騎士団と蓮
――中央
ゴブリンライダーの突撃を――
重騎士達が受け止める。
ガンッ!!
盾と盾がぶつかり合い、衝撃が響く。
その隙間から、槍が伸びる。
「突け!」
正確に。
確実に。
ゴブリンを貫き、ウルフを仕留める。
基本に忠実。
だが、その精度は高い。
騎士団は、強い。
「……まだ余裕そうね」
オネイが呟く。
だがその胸には、僅かな違和感が残っていた。
――来る。
森の奥、空気が変わる。
---
第2陣。
土煙と共に現れたのは――
左翼に、ゴブリンナイト、ゴブリンキング、そしてワイバーン。
右翼に、オークとオークキング。
そして中央。
「……最悪ね」
トロールの群れ。
斬る。
突く。
削る。
――だが、止まらない。
「なっ……!?」
裂けた肉が蠢く。
繋がる。
戻る。
再生。
「突け!! 突け!!」
何度も槍を突き込む。
それでも――
意味がない。
削っても、削っても。
戻る。
その後ろから――
ドシン……ドシン……
オーガ。
分厚い筋肉。
硬質な皮膚。
中央と両翼にそれぞれ向かってる
前線が、揺らぐ。
崩れる。
「こんなものが……複数……!?」
---
「……仕方ないわね」
オネイが前に出る。
足に力を込める。
筋肉が膨張し――地面が沈む。
「これは、私がやるわ」
――ドンッ!!
爆ぜる踏み込み。
オネイの身体が、弾かれる。
バリスタの矢の如く。
一直線に、敵群へ。
---
ドゴォンッ!!
着地と同時に、大地が砕ける。
砂煙の中。
一人、立つ。
「人間じゃないだろ……あの人は……」
団長の笑いは、乾いていた。
---
オネイが拳を握る。
トロールを叩き潰し。
だが――
「……面倒ね」
再生。
止まらない。
「トロちゃんを思い出すわねぇ♡」
「はぁ〜ん……どうしましょう」
その時――
ドドドドドッ!!
城壁から、影が飛び出した。
勢いのまま――
ドゴッ!!
トロールの胴体に拳が突き刺さる。
肉が弾け、身体に大穴が開く。
「……あら」
オネイが微笑む。
「グッドタイミングよ」
「トロちゃん♡」
そこに立っていたのは――
進化したトロール。
トロちゃん。
---
――少し前。
ミトマ学院。
「レオン君、学院長が来てるよ」
「……は?」
まさか。
嫌な予感しかしない。
「何でしょうか、学院長」
「君の飼っているトロールを、戦場に出したい」
「えっ?」
「ちょっと待ってください!」
「……もし…何か合ったら…トロちゃんが…」
レオンが慌てる。
ミリアとアリスは顔を見合わせた。
(……あ、可愛がってたんだ)
だが次の瞬間。
「被害出したら俺責任取れないですよ!?」
「これ以上金がかかるのは勘弁してください!」
「……」
「……」
(違った)
二人は静かに目を逸らした。
「アーヴィンから話は聞いている」
学院長は淡々と言う。
「既に実験済み。制御はできているそうだ」
(いや知らんが!?)
レオンの内心が叫ぶ。
「状況が状況だ。被害が出ても責任は問わない」
「領主の許可もある」
「……マジですか?」
「マジですよ」
そして――
「戦果が出れば、それは君の功績だ」
「いけ、トロちゃん!」
その一言は光よりも早かった
「でた、金の亡者」
ミリアが容赦なく突っ込んだ。




