ご主人様は俺だ!
「無理! 無理! 無理!」
「無理だって! 先生ぇ!」
泣き言ばかりの主人公。
「大丈夫です。とりあえず全力でぶっ放しましょう!」
「何言ってんの先生。眼の前には、味方もいますよ」
「構いませんよ。兵士は死ぬ為にいるのです」
「絶対違いますし。名誉ある戦死じゃなくて、味方の攻撃に巻き込まれてキンタマ失いましたじゃ、やりきれんでしょ!」
「仕方ありませんね」
そう言うと先生は風魔法を器用に使い、
戦場に響き渡るほど声を拡張した。
『皆さん! 今から去勢のレオンが魔法を放ちます!
失う物がある人は後退し、モンスターと距離を取ってください!』
戦場で戦っていた者たちは――
「まて! まてまて!」
「ふざけんな! クソ野郎!」
「退避! 退避!」
「無理です下がれません!」
「イヤだ〜まだ使って無いのに〜!」
「子供がいるやつが残れよ!」
戦場は阿鼻叫喚。
「……ん? トロちゃん?」
トロちゃんが主の存在に気づき、城壁へ来た。
「トロちゃん、何その後ろのトロール達」
「グァ」
「いや! 無理だからねそんなに飼えないよ! 破産だよ!」
「グァグァ」
トロちゃんが何か言うと、トロール達は――
モンスターと人間の間に入り、退避を助ける。
「レオン君、コレならいけますね!」
「トロちゃんがいいのなら」
「グァ!」
トロちゃんはレオンの隣で、
まるで「どうぞ」と言っているようだった。
レオンが手を伸ばし――戦場を見渡す。
土煙。咆哮。混乱。
だが今は――
見えている。
「イケる!」
「発動!」
――その瞬間。
モンスターが一斉に止まる。
「ギャーッ!」
「ブボボッ!」
「キャインッ!」
多種多様の悲鳴。
次の瞬間――
泡を吹き、崩れ落ちた。
そして。
壁となっていたトロール達も――
一斉にこちらを見る。
「何故?」と言わんばかりの顔。
そのまま――
ドサッ
崩れ落ちた。
「……凄い、これだけの数を纏めて……」
「レオン君! 魔力は大丈夫ですか?」
「?」
「この魔法、魔力の減りを感じた事ないんですよね……」
「!?……なんですと……」
「先生! 急いで指示出して!」
「俺の魔法、気絶させれるけど止めさせないんです」
先生は風魔法を使い、退避した兵に伝える。
騎士や冒険者は一斉にモンスターへ駆け出した。
「ヤバすぎだろアイツ!」
「一人で殆ど倒したぞ……」
「あれが睾丸収集家か……」
「モンスターよりアイツの存在の方がヤバいだろ」
「ミトマの男の危機だ」
「てか、攻撃範囲どうなってるんだ!?」
「前に5mって聞いたぞ」
騎士と冒険者は、止めを刺しながら――チラチラとレオンを見ている。
「何で俺が悪役見たいにみてくるんだよ!」




