進化
ギルドを出て、学院へ戻る途中。
「……はぁ」
思わずため息が出た。
訓練場の修理費はオネイが払ってくれることになった。
それはいい。
問題は――
「アリス、に伝えないとな……」
街で暴走させたら討伐対象。
ギルマスが冗談で言うタイプじゃないのは、よく分かっている。
――――――――――
学院に戻ると。
案の定。
「レオン!」
ミリアが駆け寄ってきた。
「トロちゃん、大丈夫だったよ!」
その後ろで――
「グルゥ……」
少し小さくなったトロちゃんが、のそのそとついてくる。
……いや。
やっぱりデカいな。
「で、そっちは?」
俺はアリスを見る。
アリスは目を逸らした。
「あー……えっと……その……」
「アリス?」
「はい」
「ちょっと話がある」
「はい……」
素直だな。逆に怖い。
――――――――――
場所を変えて、中庭。
「ギルマスから伝言だ」
「例の薬、もう使うな」
「街で暴走させたら――討伐対象になるってさ」
「はい、ごめんなさい」
即答だった。
早いな。
「……いや、反省してる?」
「してるしてる!」
「めちゃくちゃしてる!」
「でもさぁ」
アリスは少しだけ不満そうに口を尖らせる。
「ちゃんと成功はしてるんだよ?」
「は?」
「トロちゃん、ちゃんと“強化”されたでしょ?」
「その結果が暴走だろうが!」
「そこは調整不足ってことで……」
「アウトだよ」
即答した。
「てか、あの角なんだよ」
「完全種族変わってたじゃねーか」
「あー、あれね」
アリスは少し考える仕草をする。
「多分、“過剰進化”かな」
「過剰進化?」
「うん。本来の限界を超えて一時的に強化される状態」
「その反動で、一時的に“形が変わる”ことがある」
「今回だと――」
トロちゃんを見る。
「巨大化と角の発生それと肌の変色」
「で、解除時にサイズ以外は戻った……みたいな?」
「サイズは自食作用でわかんない。」
「適当だなオイ」
「だってこんなの初めてだし」
悪びれもない。
こいつ、ほんとに反省してるのか?
「……まぁいい」
どうせ完全に理解できる話じゃない。
それよりも――
「薬、没収な」
「えぇ!?」
「当たり前だろ」
「また使ったらどうするんだよ」
「いやいや、次はちゃんと調整――」
「没収」
「……はい」
しぶしぶポケットから取り出した小瓶を受け取る。
……なんか嫌な予感しかしない。
「絶対、勝手に作るなよ?」
「……」
「おい」
「……でもアーヴィン先生が…」
「解析して増産してる」
…oh
研究者気質の奴はヤバいの多いな
――――――――――
その後。
「グルゥ」
トロちゃんが、俺の服を軽く引っ張った。
「ん?」
「グル」
……なんだ?
前より、少し大人しい気がする。
「……なぁ」
「もしかして、ちょっと賢くなってないか?」
「え?」
ミリアとアリスがトロちゃんを見る。
「……あ」
アリスが、ニヤッと笑った。
「それ、“当たり”かも」
「は?」
「過剰進化ってさ――」
「たまに、“能力だけ残る”ことがあるんだよね」
「つまり?」
「トロちゃん――」
ぽん、と頭を叩く。
「強くて、ちょっと賢くなったかも」
「グル!」
嬉しそうに鳴いた。
……いや待て。
それって――
「普通に強化成功じゃね?」
「うん、だから言ったじゃん」
アリスはドヤ顔で笑う。
「成功してるって♡」
「結果オーライだね!」
「良くねぇよ!!」
中庭に、俺のツッコミが響いた
最近読んでくれた人の評価が気になり始めました。良かっかたら感想下さい。メンタル強くないのでお手柔らかにお願いします。
死刑→討伐対象 に変更




