↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「俺は勇者だ!魔王を倒すぞ!」 ~チート勇者と巻き込まれヒロインの奮闘記~  作者: 川合 佑樹


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
32/42

第32話

 放課後、マルキュナはシェルルーシュと共に勇者部へと向かっていた。


「シェルミル……シェルルーシュは武闘家なんだっけ?」


「正確には、暗殺者ですね! おっと、これは秘密ですよっ!」


「ならそんなに声を大にして言わない方がいいんじゃない?」


「そうですね! 気を付けます!」


 こんな会話をしているが、シェルルーシュは女装姿のまま、マルキュナの周りをくるくると移動しながら警戒の姿勢を取っていた。


「あのさ、これ続けなきゃダメ? めちゃくちゃ目立つと思うんだけど」


「できれば……続けたいです。傷一つ付けたくないので!」


「心の傷は無視する感じ?」


 シェルルーシュの動きが止まった。


 こちらを見上げてくる瞳が、ちょっと不安げに揺れる。


「その……どうしましょう?」


「横に並んで歩いてよ。目立ったら仕方がないんだから」


「分かりました!」


 シェルルーシュは大人しくマルキュナの横に並んだ。


 マルキュナが横目でそっと見ると、シェルルーシュの首は一切動かさず、眼球だけが素早く左右上下に忙しなく動いていた。


 ちょっと気持ち悪いなと思った。


 ……でも守られてるんだもんなぁ。



 そして部室に到着した。


 シェルルーシュがその扉を開けて先に中に入る。


 マルキュナが中を覗くと誰もいなかった。


「あれ? おかしいですね。いつもはみんないるのに」


 シェルルーシュが不思議そうに部屋を見渡す。


 マルキュナも後に続いて中に入ったが、室内に人の存在を全く感じられなかった。


「……まだ教室にいるのかな? でももういなかった気がしたけど」


 呟きながら、マルキュナは何の気なしに部室から外へ出た。


 その瞬間。



 世界が、音を吸い取り、色を失った。


 視界が灰色に染まり上がり、すべてが無機質な影の濃淡だけになる。


 あの次元の狭間と同じ感覚だった。


 ……違う。


 狭間なら、ここはただのだだっ広い空間になるはずだった。


 なのに今は、今まさに自分が立っていた現実の廊下が、そのまま色を全て奪われた姿に変わっただけだった。


 壁も床も天井も、部室の扉も、遠くに見えていた窓の外の景色さえも、すべてがモノクロームに塗りつぶされている。


(……何よ、急に)


 エリフィアナの仕業だと思った。


 後ろを振り返るが、部室の扉の向こうにシェルルーシュの姿はなかった。


 自分だけ?


 エリフィアナの護衛たちは?


 今日は不意打ちで特訓?


 マルキュナは即座に魔法を唱えていた。


「パーセプション」


 慣れたものだった。


 短期間とはいえ、エリフィアナに叩き込まれた過酷な訓練の成果が、すぐに体を動かした。


 感覚が極限まで研ぎ澄まされ、周囲の状況を細やかに察知できた。


「誰か……近づいてきてる」


 何かが自分に向かって迫っているのが、知覚できた。


 その速度は魔物ではなく人間のそれ、おそらく女性が歩いている。


 そして目の前に現れた存在に、マルキュナは即座に身構えた。


「あらぁ? もう気づいちゃったのぉ?」


 ヴァルレーツァだった。


 右手には細身の刺突剣を、左手には杖を握っている。


 全身を軽鎧で固めたその姿は、戦闘が始まることをはっきりと物語っていた。


「お話しましょって感じじゃないわよね?」


「そうねぇ。あなた次第ともいえるけどぉ。本当はこっちに気づく前に殺しちゃおうと思ってたからぁ。……殺しちゃおっかなぁ?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。