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オネイロスの過去1


 学院の食堂。


 昼食をとりながら、オネイロスが語り出した。


「私がまだ、王都騎士団に所属してた頃の話になるわね」


「――ちょっと待ってください!」


 レオンが勢いよく身を乗り出す。


「オネイ様、騎士団にいたの!?」


「あら、なによ。そんなに変?」


「変でしょ!」


「王都騎士団ですよ!? 地方領主の私兵とは訳が違うんですよ!」


「それが……その……」


 言葉を選ぶレオン。


「女性のような……人……が……?」


 オネイロスが、ぎゅっと拳を握っていた。


「少しお勉強できたみたいね」


「話は最後まで聞きなさい」 


 空気が一瞬だけ張り詰めた。


「当時の私は――今みたいに美しい姿とは、ほど遠かったのよ」


 ……。


 誰も何も突っ込まない。


「毎日、訓練に演習。戦場にも出たわ」


「顔も身体も傷だらけ……正直、嫌になったわね」


「できるだけ傷を増やさないように戦ってたから、戦果もいまいちだったし」


 少しだけ、遠くを見るような目。


「だから、毎日神殿で祈ってたの」


「――綺麗になりたい、って」


「何年も、ずっと願い続けて……」


「ある日、突然――ヒールが発動したのよ」


「傷が、全部消えたの」


「その時……たぶん、神の声も聞こえた気がするの」


「でもね、何て言ってたか覚えてないのよ」

「記憶に残らないの」


「……まぁ、そんな感じだったわ」


 静かな余韻。


 ――だが。


「なんですかそれ」


 レオンが真顔でツッコむ。


「夢見る少女の夢が叶いました、みたいな話じゃないですか」


「あら、いいわね。“夢見る少女”」


「私にぴったりじゃない」


「違いますよ!」


「妄想激しいオッサンの間違いでしょ!」


 ――ゴゴッ。


 鈍い音。


「ぐはっ!?」


 いつもより多めに殴られた。





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