不穏な存在
オネイを掴んだまま――
ドラゴンは、城壁側の異変に気づく。
モンスター軍が壊滅している。
帰るつもりだったが――放置は出来ない。
「何が起きている……」
ドラゴンが思考を巡らせる。
「な……め……る……な……」
ミチ
ミチッ
バーン!
オネイが力任せに、ドラゴンの手をこじ開ける。
「人間の分際で……」
ドラゴンが、わずかに苛立つ。
「人間舐めるんじゃないよ!」
「てか、貴方……喋ってる?」
オネイが、今さら驚く。
「何を言っている。ドラゴン族が喋れるのは当たり前だろう」
「前に刈り取ったドラゴンは喋ってなかったわよ」
「それはドラゴンではない……」
「我達ドラゴン族から漏れた因子を取り込んだトカゲだ」
「あら〜そうなの〜」
「貴方、コミュニケーション取れるのだったら目的を言いなさい!」
オネイは、恐れる事なく言う。
「教える必要は無い」
言い切るドラゴン。
「目的は済んで、帰るつもりだったが――」
視線が、城壁へ向く。
「アッチから、不穏な感じがする」
「確認が必要になった」
――城壁
「レオン君。残りは最前線のサイクロップスとドラゴンです! 行ってください!」
「それはホントに死ぬ」
「先ほど撃ったのが全力ですよね?」
「全力って言うか……届いたのがあの範囲って感じですね」
「なら、行くしかないでしょ!」
「近づいたら一発で殺されますって! あの変態達みたいに早く動けないんですよ!」
全力で拒否するレオン。
---
そこに――
「グァ!」
乗れ、と言わんばかりにしゃがみ込むトロちゃん。
じっと、こちらを見る。
「えぇ〜」
「トロール達も復活してますし、護衛は十分ですよ!」
ここで、レオンが出ないと終わらない。
それは、レオンも分かっている。
「……はい」
レオンは、渋々トロちゃんにおんぶされる。
トロちゃんは足に力を込める。
一瞬、地面が沈み――
――ビュンッ!
サイクロップスめがけ、一直線に走り出した。




