逆転
――伝令が走る。
左翼から、中央。
中央から、右翼へ。
「踵だ!!」
「踵を狙え!!」
「そこを潰せば、強化が解ける!!」
戦場に――攻略が広がる。
---
――右翼
「……なるほど」
リリィの目が細まる。
踏み込む。
「一閃」
ザシュッ!!
オークの踵が潰れる。
ビキッ――
見えない何かが砕ける。
動きが止まる。
「二閃」
ズバァッ!!
心臓を貫く。
ピタリ、と。
止まる。
ズドン……
巨体が倒れ込んだ。
「……ほんと」
わずかに口角が上がる。
「イケるわね」
確信。
次の瞬間には、もう動いている。
ザシュッ!!
ズバァッ!!
ザシュッ!!
踵だけを、正確に潰していく。
「マリー!!」
「はい!!」
ドゴォッ!!
盾が叩き込まれる。
骨ごと、粉砕。
「任せてください」
次。
また次。
リリィが“崩し”、マリーが“砕く”。
流れが出来る。
「いい連携ねぇ♡」
マダムが笑う。
「でも――」
ハンマーを振り上げる。
「そんなの、関係ないわよねぇ!!」
――メテオ
ドゴォォォン!!!
衝撃。
まとめて吹き飛ぶオーク。
肉片すら残らない。
「ほら、一発♡」
「雑すぎるのよ……」
だが。
確実に、押し返している。
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――冒険者隊
「踵だ!!」
「先に潰せ!!」
冒険者達も動きを変える。
単独ではない。
パーティ単位での連携。
一人が崩し。
一人が止め。
一人が仕留める。
「いける!!」
「倒せるぞ!!」
絶望だった戦場に――
“勝ち筋”が生まれる。
――中央
「……なるほどねぇ」
オネイは、くすりと笑う。
倒れないオーガ。
その動きを眺めながら。
「踵、ね」
ピオニーの矢。
サクラの斬撃。
それらを横目に。
「なら――」
ドンッ!!
地面を蹴る。
一瞬で間合いに入る。
「わざわざ遠くから狙わなくても」
跳ぶ。
潜る。
絡みつく。
「ッ!?」
狙いは――脚。
関節。
「こうすればいいでしょ♡」
ギチッ
極める。
体重を預ける。
捻る。
ヒールフック。
――ブチッ
嫌な音。
踵が、千切れる。
「ガァァァァァッ!?」
初めて、オーガが悲鳴を上げる。
同時に。
ビキッ
加護が砕ける。
「ほら、やっぱり」
離れる。
オーガが膝をつく。
「そこなのね」
スッ――
拳を添える。
「終わり♡」
――ドンッ
内側から、完全に潰す。
巨体が崩れ落ちた。
「ね?」
振り返る。
「簡単でしょ?」




