す私に、リアバルは頷いた。
「あなたは、聡い女性ですね。
特別授業の事もあるので、合格にしてあげたい所なのですが…。」
「いいえ、先生。
大丈夫ですわ。
特別授業を受けたからこそ、見ていただきたいです。」
(試験はいったいなんなのかしら?)
勢いよく返したものの、私はまだ試験内容を知らない。
(でも、きっと大丈夫よ)
小さく拳を握り、リアバルから試験に対する説明を聞いた。




