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童子切


アイリスがナイトとキングと激突している、その後方。


ズシン……


ズシン……


地面を揺らしながら、オーガが迫る。


「……わっちは、あちらでありんすかね」


サクラは静かに歩み出る。


スッ――


刀を抜く。


踏み込む。


ギィンッ!!


火花。


刃が――弾かれる。


「……ほぉ」


わずかに目を細める。


「鬼の肌が硬いのは、どこの国でも同じでありんすな」


オーガが唸り、腕を振り上げる。


だが。


サクラは動かない。


カチン――


刀を、鞘に収めた。


「ならば」


背中に手を回す。


重い音。


――抜く。


ズ……ッ


空気が、張り詰める。


現れたのは。


人の背丈を超える、大太刀。


「こちらでありんしょう」


静かに、構える。


「わっちの国は、鬼が多くてありんす」


一歩。


「名のある鬼も、何体も斬ってきたでありんす」


さらに一歩。


地面に足が沈む。


「その中でも――」


刃が、わずかに傾く。


「一番の大物」


オーガが、咆哮する。


突進。


だが。


「【酒呑童子】」


その名を口にした瞬間。


空気が、変わる。


「それを斬った、この太刀――」


スッ


構えが消える。


「【童子切】」


次の瞬間。


――見えない。


「鬼退治は」


一閃。


音すら、遅れる。


「十八番でありんす」


オーガの動きが、止まる。


一拍。


二拍。


そして――


ズレる。


首が。


音もなく、滑り落ちる。


ドサッ……


巨体が崩れた。


切断面は――


異様なほど、滑らかだった。


血が、遅れて噴き出す。


「さて」


サクラはゆっくりと刃を払う。


血が一筋、地に落ちる。


「異国の鬼は、こんなものでありんすか」


少しだけ、口元を緩める。


「次は――」


くるり、と背を向ける。


「羅刹にでもなって、出直しておくんなんし」


カチン――


静かに、刃が鞘へ収まった。



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