第40話
パフェを無事食べ終えたマルキュナとレオニード。
その量から途中ずっとレオニードが食べていた。
どこか無理をしているように見えたが、最後まで食べ切っていた。
カッコつけたかったのかもしれない。
でもマルキュナには、『よく食べる男がカッコいい』という認識はなかった。
なんでもほどほどが一番だ。
そして腹ごなしに街を歩く。
人通りは増えてきているような気がした。
もしかしたら今日の作戦はあれだけで終わりなのかもしれないなと、マルキュナはどこか安堵した。
そんな横顔をレオニードが見た。
「よかった。楽しんでくれたみたいだな」
マルキュナはレオニードの方に向いた。
「うん。楽しかったよ。連れていってくれてありがとね」
「また……来たいか?」
その返答に少し困った。
また似たような事態が起きるというのはちょっと、という気持ちもあった。
だがきっと彼はそのような意味で言っているのではないのだろう。
「そうだね。また来よっか」
少しの笑顔を添えて返した。
レオニードは頬を染め、前を向いた。
この男ちょろすぎるのではないか、というのは気のせいではないはず。
いちいち笑顔で照れていたら、これ以上の先が……
(これ以上の先って……何想像してるんだろ……バカ……)
するとレオニードがマルキュナの手の甲に、自身の手の甲を触れてきた。
わざとなのか、偶然なのか、しかしその手は少し距離を離すと、次は指先を触れさせてくる。
(仕方がないな……もう)
マルキュナは自身の手をレオニードに差し出した。
「人が多くなってきたからさ……はぐれると、大変かも……ね」
「……そうだな! こっ、こうすればいいんじゃないか!」
その誘いにレオニードは手を握った。
鷲掴みだった。
違う。
そうじゃないだろう。
マルキュナはその手を軽くこねて、指先を絡ませた。
「これで、大丈夫、かな?」
「たっ、たしかに……そうだな! うん! マルキュナは頭がいいな!」
「それじゃあ、髪留め買いにいこっか」
「おう!」
二人は手を繋いで店に向かって歩き出した。
レオニードが必死に語りかけてきた。
「子供の頃から勇者になると決めていた」
「勇者の剣を探しに単身森に潜り、迷子になって怒られたことがある」
「その時に木の棒一本で魔物と戦って勝った」
「そんなことをずっとやってきていた」
「そして俺は勇者になったんだ」
「だから世界を救わないといけないんだ」
そんな話を聞きながら、気がつけば髪留めを買った店の前だった。
以前と同じで色とりどりの髪飾りがあった。
その中でも目を引いたのは尾の長い鳥の形をした金と茶色の髪留めだった。
レオニードがそれを見て目を輝かせていた。
それもそのはず、他は花をモチーフにしたものばかりだった。
これだけが異質に、それでいて細かく彫刻も入り目を引くものがあった。
マルキュナはその髪留めを指差し、
「これにする?」
と尋ねると、レオニードは力強く頷き、その二つを手に取った。
「うむ! 店主、これをくれ!」
店主はにこやかな笑顔を見せ、
「二人の髪の色にぴったりだ。その髪飾りはお守りにもなっているんだ。お互いの色を付けることで、お互いの想いで守り合うことができる。こんな奇跡はめったにない。お代は結構だ、その代わりと言ってはなんだが、つけ合っているところを見せてはくれないかい?」




