第22話
休みの日。
マルキュナは制服のまま、寮の入口で待っていた。
この服装で出かけようと、昨日約束していた。
少し遅れて、クラリーンも同じ制服姿で駆け寄ってきた。
遅れたと言っても、約束の時間よりむしろ少し早いくらいだ。
マルキュナが早く来すぎていたと言ってもいいくらいだった。
それほど浮かれていた。
当然と言えば当然だった。
初めての王都でのお出かけ。
それは王都を訪れる老若男女が誰もが憧れる。
しかも、親しい友達と一緒。
特別すぎるほどに、特別な一日。
浮かれないはずがなかった。
「マルっち、早ーい!」
「今来たところだよ」
「あー、そういうの他の男子に言っちゃダメだよー!」
「えー、なんでー?」
「その美貌で言われたら、きっと死んじゃうよ?」
「冗談やめてよもー」
そんな他愛もないやりとりをしながら、二人は足を進めた。
街は想像以上に人通りが多く、どちらかといえば若者が目立っていた。
誰もが目的を持って忙しそうに歩き回っている。
ただ眺めているだけで街全体の賑わいが伝わってきた。
これが都会というものか、とマルキュナは改めて実感した。
「店はこっちだけど、先に見てみたいところとかある?」
クラリーンが気を利かせて聞いてきた。
「後でいいかな。一緒に回ってくれる? 今日はスイーツを楽しみたいから」
「おっけー! レッツゴー!」
マルキュナは手を引かれ、目的の喫茶店へと向かった。
店の前にはすでに長蛇の列ができていた。
列を横目に近づくと、店員がすぐにこちらに気づき、
「クラリーン様、こちらへどうぞ」
店の前に着くなり、特別に案内される。
クラリーンは肩越しに、後ろを歩くマルキュナを振り返り、得意げに言った。
「すごいでしょ? 予約してないと、もう簡単に入れないんだよ、ここ」
マルキュナはまだ長い列に注意を向けたままだった。
「びっくりした。こんなに人間がいるんだ……」
「そこっ!? マルっちったらぁ! 私が贔屓になるまでここに通い詰めた努力を誉めて欲しいくらいなんだけどなぁ」
「そんなに来てたの?」
「来てなきゃ予約なんてできないんだからね? これ常識」
「……そうなんだ。すごいね。私にはできないや」
「えへへへ」
やはり、住む世界が違う。




