↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「俺は勇者だ!魔王を倒すぞ!」 ~チート勇者と巻き込まれヒロインの奮闘記~  作者: 川合 佑樹


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
8/42

第8話

「マルキュナ、聞いてくれ! 全ての部活を倒してきたぞ! すごいだろ!」


 朝のホームルームが始まる直前、レオニードが突然話しかけてきた。


 マルキュナは筆記用具を出していた手を止め、呆然と聞き返した。


「全ての部活……倒したって?」


「聞いての通りだ。運動部から文化部まで、担任の魔法研究部まで全部倒してきた!」


 レオニードは自慢げに胸を叩いた。


 マルキュナは状況を上手く飲み込めなかった。


 全ての部活を「やってみた」ならまだ理解できる。


 でも「倒した」って……一体どういう意味だ?


「そうなんだ。すごいね」


「そうだろう、そうだろう!」


 とりあえずそう返すと、レオニードは満足げに腕を組んだ。


 そこで話は終わるはずだった。


「何か楽しい部活はあった?」


 口が滑った。


 人と話していると、間が空くとつい何か言ってしまう。


 そんな性分だった。


 マルキュナは別に、彼と何かを話したいわけじゃなかったのに。


「そうだな……なかったな」


「そうなんだ。ありがとう」


「部活は楽しい方がいいのか?」


「んー、そうなんじゃない? みんな楽しいからやるんだろうし」


「楽しい部活か……ないなら、作るか。勇者部とかどうだ?」


「はは。楽しそうだね。いいんじゃない?」


 話を軽く流す技術は、クラリーンから学んでいた。


 実際に使ってみると、案外楽になる。


 ただ、どこか距離ができてしまうのも同時に気づいた。


(レオニード君相手だからって、あんまりよくないよね……)


 マルキュナは心の中でそう思い、今日でこの手の会話は終わりにしようと誓った。


 しかし、その肯定とも取れる一言が、最初の火種になった。


 クラリーンみたいにはいかなかった。


 もしマルキュナが過去に戻れるなら、どこに戻りたいかと聞かれたら、


「部活なんてしないで一人で修業でもしていろ!」


 と叫ぶために、この瞬間に戻ってくるだろう。


 そしてその結果は、数日と待たずに訪れた。


「マルキュナ! ここにサインしてくれ!」


 レオニードが机の上に何やら紙を叩きつけた。


 横にペンを置き、マルキュナの顔をじっと見つめてくる。


 マルキュナは怪訝な顔でその紙に目を落とした。


「部活申請書……勇者部。……はぁ!?」


 文字通り、『勇者部』の申請書だった。


 マルキュナは何度も文字を読み返したが、変わるはずもない。


 裏面まで確認してしまった。


「マルキュナ、君は言ってくれただろ? 楽しい部活がないなら作ればいいって。勇者の仲間が集う、勇者部を作り上げ、ともに魔王を倒そうと。俺は非常に感動した。そして担任のフルッツェラ先生にも協力してもらい、無事この紙をもらってこられたというわけだ!」


 レオニードは陶酔しきった口調で、つらつらと語った。


「私……そんなこと言ってないんだけど」


「マルキュナ、これで魔王を倒す一歩となった。感謝する」


 マルキュナが否定しようとしたが、混乱が勝った。


 レオニードの勢いに完全に飲まれていた。


 気がついた時には、申請書に自分の名前を書いていた。


 後から聞いた話だが、クラリーンも誘われたらしい。


 彼女は見事な立ち回りで逃げ切ったそうだ。


 その話を聞いた時、マルキュナは小さく彼女の背中を叩いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。