モンスター軍の猛攻
戦況は――悪化していた。
痛みを恐れない。
多少の傷なら塞がる。
その二つは。
“限界”という枷を外す。
モンスターは――壊れながら戦う。
「はうっ!」
ゴブリンの拳が、冒険者を吹き飛ばす。
「な、なんだぁ!?」
「ゴブリンの力じゃねぇぞ!!」
骨が砕ける音。
だが。
殴ったゴブリンの手も――潰れている。
「てか……手、グチャグチャじゃねぇか……」
それでも。
ゴブリンは、止まらない。
ぐちゃり、と潰れた肉が――
ゆっくりと戻る。
痛みがない。
壊れることを、恐れない。
だから――
また、殴る。
「クソッ!!」
並の冒険者では、対処できない。
それは――騎士団も同じ。
「突けぇ!!」
槍が、盾の隙間から突き出される。
ズブッ――
確かに、刺さる。
だが。
ガシッ
ゴブリンが、槍を掴む。
離さない。
引き抜けない。
「なっ――!?」
そのまま。
別のゴブリンが盾を踏み台にする。
ギシッ
登る。
越える。
「上だ!!」
遅い。
ザシュッ!!
陣形が、崩れる。
「不味いわね……」
オネイはそれを見て、静かに呟いた。
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――右翼
「くっ……!」
リリィの突きが、オークの腹を貫く。
だが――
止まらない。
ガシッ
「また!?」
槍を掴まれる。
そのまま、引き寄せられる。
「リリィ!」
ドンッ!!
横から叩き潰す。
マダムのハンマー。
オークが地面に沈む。
肉も骨も、原型を留めない。
「一撃で粉砕すれば――イケるわね♡」
ドヤ顔。
「……あのねぇ、マダム」
リリィはジト目で見る。
「それが出来る人が、どれだけいるのよ」
「それに……」
ちらりと視線を送る。
奥。
オーガ。
「アレ、同じこと出来るの?」
「できるわよぉ……きっと♡」
少しだけ、間があった。
遠くてオーガに手こずるオネイを見る。
「……無理ね」
「でしょ」
その時――左翼で逆転の兆しが見つかる




