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「俺は勇者だ!魔王を倒すぞ!」 ~チート勇者と巻き込まれヒロインの奮闘記~  作者: 川合 佑樹


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第25話

「代わりって……」


「つっても見た目は全然似てないからな? 俺以外はみんなちっこいしな。俺はいざ魔王が暴れた時にお前を連れて逃げるための盾みたいなもんだ」


「盾って……一番攻撃しそうなのに」


「そう見えるだろ? まぁ矛はシェルミルに任せてるよ。あいつは……あいつの話は良いか。あいつから聞いてくれ。それでな、多分これは知ってるんだろうが、お前が死ぬと勇者が魔王に変わる。すると世界は終わる。これは確定なんだ」


「そんな……簡単に言わないでよ」


 語気が少し強くなったマルキュナに、エリフィアナは手を軽く上げて宥めた。


「まぁまぁ落ち着けって。でもこれが現実なんだ。教会側が出した答えだ。俺が何言っても変わんねーからさ。そもそも魔王に対抗できるのが、勇者しかいないんだ。それが魔王になっちまう。もっと言うとだな、勇者の影響力を持った魔王が誕生するんだ。どうなるかなんて誰も分かんねぇだろ?」


「……」


「ま、良いようには働かないってことだけは分かるよな? でだ、ここまではそこまで大した話じゃない」


 ずいぶん大した話ではあった。


 プルメィラから聞いた話が、聖女の口から出るだけで、まるで別の重みを持つ。


「変えようがないことは、仕方ねえからな。んで、本題だ」


 エリフィアナは姿勢を正した。


 マルキュナの目に少し警戒の色が浮かんだ。


「まだ……あるの?」


「マルキュナ、お前を狙う勢力が現時点で二つ現れた。正直こっちの方が短期的には面倒なことになる」


「……狙う?」


「一つは魔王信仰、もう一つは教会内の勇者派閥だ。聞いたことないと思うが、両方敵だと認識してくれて問題ない」


 マルキュナは言葉を失った。


 エリフィアナは気にせず続けた。


「魔王信仰ってのは言わずもがな、魔王の復活を狙う奴らだな。これがお前を狙う理由は分かるよな?」


「私を殺せば……魔王が生まれるから?」


「そうだ。そして勇者派閥。こいつらはおそらく聖女と手を組んでいると思われる。『勇者と聖女を交配させよう』って魂胆だろうな。実際聖典には勇者と聖女がくっつく、または勇者と王女がくっつくなんてのばっかりだからな。血統を重んじる分、平民への当たりも強い」


「それって、私が伴侶だからってやつ? それに平民って……ドンピシャじゃない……」


「ああ。だが、こいつらはお前をどこまで殺せば問題なく事が運ぶのかの研究中だ。できれば魔王ではなく勇者の種が欲しいだろうからな。中には『次元の狭間に落とす』くらいなら殺した判定にならないんじゃないかと研究をしている奴もいた。まぁこいつはこっちで処分したんだが……」


 マルキュナは両手でこめかみを押さえた。


「ちょっと……もう頭がパンクしそうなんだけど……」


「分かった。それで今後の行動についてなんだが……。軟禁させるという案が出ている。俺が現時点では止めているが、行動の制限は付くだろう。これはお願いでしかないが、……できれば出歩くのはやめてもらいたい。できれば勇者の側に居て欲しい。ってところだな。不意に殺される確率は下がる」


「そんな……私は……」


 私の人生を何だと思っているのか。


 ただの学生で、


 普通に過ごしてきて、


 頑張って学校に通えて、


 これから友達もたくさん作って、


 それはできるか分かんないけど……、


「危険物はまとめて管理したいってこと……だよね?」


「すまないな」


 否定はなかった。


 残酷すぎる答えだった。


「いつまで」という期限すらない。


 生きたまま死に続けることを宣告されたのと同じだった。


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