暴走
赤いハイヒールを履いた、全裸の男。
――その存在によって。
ギルド受付に続き、訓練場もまた地獄と化していた。
クネクネ。
「このパーフェクトスタイルはねぇ〜」
「速度上昇『ペチン』、筋力上昇『ペチン』のバフが付くのよぉ〜♡」
「いや、ただ動きづらかっただけだろ」
「てか喋りながらクネクネするなよ!」
「“ペチンペチン”って音が気になるんだよ!」
「やぁ〜ねぇ、どこ見てんのよ」
「見たくねぇよ!!動くから目に入るんだよ!!」
――その時だった。
「グォォォォ!!」
トロちゃんが咆哮し、オネイへと飛びかかる。
だが――
「遅いわよぉ♡」
ひらり。
かわした直後――
ドゴォッ!!
顎へのカウンターアッパー。
トロちゃんの顎が、吹き飛んだ。
シュー……
しかし次の瞬間、肉が蠢き、即座に再生する。
だが、オネイの猛攻は止まらない。
拳が叩き込まれるたび、肉体が“消し飛ぶ”。
ミリアも必死にヒールをかけ続けるが――
「……ごめん、トロちゃん……」
先に尽きたのは、ミリアの魔力だった。
動かなくなるトロちゃん。
静寂。
その中で、なぜか――
「トロちゃん、完全に沈黙」
アリスが妙にテンション高く呟いた。
キラン――
トロちゃんの目が光る。
「トロちゃん、再起動」
レオンがぼそり。
「そんな……動けるはずありません……」
アリスが言い切った、その瞬間――
ゴキッ。
トロちゃんの首が、不自然な角度で動いた。
「……は?」
ミリアの声が震える。
ズ……ズズ……
ゆっくりと。
本当にゆっくりと、トロちゃんが立ち上がる。
アリスが続ける。
そして――
「まさか……」
「暴走!?」
「グォォォォォン!!」
訓練場に、異様な咆哮が響き渡る。
――さっきまでの空気、なんだったんだ。
明らかに。
シャレにならないネタだ。
次回「終焉」
この次も、サービス、サービス!
たがら、ヤバいって!
エヴァパロです。




