↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「俺は勇者だ!魔王を倒すぞ!」 ~チート勇者と巻き込まれヒロインの奮闘記~  作者: 川合 佑樹


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
9/42

第9話

 レオニードが突然言い出した『勇者部』は、膠着状態を迎えていた。


 マルキュナにとっては、聞こえのいい話に思えたかもしれない。


 だが、それ以上に面倒な事態が待っていた。


「部活申請には最低五人必要です。それから、部室の確保もお願いしますね」


「先生。なんで私に言うんですか?」


 担任のフルッツェラ先生は、レオニードではなくマルキュナに向かって告げていた。


 午後の仕事が控えたマルキュナは、早く仕事場に向かいたい中、教室で呼び止められていた。


 最初から部活は乗り気ではなかった。


 むしろ、このままうやむやに終わってくれればいいとさえ、今まさに思っていた。


 しかし先生は、そんなマルキュナの願いをあっさり裏切った。


「レオニード君が毎日、魔法研究部に押しかけてくるんですよ。どうにかなりませんか?」


 どうしろというのだ。


「どうにかなりませんか?」は、こっちのセリフだろう。


 とは、口が裂けても言えない。


 ただ、目は口ほどに物を言うという。


 マルキュナの表情を見た先生は、ふっと口角を上げた。


「ダメかしら?」


「先生。これまでの様子を見て思ったんですけど……彼は絶対にあきらめません。やると決めたらきっとやり切るんです。それが他人に迷惑がかかる形になってもです。だから、一度ちゃんと分からせてあげる必要があると思います。これは動物のしつけと同じです」


「分からせてあげる……? とは、どういう意味ですか? それにしつけだなんて、お下品ですよ?」


「レオニード君はまだ現実を知らないんです。自分を本物の勇者だと思い込んでいる。そして今、全部活を倒したと息巻いています。だったら、魔法研究部の精鋭とぶつけて、コテンパンに負けさせてあげたらどうでしょう?」


「でも、魔法研究部の子たちも歯が立たなかったと聞きました。それをどうやって倒せと?」


「戦い方ですよ。一対一じゃなくたっていいじゃないですか。一度負けたんです。「それなら部活対部活だ!」って、部室争奪を総力戦でやってみたらいいんですよ! 彼は絶対に逃げません。そういう奴なので!」


 マルキュナのこめかみに、血管が浮かび上がる。


 関わりたくないのに、なぜこんな意味不明な提案に巻き込まれているのか。


 突っ込んでいないのに、首を無理やり突っ込まされている感覚があった。


 そしてその中心には、必ずあのレオニードがいるのだ。


「……分かりました。一対一ではないのは不本意ですが、部活動にも影響が出てしまっていますから……魔法研究部の威信にかけて、レオニード君に真の魔法というものを、分からせてあげましょう!」


 勘のいい人なら、この会話だけで結果は想像できるはずだ。


 そう、レオニードは魔法研究部のトップ3を単独で叩き潰し、部室を無事に手に入れた。


 それは、この学校の最強軍団を倒したも同然の快挙だった。


 魔法研究部は、なんとかレオニードの情けで「併設」という形で生き残った。


 というよりそもそも申請する人数が足りていないため、その対応でしか活動が認められなかった。


 この噂は、学校中に広がった。


 尾ひれもついて、


「レオっちが学校を牛耳るらしいよ」


 今まさにその情報を、マルキュナはクラリーンから聞かされていた。


「牛耳るはないでしょ。あいつ、そんなタイプに見えないよ?」


「えー、わかんないよぉ? 実はってことあるじゃん。ほら、『魔王』気質だったりして」


「もうそれはいいから」


「だってさー。この学校始まって以来の大事件じゃん! 一年生が上級生ボコボコにしたなんて、楽しまなきゃ損でしょ?」


「そういうのは、部活の申請書に名前書いてから言え」


 クラリーンはどこを見ているのかわからない目で、口笛を吹くふりをした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。