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破魔矢と鬼八
――左翼
「……そこか」
サクラの目が細まる。
踏み込み。
重心。
わずかに浮く踵。
「見つけたり」
顔を上げる。
「ピオニー」
短く、呼ぶ。
――返事はない。
だが。
ヒュンッ
すでに矢は放たれている。
一本目。
白い軌跡。
ズドッ!!
踵に突き刺さる。
鬼特攻を持つ矢の一つ
【破魔矢】
その瞬間――
ビキッ
見えない“何か”が砕ける。
「今でありんす――」
踏み込む、より早く。
二本目が来る。
ゴッ――!!
音が違う。
空気を押し潰すような、重い一撃。
黒い矢。
【鬼八】。
ズガァッ!!
胸部に直撃。
皮膚が――貫かれる。
「ガ……ッ!?」
今まで通らなかったはずの肉体が、裂ける。
「遅いでありんす」
その隙に。
サクラが滑り込む。
ズバァッ!!
童子切。
一閃。
今度は、止まる。
完全に。
ドサァ……
巨体が崩れ落ちた。
「……見事でありんす」
わずかに視線を上げる。
ピオニーの方へ。
――すでに、次の矢が番えられている。
「手順が分かれば――簡単ね」
ヒュンッ
ズドッ!!
ビキッ
ゴッ!!
ズガァッ!!
ズバァッ!!
同じ流れが、繰り返される。
「踵だ!!」
「先に矢を当てろ!!」
「その後に叩け!!」
戦場に、攻略が広がる。
絶望が――崩れる。
――アイリス側
「ははっ♡」
笑う。
「最初からそうしなさいよ」
破魔矢が刺さる。
その瞬間。
ドゴォン!!
叩き潰す。
「解除されたら――」
グシャッ!!
「柔らかいじゃない♡」




