↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「俺は勇者だ!魔王を倒すぞ!」 ~チート勇者と巻き込まれヒロインの奮闘記~  作者: 川合 佑樹


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
15/42

第15話

 次の日の朝。


 マルキュナが校門に差し掛かると、新聞を配る生徒たちの姿が目に入った。


「武闘大会でーす!」


「みんな、こぞってご参加くださーい!」


 どういうわけか、昨日見た新聞部の面々が、武闘大会の宣伝に精を出していた。


 マルキュナは一部を受け取る。


 一面には大きく『最強よ集え、武闘大会』と見出しが躍っていた。


 そして腹が立つのは、いつ撮られたのか、レオニードの全身写真がデカデカと載っていることだ。


 無駄にカッコつけた角度で写されていた。


 文字よりも幅を取るそれは、勇者然とはしていたが、


「目立ちたがりめ……」


 口にするつもりなどなかった言葉が、抑えきれずに唇からこぼれた。



 教室に着くと、その話題で教室中が沸いていた。


 レオニードを取り巻く女子の数が、明らかに増えていた。


 減っていたはずの輪がまた膨らみ、増えすぎて本人の姿さえ見えなくなっている。


「レオニード君! 新聞見たよ!」


「カッコよかったー!」


「武闘大会にも出るの?」


 そんな中、マルキュナの存在に気づいたらしい。


 レオニードは床を蹴って机の上に飛び乗った。


「マルキュナ! 舞台は整った! 武闘大会をするぞ!」


 その舞台を整えるのは、これからであり、


 その舞台を整えるのは、おそらく私で、


 お前は一体何をするんだと。


 内心で毒づきながらも、マルキュナはすべてを飲み込んで笑顔を貼り付けた。


「頑張って!」


 しかし、声には棘しか残っていなかった。


 レオニードは周りの黄色い声に紛れて聞こえなかったのか、聞こえていても理解していなかったのか、それとも理解した上でなのか、拳で自分の胸を叩いた。


「おう!」


 マルキュナは取り巻きたちを横目に、自分の席に腰を下ろした。


「マルっち! なんかすごいことになっちゃったね! これっていつから計画してたの!?」


 すぐさまクラリーンが声をかけてきた。


 答えを持っていないマルキュナは、曖昧な表情で笑った。


「あー、それはレオニードに聞いて?」


「もしかして怒ってる?」


「……呆れてる」


 心配はしてくれる。


 でも、助けてくれるわけじゃない。


 義務でもないし、友達だけど、そんなもんだよね。


 そう諦めていたはずだった。


 なのにクラリーンは、そんな様子を見て手を握ってきた。


「一人で抱えちゃダメだよ? うちにできそうなことがあったらいつでも言ってね!」


「……ありがとう。まだ、大丈夫……かな?」


 本当の気持ちかどうかは、自分でもわからなかった。


 ただ、心がすさんでいたことだけは確かだと思う。


 でもその手は、驚くほど温かかった。


 手のひらから伝わる熱だけで、今日はなんとか頑張れそうな気がした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。