予兆
ギルドの一室で、重苦しい空気の中、話し合いが行われていた。
ギルドマスターと職員達である。
「森で何が起きてるんだ……」
「もう、2つのパーティが帰って来ない……」
「今回は大丈夫……と思いたいですね」
「“月の陰”はミトマでも実力のある斥候系パーティですし……」
――ドンッ!!
扉が勢いよく開いた。
「……大変だ……」
全員の視線が一斉に向く。
「も、森に……ドラゴンがいた……」
ざわっ――
「他にも……モンスターが……千はいた……」
ざわめきが一気に広がる。
「ドラゴンって嘘だろ……」
「モンスターが千体以上って……」
「もう、この街も終わりだ……」
冒険者達の顔に、はっきりと絶望が浮かぶ。
「……見たんだよ……」
報告に来た男が、震える声で言った。
「仲間が……死んだ……」
場が静まり返る。
「逃げたんだ……全員で……でも……」
唇が震える。
「後ろから……声が……一人ずつ消えていった……」
誰も、何も言えなかった。
「……とりあえず、よく帰ってきた」
ギルドマスターが低く言う。
「で、その話は本当か?」
「……はい」
短い返事。
「……わかった」
ギルドマスターはすぐに判断を下す。
「おい、一般依頼の中断とギルド依頼の準備を頼む」
「俺は領主に会ってくる」
職員達が一斉に動き出す。
ギルマスはそのまま、領主邸へと向かった。
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――研究塔
アーヴィンは、自ら去勢手術を施したオークを観察していた。
「おかしいですね」
「少し大人しくはなりましたが、筋肉の衰えがみられません」
腕を組み、じっと見つめる。
「やはり、一匹は解剖して見るしか無さそうですね……」
三匹の内、一匹は解剖される事となる。




